今日は訳あって長野県駒ヶ根にいます。
満を持して始まった海外協力隊の訓練。1年間を5隊次に分けて密を避け、クラスターなどの発生を極力抑えるためにオンライン講座も盛り込んで、JICAは苦労しながらも協力隊の訓練事業を再開させていらっしゃいます。
新型コロナ禍にあっても国際協力の灯を絶やしてはなりません。まだまだ模索はあっても何はともあれ訓練が再開されて、本当に良かったと思います。
そんな中新しく赴任された小林所長様と面会させていただけました。今後の「地球のステージ」の展開について有益な意見交換ができたと思っております。
さて、この地には「支部長」と呼んでいる宮澤さんがいます。訓練所の活動に深く関わり、地域の国際化にも尽力する宮澤さんは造園業を営んでいらっしゃいますが、名取にあった「地球のステージ」の痛んだ看板を譲り受けてくださり、きれいに直して飯島町の実家に設置してくださっています。だから「駒ヶ根支部」ということで「支部長」と呼んでいます。
そんな宮澤さんが連れて行ってくださったのが、本格的インドカレーのお店「アンシャンテ」。
オーナーの小笠原さんは昭和59年度の青年海外協力隊員。赴任地はバングラディシュで職種は農業機械でした。知り人ぞ知るこの小笠原さん、いつかお目にかかりたいと思っていましたが、本当にすごい人でした。
バングラディシュに赴任して2年間、必死に活動し1年間の任期延長を認められて結局3年間活動したのですが、まだまだ活動は現地で必要とされ、4年目の任期延長を申し込んだそうですが、さすがに前例はなく、それは認められませんでした。でも村のみんなが必死に慣れない名前を書いて、実に1000人の残留を求める署名を集めたそうです。しかしそれを持ってしても4年目の任期延長は認められなかったそうです。
その時の落ち込みと、村人への申しわけなさが「宿題」となり、ベンガル料理を学んでこのお店の開店につなげたとのこと。小笠原さんは言います。
「彼らの思いをずっと自分の心に刻むためには、彼らの料理を日本に伝え続けることだと思ったんです。」
それを彼は「宿題」と呼んでいるのです。この宿題はおそらく終わりのない探求なのだと思います。そして小笠原さんは続けます。
「バングラディシュと言えば、洪水、貧困などとよくないイメージばかり。でもベンガル料理というすばらしい文化を持っている。そんなバングラディシュの人々の”陽”の部分を知ってほしいと思ったんです。」
そんな小笠原さんは現在65歳。でも大きな夢を持っており、バングラディシュで大きな事業を展開しようと本気で考えています。
「今のお店は誰かが代わりにできるように計画して動いています。もうじき、私はバングラに再びどっぷりひたります。」
すごいな~!
人生いくつになっても探求。小笠原さんは自らに課した「宿題」を解こうと、これからも歩み続けるのでしょう。
とっても励まされました。
桑山紀彦