今年も最終発表会は歌あり、踊りあり、映画ありと、総合舞台発表の様相になっていました。
それもそのはず。トラウマに向き合い、自分らしいトラウマの物語を作り出したことを出力する場所がこの最終発表会です。ここで「社会」(=聴衆)と再結合するのが心理社会的支援の最終段階なので、大切なステップです。
この場所ではトラウマに向き合うためのエネルギーがあふれており、人間の尊厳を感じることのできる非常に前向きな時間が流れていきます。この日を迎えることができるのは、うちのパレスチナ人スタッフの努力であり、トラウマに向き合おうとするパレスチナ人の勇気があるからです。とても誇らしくパレスチナ人の表現を見させてもらい、自分も「地球のステージ」の代表としての挨拶と共に、父親の死に向き合うために作った「逢いたい」をギター1本で弾き語りして、自分なりの「向き合い方」をみんなに伝えました。
いつもは騒がしい雰囲気になりがちなパレスチナ人が静かに聴いてくれて、全て日本語で歌ったのに最後は大きな拍手喝采でしめてくれました。自分なりの「向き合い」が「受け入れられた」瞬間です。
トラウマには向き合えば強くなれる。逃げようとすればさいなまれる。それがこの最終発表会の場所には満ちあふれていたと思います。
明日は多くの友人たちを巡る旅の始まりです。
桑山紀彦