今日土曜日に診察した30代女性。
ずっとテレワークを続けているけれど最近不眠がひどいと言います。実は彼女だけでなく、実に多くの人が最近不眠でクリニックを受診されており、そのほとんどが「テレワークが長く続いているうちのこうなった」と言っていることが気になります。
通勤のストレスもなく、経費もかからない。コロナが開けてもこのままテレワークでいけるんじゃないの?という企業も多いと聞きますが、本当にそれでいいのでしょうか・・・。
まず第1に多い①不眠。これはなぜ起きるのか。患者様の話を聞いていると完全に「オン・オフがつけられなくなっているから」という答えが返ってきています。どこからどこまでが仕事で、どこからがプライベートなのか分からなくなってきています。ついつい仕事はしすぎてしまうし、気分転換も図れず、今日の患者様は、
「日々の生活に境目がなくなってしまったような感じ」
と表現されていました。すると当然眠りに影響が出てきます。眠りは日中の活動の整理のようなものです。メリハリがない日中であれば眠りの質は下がる。それは不眠~入眠困難と浅眠(せんみん)につながっていると思われます。
続いて②身体の疲労感。これは圧倒的に運動不足から来るものと思われます。辛いけれど、なんだかんだで満員電車にゆられてきた身体は、知らず知らず鍛えられてきたのだと思います。
それから③身体の熱感~ほてり。特にパソコンに向かうと急に身体が熱くなり、コロナにかかって熱でも出たのではないかと思うほど火照ってくるという症状。みんな一致しています。これはおそらくパソコンに向かうということにストレスを感じているため、その「反応」として起きている事のように思われます。テレワークという仕事形態が自分に合ってない場合に多く出現する傾向です。
加えて④「喉の痛み・かすれ」~これはビデオ通信の場合、遠い画面の向こうにいる相手に自分の言っていることを伝えようと思うと、思わずチカラが入ってしまい知らず知らずに声が大きくなっていることから来るように思います。目の前にいる相手に語りかけるよりもほぼ1.5倍くらいの音圧でしゃべっている事が原因のようです。
これらを持ってして「テレワーク症候群」と呼びたい。
しかも厄介なことに②、③、④って新型コロナに感染したときに出る症状にも似ているから余計に神経質になってしまいます。
テレワークも一つの仕事の形態だと思いますが、こういった症候群が出ることを理解して臨まないとすごい不調感を抱えて仕事ができなくなってしまうかも知れません。テレワークの皆さん、まずは不眠に要注意!
桑山紀彦