今回の新型コロナはもちろん生物感染であることは当然ですが、実は心理感染する厄介なものなのではないかと思う日々です。
それは言わば「心理感染症候群」とも呼べる状態。
日々コロナのニュースを耳すると、不思議と息苦しくなったり、喉のあたりがいがいがしてきたり・・・。場合によっては少し熱が高めになってきたりする「疑似感染」のような状態が引き起こされている患者さんにとてもよく出逢います。
しかしPCR検査はまだ身近ではなく、例え身近になっても「陽性」を恐れてなかなか行動には出られない。するとこの心理感染はもっと深いところに忍び込んでいきます。例えば不眠や不安発作のような状態。
「とにかく最近調子が悪い。」
それは多分にこの「心理感染」が起きているからではないでしょうか。
実はうちの患者さんからこんな話を聞きました。
「山形の新庄市で感染した大学生がいましたよね。たまたま首都圏の大学から帰ってきた息子が陽性で、あっという間に家族全体に拡がり、それまでほぼ「ゼロ」だった山形県としては底辺憂慮する事態になってしまった、あの件・・・。
実はその家族、その後の誹謗中傷に耐えられず引っ越ししてしまったみたいなんです。」
なんともすさまじい話しだと思いましたが、実は僕はその夜眠られませんでした。いや眠るんですけれど、何度も目が覚めてしまったのです。
そんな自分を知ったとき、
「ああこれは新型コロナの心理感染症候群の影響だ。」
と思ったのです。
この心理感染はウイルスが媒介するものではなく、人間の心が「察知」してしまう自動的なものです。だからすぐに拡がるし、それがひいては社会的な感染を引き起こしてしまっています。
つまり「自粛ポリス」のような存在やネットに拡散する「根も葉もない噂」の原動力となって・・・。
生物感染が心理感染を引き起こし、その末に社会感染を引き起こしている。まさに精神医学の世界においても未曾有の事態。
しかしよく考えてみると、この心理感染は自分たちの知恵と勇気で阻止できる可能性があります。なぜならばそれは一人一人の気持ちのあり方が心理感染への抵抗となり、ひいては(心理的な)免疫の獲得につながるからです。
皆さんの心の奥底に心理感染するかも知れない新型コロナ。でもよく考えれば、それは「偽物の感染」です。自分を知り、不安をうまく解消していくことでそれは回避できるはず。
日々試されますが、気持ち強くいきましょう!
桑山紀彦