水曜日、木曜日と、平成22年度閖上中学校卒業生のみんなとのサマーキャンプでした。
これで3回目。昨年夏とこの冬につづいて今回は宮城県七ヶ宿のコテージを借り切っての開催です。今回は17人の参加でした。
みんなあの日卒業式でした。そして被災し同級生は3人が亡くなりみんなバラバラになってしまいました。でも一番哀しい想いをし、一番苦しかったに違いないこの卒業生のみんなに焦点を当ててこれまで関わってきました。
NHK仙台局は、昨年の在校生に焦点を当てていたけれど、みんなが一緒の空間にいて、いろんな想いを分かち合える可能性がある「在校生」よりも「卒業生」こそケアされるべきだと思いました。それは、丹野さんの言葉を借りれば、
「亡くなった人ではなく、生きている人にばかり焦点が当たることに納得ができない。」
という言葉に少し近いところがあるように思いました。だから僕たちはあくまであの日を境にバラバラになって高校生活を送らなければならなかったみんなに集まってもらう事を企画し続けてきました。
でも今回は、高校2年になったみんなが主人公です。だから、実行委員会形式を取り、ヒロちゃん、未来ちゃん、まこっぺという3人を中心にいろんな企画を立てていきました。そんな中で夜の語りがありました。
僕は伊勢原のステージが終わりダッシュで白石蔵王駅に戻り、クルマを飛ばしてコテージに駆けつけたのでした。そして程なく、高校生たちの語りが始まっていきました。テーマは、
「あの日、あの時、自分はどうしていたか。そしてその後どうしたか。」
です。直後から1回も会えていない同級生だっています。あの日をどう生き抜いたか、それを同級生同士が語り合い、分かち合うことを目的にしました。
すばらしいと思ったのは、誰一人遠慮することなく、誰一人いやがる日となく、あの日のことをきちんと話したことです。そのため全時間は2時間20分に及びました。でも短くても5分。長いと15分以上も話し続ける彼ら彼女らを見ていると、本当に誇らしく、そして頼もしく思えました。
ご両親とも失った寿弥君。ゆっくりと、でも丁寧にお母さんの遺体と対面したときの話をしてくれました。
お母さんと妹を失った浜ちゃん。津波に巻き込まれ、2日して病院で我に返り、その後お母さんと妹の遺体に対面するところもちゃんと話してくれました。
弟とおじいちゃんおばあちゃんを失った春花さん。3人を探すために遺体安置所でどんなご遺体に触れてきたか、ちゃんと話してくれました。
同級生たちは、それこそ身じろぎもせず、ちゃんとその語りを聞いています。
「オレ、ちゃんと聴いてっから。」
「わたし、ちゃんと解ってっから。」
そんな心が集まってまるで一つの繭玉のようになりながら、17人が「あの日のこと」を語り尽くしていきました。誰からともなく語り終わると拍手が出て、誰が次しゃべるかという順番だって、自然と決まっていきました。
この会が開けてよかった。
この子たちに逢えて本当に良かった。
この子たちと定期的に会って来られて、本当に良かった。
その場にいた我がスタッフ全員がそう確信し、常に目に涙を浮かべていました。
そしていっせい君が、
「またこういう会をやってほしい。」
と高らかに言いました。でも僕たちが企画するのはここまで。あとはこの同級生たちが自ら企画していくことをお願いしました。そしてみんなの意見が集まり、
「こうしたいので、お金出ませんか。」
「こうしたいので、協力してくれませんか。」
と彼らが言ってくるのを待つことにします。その時はまたとことん付き合いましょう。
彼らの成長、彼らの想いの整理を、これからもずっと見守りながら進んでいきたい。そう強く思ったサマーキャンプでした。
最後には閖小で記念撮影。
やっぱり彼らにとってもこの閖小が「母校」です。自由に入れて、自由に使える。そんな閖小であってほしいと卒業生たちも望んでいました。
こうして、感動のうちに第3回目の平成22年度卒業生の集いが終わっていきました。
みんな、ありがとう
桑山紀彦
ありがとうございました。卒業後のケアが,特に今回の場合はなおさら必要ですが,学校では残念ながら難しいです。あたたかく,どうぞこれからも見守っていただければ幸いです。FBでシェアさせていただきました。閖上の私とつながっている方々に紹介させていただきます。
心の中の辛い思いのフタを開けて語れば黙って聞いてくれる仲間たち・・いい時間を過ごされましたね。
とことん付き合いと言う桑山先生の言葉にまた感動・・・
平成22年度閖上中学校卒業生の皆さんの未来にいっぱい幸せが
訪れることを祈っています。
明日(今日ですが)父の49日の法要です。私の子供達も帰省してきました。長女は先日大学のお友達のおばあちゃんのお宅に遊びに行きました。その時、おじいちゃん、おばあちゃんがいるのを見て羨ましくて15分位涙が止まらなかったとはなしてくれました。電車でおじいちゃんといる子を見ると涙が出るとはなしてくれました。でも救急車で搬送されてそのままでなくてよかった。おじいちゃんに会えたから良かった。と話してました。
心の準備も無いまま、わかれてしまった子供達、勿論大人も、ほんとに辛かったでしょう。
自分達の力で企画で、是非、開催して欲しいです。頑張れ卒業生!
「おれたち、ちゃんと聴いてるよ。」
「わかっているよ。」
という仲間がいる事はほんとうに心を強くしますよね。
辛い心の内を聴いてもらっただけで、前に一歩進める気がするのです。
いい仲間を持てて良かったですね。
この哀しみに負けないで下さい。
みんなで支えあって
この哀しみを大きな力にして行けますように。
きっと
苦しむ人達の心を理解できる
温かい大人になってくれますね。