雨の北海道

今日は北海道公演でした。

 今年で7年目になる札幌清田高校のでステージ。
 今年は2番の演目でしたが、昨年までで「震災篇」「復興篇」「未来篇」をやっているため、今回初めてになる「復活篇」を出しました。これは震災4部作の一番新しいものです。
 今日に間に合わせようと思って創ってきたのですが、同時に10月6日の日比谷公園、グローバルフェスタでも出す方向で進めているので、内容を煮詰めていきました。
 「復活篇」は、なぜ今フィクション映画を創るのか、の意味を問います。
 それは、あの忌まわしい津波の映像によって凍り付いて止まってしまっていた私たちの「想像力」をもう一度取り戻すためなのです。もうドキュメンタリーは十分見てきました。重い現実、もちろんそこに希望が持てる内容であっても、「本当の話」は十分見てきたと思います。
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清田校校での公演の様子
 一方で津波を題材にした俳優さんが演じる映画も出てきました。
 西田敏行さん主演の「遺体」、そして福島の原発のことをテーマにした「希望の国」など。でも、津波を題材にした「フィクション」を俳優さんが演じてしまうと、「津波のことを食い物にしている」とか「人の死を何だと思っているんだ」という「そしり」を免れ得ないという不安が、いつも作家や映画監督の方にあったと思います。だから、なかなかフィクション~架空の物語が創れないでるように思います。
 だからあえて、私たちは映画「ふしぎな石」を制作しました。
 すべて被災地で撮影され、すべて被災者自らが出演しているこの映画は「そしり」が極めて低いと思います。特に丹野さんが出演していることは大きい。丹野さんは息子さんの公太くんを亡くしている、とても厳しい状況にあってそれでも映画で本当のことを伝えて下さいました。その丹野さんが、「この映画は大丈夫」と言ってくれたことで、私たちはこの映画を世に出すことができました。
 夢や希望の持てる「あったらいいな」という話しを今こそ、被災地から発信していく必要があると思うのです。
 そして次の内容は赤い消防車の櫻井歩さんの長女、優真(ゆま)さんの手記です。
「あの消防車は残していてほしい。それは家族の心の支え。悲しみに向き合っていくために、あの消防車は必要なのです。」
 という訴えをしてくれた手記が紹介されます。
 そして、今私たちが一番取り組んでいる「津波の遺構を残す活動」を紹介していきます。
 まさに「復活篇」は、誰かに頼るのではなく、自分たちで考え、自分たちなりの復活を遂げようとする人たちの「いのちの物語」です。
 でも、「震災篇」はあの津波の映像と共に「あの時のこと」をしっかり思い出させてくれるはずですし、「復興篇」は震災から1年までの必死の動きを伝えます。「未来篇」は「向き合うことがなぜ大切か」をテーマに子どもたちの踏ん張りを伝えます。
 それぞれのシリーズがぞれぞれの意味を持ちながら独立して存在していますので、どんなふうにでも組み合わせができますから、またご相談下さい。
 清田高校は今日も誠実な姿勢で、心のこもった拍手と共にステージを聴いて下さいました。平成25年度2次の青年海外協力隊としてコスタリカに環境教育で出発する直前の塩谷和樹さんも、母校清田高校に戻ってきて、後輩たちに声をかけて下さいました。
 8月の駒ヶ根訓練所で訓練中の塩谷さんと話していたら、何と清田高校の出身だとわかり、しかも今日のこの日が県庁の表敬訪問だったという、素晴らしい偶然の中で母校に戻ってきて下さいました。
 コスタリカへは9月30日出発です。
 そんな協力隊員の夢も乗せて、今日のステージは雨の中でしたが、暖かく終わっていきました。
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公演を終えて 生徒さんと
桑山紀彦

雨の北海道」への4件のフィードバック

  1. 島根では今年、やっと復興篇。来年に未来篇。復活篇は再来年になるか…。桑山さん、元気でいましょうね!

  2. 山藤さん。
     お陰様で先日ついに「全身PET」を施行しました。ものすごく高かったんですが、これは必要と思いまして。
     結果は全く集積なく、悪性腫瘍の所見はありませんでした。みなさんも健康に見張り番を立て、元気を維持しましょう。
    桑山

  3. 桑山さんの「主張」解りやすい表現でいちいち納得出来ます。
    それにしてもここまでの気配り、細心の注意!大変ですね。

  4. 桑山さん お久しぶりです。
    お身体いたわりながらの ご活躍嬉しく思います。
    また どこかの 地球のステージで お会いするのを 楽しみにしています。

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