皆様
大変ご心配をおかけしましたが、今ベングリオン空港(テルアビブ)の出国ゲートB-4におります。そう、ベングリオン空港で出国拒否には遭いませんでした。それどころか、過去17年間で一番軽く、ほとんど何も聞かれないで実に20分で出国できたのはひとえに「日本人を留め置くな」という指令が来ているからだと思いました。
これは逆に異常事態で、ふつうはとにかくチェックインカウンターにたどり着くまでに1時間以上詰問されガザに入ったこと、ヨルダン国境で追い返されたことなどを聞かれると想定し、手書きの「行程書」まで用意したのに、係官は目配せをし、
「日本人が来た。早く出せ」
という身振りで僕を送り出しました。これは決して被害的思考になっているのではなく、こうして国内の感染禍を最小限に食い止めたいイスラエル政府の意向なのだと思います。そのおかげで最速記録を更新して今ゲートまでたどり着けました。このまま呼び出しなく17時05分(日本時間24時05分)のルフトハンザ航空ミュンヘン行きに乗れれば今日の22時05分にはフランクフルトに着き、明日の11時30分発全日空に乗れて28日(金)の6時55分には羽田空港です(そのままクルマで迎えに来てもらって9時から外来という、20代の大学病院時代のようなことをやろうとしているので、トホホですが・・・)。
在イスラエル日本大使館の皆さんも本当に安心してくださり、思わずみんなで笑ってしまったくらいの「肩すかし」でしたが、無事出国できそうです。でもまだ呼び出しの可能性が本の数%・・・。
ここで思ったのは、「気を抜くと失敗し(思いもよらない目に遭い)、用意周到に臨めば成功する(拍子抜けするほどうまく行く)」ということでした。
皆さん、ありがとうございました。
おかげさまで最終のシンポジウムはこれまでに無い盛り上がりでした。西岸で「心のケア」に携わる人や学校関係者、行政の皆さん、日本大使館からも多くの人が来て下さり、本当に「集大成」という感じでした。ヨルダンで追い返されたから今日最後まで参加できたとも言えます。
中でもマイ、ハッサン、ホダの発表は見事で、この3年間で完全に「心理社会的ケア」が身についていることを実感し、感慨にふけりました。そして座が和むと多くの人が質問に来て下さり、
「こういうケアモデルがやりたかったんだよ~」
「なんでやめちゃうの?またやろうよ!今度はうちと一緒に!」
という質問の嵐で、最高の時間が過ごせました。順子さんも最後は感極まっていましたし、僕も正直泣けてきました。
一旦この地~ヨルダン川西岸での活動は閉じますが、またいつか機会を見て戻ってこようと思います。
西岸スタッフと順子さん、心理社会的ケアに栄光あれ!
桑山紀彦