日本社会の寛容さが試されている

今、緊急事態宣言が出された地域において、一番辛いのはいくつかの「風邪症状」があってもしかしたら新型コロナに感染したのか?、と思っているのに、これでもしも陽性だったら職場や周囲にどんな迷惑をかけるだろうかと思っておびえながら何も言えないで日々を過ごしている人たちだと思います。
 その8割が軽症とは言っても、微熱があったり、咳や痰、息苦しさがあると「これは新型コロナではないか」と思うほどに感染は蔓延し、もう誰がかかってもおかしくない状況です。
 でも軽症の場合はおそらく自宅待機かホテル待機なので、それだったら自分の家で我慢してすごそうとする人がものすごい数でいるのではないか、と思えてきます。アビガンが容易に手に入るのであればもうそれを飲んで静かにしていたいと思うけれど、処方は確定診断の元、指定された医療機関ではないと処方されないはず。
 もしもその人が自営業者だったら、ある意味社会的な「死」を宣告されるようなものなのではないでしょうか。
 神戸大医学部の感染症科教授、岩田先生は見事にこの危機感を訴えており、
「感染したことを謝るのはおかしい」
 と明言しています。本当にその通りだと思います。夜の街をこの時期にフラフラしていて感染したらそれは多少なりとも責められるかも知れない。でも現状では普通に生活していても感染する可能性が出てきているのがこの神奈川であり、首都圏です。
 謝罪しなければいけないのではなく、いたわられるべき存在。
 この日本社会の寛容さこそが、新型コロナウイルスによって試されているように思います。
 
桑山紀彦

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