今回の渡航の目的の一つに、PSOP(心理社会的支援に導かれた人材)への研修があります。
これは心理社会的支援を専門にするファシリテーターの養成とは別に、学校の先生やソーシャルワーカー、医療従事者などに向けて行う研修です。
みんな本当にまじめに取り組む人たちで、JICAパレスチナ事務所から視察にいらっしゃった後藤さんも、
「皆さんの熱意あふれる研修への参加に感銘を受けました。」
と感想下さいました。
そんな2日目の研修が終わった時、長身の若い女性が話しかけてきてくれました。
「ドクターK、私のことわかります?」
「ん??」
「この写真見てください。私はヌール。そしてこれが12歳の時の私です。」
それは、毎年6月に定期的に開いていたサマーキャンプの写真でした。
「この時Fromntlineの活動に参加して、英語を話すドクターKやそれと会話するパレスチナ人に感動して、私はどうしても英語の道に進みたいと思い、今大学3年生で英語を学んでいます。」
「なんと!」
「私の先輩のアイーシャがFrontlineの通訳なので今日は無理して参加させてもらいました。再会できて光栄です!」
「こちらこそ!光栄です!」
こんな再会もあります。
毎年100人を超える子どもたちが参加するのでとても一人一人の子どもたちのことを全て把握することは難しいのが現状です。でもこんなふうに「地球のステージ」の主人公になったわけではないけれど、ひっそりとでも確実に人生のドラマを展開している人がいます。
「この活動に参加することがなければ、こういう人生の選択肢もなかったと思うので、感謝しています。」
180センチ近い身長のヌールがそういって微笑みました。
長い長いガザとの付き合いも来年2月で丸20年。3月末で一旦小休止となります。
桑山紀彦