タンザニアのマサイ族の村

今回はJICAの仕事でタンザニアに来ています。

 協力隊事務局から資金を得て、こちらの活動の視察をし、それを「地球のステージ」の作品にして10月6日(日)、日比谷公園のグローバルフェスタなどで公演するための作品創りの仕事です。
 JICAタンザニア事務所には盟友、友成さんが次長で勤務されています。今日はそんな友成さんの勧めで下田さんという専門家の現場を訪れました。それはタンザニアのマサイの村の改革の案件でした。
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(樹の下で会議を開く)
 下田さんは行政改革の専門家という難しい仕事をされている専門家ですが、とにかく行政改革というのは住民の意識改革に相当する実にメンタルな仕事です。このマサイの村では家畜のためのため池をつくるというプログラムを行っていますが、ただ「ため池をつくりましょう!」では持続可能なものでもないし、住民参加が得られないことも多いものです。そこで下田さんは、行政改革のためのファシリテーターを育て、その人たちに住民自らを刺激するようなワークショップを組み立てていくように指導します。だから日本人は前面に出ないような仕組みを作っていくのでした。
 そして住民コミュニティの中にリーダーを見いだし、これまでは「待ち」の姿勢でいつも行政や政府にはそしられてきたものが、自ら動き出すことで、実にたくさんのことができるという「小さな成功体験」を重ねていくように影ながら仕向けていく仕事をされていました。
 そうやってこのマサイの村は自分たちの手でため池をつくるようになり、それが家畜の飼育に有利に働くと、生活が安定していったという実体験を共有できるまでになっていました。
 伝統的なマサイ族らしい習慣や風習は受け継ぎながらも、そうやって共同体を育てていくことに成功していたのです。
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(マサイ族の若い世代)
 途中で、割礼のあと大人になるプロセスを踏むべく、真っ黒になって1週間ほど森で修行しているマサイ族の若者たちに出逢ったりしてどきっとしましたが、そういった伝統の中にも今風の考え方(行政改革)を取り入れていくことで、生活の豊かさを実感してもらおうと努力されていました。
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(修行中のマサイ族の子どもたち)
 最後に挨拶に立った、新しい村長のマイケルさんがいいました。
「日本人がわたしたちに教えてくれたことはいくつかあるが、中でも大切なことは、“お金はもらってもすぐに無くなるけれど、もらった知識と経験は永遠に私たちの中に残る”ということである。」
 この言葉にすべてが集約されていました。
 こんな言葉を現地の人に言ってもらえる国際協力って、やっぱり魅力がありますね。
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(村長のマイケルさん)
 明日はキリマンジャロの麓に飛び、その小さな中学校でえらく活躍している青年海外協力隊、海老名さんと逢う予定です。
 請うご期待!
桑山紀彦

タンザニアのマサイ族の村」への1件のフィードバック

  1. ともすれば発展のために文化が置き去りにされかねない。
    習慣や風習を受け継ぎつつ共同社会を作る~理想的です。
    これぞ民主主義ではないでしょうか。
    中央アフリカ諸国にも良い影響が広がるといいですね。

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