今日ははるばる、ハトリア郡の奥地、ファトナバ村に巡回に出かけました。
1月に始まったJICAとの仕事は、とにかくハトリア郡の僻地の村に保健サービスを行き届かせること。そのためにはこれまで全く国や行政が関わってこなかった村があります。その一つがレイメア・クレイク村です。
そこに出かけていくには至難の業で、ディリからまず私たちの第二の事務所があるグレノまで1時間30分。そこからさらに6時間かけていかなければならない凄まじいところです。先日うちの現地駐在員の陽さんとアイダが出かけていった時の写真ですが、
この坂道を結局クルマは降りられず、
仕方ないので、歩いていくと大きな川があり、
仕方ないのでみんなで歩いてわたり、
ようやく仕事を終えて帰るとき、みんなが川岸で手を振って見送ってくれる、という、本当に心のこもった出迎えを受けました。
これから私たち「地球のステージ」は、まさに現地英語名「Frontline(最前線)」を守る団体としてがんばって行かなければなりません。
その道すがら、逆に川の水で大切なクルマをきれいにする我がスタッフたち。
総勢で既に10人を超えている現地スタッフが働くのが「地球のステージ」東ティモール事務所です。
さて、今日はファトナバ村です。
陽さんは青年海外協力隊、インドネシア隊で助産師として働いていました。その力を活かして今日も村で活躍してくれています。毎日忙しく活動する陽さんは、地元の人にも愛されいい感じで活動しています。やはりテトゥン語がまだまだでも元々流暢に話せるバハサ・インドネシア語が話せることが有利ですね。
アイダも一生懸命、妊婦検診をこない、一生懸命診察をしていました。
しかしそこで大変残念だったのは、今東ティモール各地に無理矢理派遣されているキューバ帰りの若い東ティモール人医師です。もう既に国中で問題になってはいますが、その診察態度を見て驚きました。
まず聴診器も当てない、患者さんに触れもしない、診察はただ問診だけ、愛想悪く薬だけを処方して終わり…。
毎回アイダも怒り心頭で、その度本人や保健所長に進言しているのですが、何より可哀想なのは、そのキューバ帰りの若い医者たちが「それしか教えられていない」ことです。
そういう教育しか受けていないので、そういう態度でしか診察できない…。ある意味彼らもどうしていいかわからないのです。キューバで6年勉強してきたら、すぐに全く「先生役」の医者もいない地方に勤務を命ぜられて、どうしていいかわからないわけです。
この国の限界がここにあります。
変に外国に頼り、いい加減な医療志向を身につけて帰ってきて、自己崩壊している。ダン先生もこの「キューバで勉強して帰ってくる」という政策を一刻も早くやめるように何度も言っているのですが、一向に国は変わりません。
だから、私たちはアイダ医師を中心にちゃんとした医療を展開できるように指導していきます。
でないと、誤診が連続し、結局村人が多くの被害を受けることになります。人や自然はすばらしいのに、やっぱり政治がダメ…。これは世界中に共通した出来事なのでしょうか。
陽さんとアイダが真剣に話し合っています。
さて、明日は新しい「東ティモール篇」の制作のために東の端、ロスパロスへいく予定です。アイダと運転手のサビーヌ、明ちゃんと共に。
そしてなんとかその新しい東ティモール篇は4月26日(土)のつくばチームの自主公演で公演できるようがんばります。
アカペトも、ダン先生の「3つの出来事」も復活する予定です。
請うご期待!
桑山紀彦
地理的にたどり着くのも大変な地域もあるんですね。歩いて川を渡るとは。
スタッフの皆さんの心意気を感じます。待っている人たちがいるんですよね。
知識はあっても実際に活かしていくには指導者が必要なことが良くわかりました。
ダン先生の存在は本当に大きいんだなと改めて思います。感謝です。
当たり前の基準が違い過ぎてびっくりです。
大変ですね…・。
こんな難しい状態にくじけず一歩一歩よくする努力を続けることに頭が下がります。