活動3日目~巡回診療その2

そのおじいちゃんは100歳でした。もちろん確かなことはわかりません。しかし1923年のトルコ時立の時には生まれていたと言うので少なくとも100歳以上ではあると思われます。

名前はハジ・ジェベさん。クルド人として生まれこのケペズ村にずっと生きてきました。

早速健康診断を行いましたが、血圧正常、血糖値正常、胸部打聴診正常、唯一右の白内障が進んでいて失明。でもハジさん曰く、

「世の中、全部見えている。」

さすが、です。

健康の秘訣はと問うと、食べ物を「卵、ヨーグルト、牛乳、ハチミツ、バター」に限定していることだと言います。ずっとこれだけ食べてきたと・・・。そして何よりもここまで生きてこられた最大の理由は、

「何が起きてもそれを受け入れ、動じない心を持つことだ。」

と言います。だから今回の震災も、

「全く恐くなかった。そして今も全然怖くはない。」

僕たちはいつも予期不安を抱え、自分で自分の心を不安定にしているのだと、ハジさんと接して感じました。独立戦争も、世界の混乱も、クルド人としての迫害も、巨大地震もハジさんにとっては、

「起こるべくして起こったこと。それを素直に受け入れ、どうするといいかを自分なりに考えて進めば何も怖くはない。」

すごいおじいちゃんです。

うちの事務局長の明ちゃんもよくいいます。

「恐れていることの9割は起きない。」

ハジさんによればそのたった1割の「起きてしまったこと」についても、それを受け入れていくこと(=向き合う事)が最も大切なのだ、と言うのです。

手を強く握り返す100歳越えのおじいちゃんには初めて出逢いましたが、トルコという国の奥深さを知った大切な出逢いでした。

(つづく)

桑山紀彦

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