さて、音楽ワークショップも2週目に入りました。
2週目の課題は「音階」です。
確かにモノは楽器に変わっていきます。もちろん瓦礫だって楽器に変わる。子どもたちが「ガレッキ」と呼ぶ、そのモノたちにも命が吹き込まれてちゃんと音として鳴ります。
そして同時にそれには「音階」があります。
いわゆるドレミファソラシドです。
今日はまず雨樋を使って曲の演奏をしました。
直径が60mmと55mmのものを組み合わせると、スライドするパイプになります。そのパイプをスライドさせることで「チューリップ」の演奏を優子ちゃんとしました。
さすがに今日は木曜日。4回目の演奏なので優子ちゃんのパイプ・スライドも慣れてきてちゃんと音階になっていきます。
こうして、「モノには音階がある」と言うことを知った上で、今度はもう一回拾ってきた瓦礫を叩いてみます。するとやっぱりそれぞれに音階があるわけです。
鉄パイプは「ド」で鳴りました。
温度計の木は「レ」で鳴りました。
打ち込む杭は「ソ」で鳴りました。
ガラスの破片は「ファ」で鳴りました。
しかしどうしても「ミ」と「シ」がないのです。
「みんな、瓦礫の中から“ミ”と“シ”を捜しに行くか~?」
「いく~!」
「閖上に行きたい~!」
ということで来週は閖上や宮城県農業高校の瓦礫の中から「ミ」と「シ」を探し出すことになりました。
そして、「津波の日」を思い出して、
①「あの日、自分が一番悲しかったことは」
②「あの日、自分が一番ホッとしたことは」
③「あの日、自分が一番覚えていることは」
④「あの日、自分が一番伝えたいことは」
をそれぞれに書いていきました。みんなちゃんと思い出しながら書きます。
園か彼ら言葉の中から僕がいいなと思う言葉を拾い出して、歌詞にしていきます。そして、みんなと歌ってみました。みんな、自分が書いた言葉の一部が歌詞となって曲になっていくので驚いていました。
それから「未来について」を考えながら、
①「自分が一番願うことは」
②「自分が一番手に入れたいものは」
③「自分が一番さけたいことは」
④「自分が一番住みたい家は」
⑤「自分が一番暮らしたいところは」
を言葉にしていきます。そしてまたその中の言葉を拾い集めて、僕が即興で歌詞をつくり歌っていきます。
こうして、音楽ワークショップはゆっくりと深まっていきます。
桑山紀彦
遠く離れた島根でのあの日の私です。
①「あの日、自分が一番悲しかったことは」
まだ被害状況が詳しく報道されてませんでしたので、悲しみより、驚きや怖さが先でした。
②「あの日、自分が一番ホッとしたことは」
桑山さんと明ちゃんが無事だというメールが来たこと。
③「あの日、自分が一番覚えていることは」
地震のニュースを聞いてから、上記のメールが来るまでの不安感。心臓のドキドキ。
④「あの日、自分が一番伝えたいことは」
「あの日」に限って言えば伝えたいことなんて思い出せません。なにも考えられなかった。いろいろ考えだしたのは翌日からでした。
このワークショップは自分を深く見つめる機会になりますね。
こういう授業をうけてみたいなあ、と思います。
子ども達が「未来について 一番願うこと」はどんなことかしら?
完成を楽しみにしています。
子供たちは作る体験から、確実に何かを得て心を強くしていると思います。ワークショップは楽しみながら学ばすすばらしい教室ですね。