未だエレズの検問所は通れず、待機の状態です。
イスラエル軍によると、
「君は、これまで何度もガザに入っている。その記録からしてセキュリティ・チェックに回されている。通常では5,6日で出る許可が、セキュリティ・チェックに回ると1ヶ月近くかかるものだ。運が良ければ来週には許可が出るだろう。許可が出ないわけじゃない。国防のために君が安全か調べているのだ」
というわけで、やはり彼らはガザ地区を「占領」しているのです。
待つしかないですね。
そんな時間を利用して、大切な人と会いました。
まずはNHKエルサレム支局の飯島さん。

飯島NHKエルサレム支局長
1月19日、停戦が来た翌日、桑山がNHKニュースに出ましたが、その後を引き受けて、現地ガザからのレポートを入れた飯島支局長です。
お互いがテレビで見ていて知っているので、不思議な感じでしたが、
「あ、テレビに出ていた人だ!」
という自己紹介が面白かったですね。
聞いてみると飯島支局長は神奈川県海老名市のご出身。
そして杉久保小学校、大谷中学校と出られたのですが、この両校で既に「地球のステージ」は公演をしていました。なんといっても海老名市は市長、市役所あげて「地球のステージ」を海老名中の子どもたち、市民の皆さまに見せてくださっている全国で唯一の街ですから。飯島支局長とも海老名の話で盛り上がってしまいました。
こんなふうに、全国展開している「地球のステージ」はいろんな人とご当地ネタで盛り上げれます。
さて、エルサレムの旧市街へいきました。
いつも訪ねているおみやげやさんがあるのです。それはイエスが磔刑に処せられたゴルゴダの丘に建つ聖墳墓教会の入り口なので分かりやすく、しかもすべての品物に値札が貼ってある旅行者にはありがたいお店なので、よく行くのです。

Old City Bazzar
これまで何度も通って来たのですが、今回は時間があるので会話しました。
「いつも来てくれますね。この国で何をしているのですか?」
と聞かれました。しかし、見た目がどうしてもユダヤ人のように見え、しかもアラブ系のグッズは一切扱わない、純キリスト教に関する品物のみ扱うお店ですから、正直何人かわからない方なのです。
気を遣ってしまい、こう答えました。
「えっと、この前も戦争があったじゃないですか。そう、1月です。傷つく人がたくさんいるから、そういう人と関わる医師という仕事をしています。」
「ほう、どこで働いたのですか?」
「えっと、まあ、この国の中ですね。僕はこの国(わざとそういってぼかしている)が大変好きです。」
「そうですか・・・」
ちょっと不思議な表情をされました。
「あの、お気を悪くされたら申し訳ないのですが、イスラエル人ですか?」
「いえ、私はパレスチナ人です」
「え?」
「キリスト教の品物を扱うパレスチナ人です」
「故郷はどこですか?」
「もう600年も、このエルサレムに暮らしています。祖父まではこの旧市街に家がありました」
「故郷がエルサレムのパレスチナ人ということですね」
「はい」
「すみません。ひょっとしたらイスラエル人かと思って、すっと本当のことが言えませんでした。実は僕はガザ地区に入って働いたりしています。1月の戦争の時もラファの街の病院で働いていました。」
「そうだったんですか」
「すみません。パレスチナの人と思わなくて・・・」
「いえ、いいんですよ。私たちはみんな神様がお創りになった"人間"というたった一つの存在です。何人であろうと関係ありません。国も、人種も、宗教も違って当たり前。そんなことは問題ではありません。
大切な大切な"神様の創造物”なのです。でもそれを一部の心無い政治家が汚しているだけなのです。そんな争いの狭間であなたが迷われたのはとてもよく分かることです。でもそんなあなたが、本当のことをちゃんと伝えてくれて嬉しいですね。」

ハリールさん
「私はハリールと言います」
「ああ、ジェニンで殉死されたハリール・スレイマン先生と同じお名前なんですね」
「はい」
これがエルサレム旧市街です。ユダヤ人もアラブ人も同じ狭い道を肩こすり合わせながら歩いています。
パレスチナ人のハリールさんが一見見た目ユダヤ人のようで、でも売っているのは純粋なキリスト教の品物です。
そこに流れているのは、
「みんなおんなじ人間なんだよ」
という大いなる思想です。
この旧市街をでるといがみ合い、争い、占領、屈辱、暴力の連鎖。
しかし、ハリールさんを見ていると、そんな世界の中でもきちんと正しいことを見つめることは出来るのだと思いました。
「また、逢いに来ますね」
「はい、いつでもあなたのことをここで待っています」
ありがとう、ハリールさん
桑山紀彦