活動一日目

久しぶりのガザは時々激しい雨の降る寒い冬の風が吹いていました。

それでも駆けつけたラファの会場には多くの人が集まり、子どもたちの総合発表会を今か今かと待ちわびていました。6年目になる今年、この活動も一段落ということで今回はラファ市長、ラファ市教育委員会教育長も臨席され、日本大使館のパレスチナ人スタッフも駆けつけてくれて大きな盛り上がりの中、子どもたちの発表が進んでいきます。パレスチナTVの数名で取材に来ており、この活動への関心の高さが伺い知れました。

 

今回の司会はなんとモハマッド・マンスール。そう13歳で「色のない街」を描いた少年は成長し24歳となって今我が団体のスタッフとして活動しています。そのスーツに身を包んだモハマッドをみると、この活動が彼という一人の人間の成長に大きく関わったのだと自負させてもらいました。

怒りに燃え、ともすればそれがゲリラの兵士となる道に進ませてしまう環境もある中で、彼は子どもたちの心のケアを担うスタッフとなったのです。心理社会的ケアにおける第3段階「社会との再結合」がこうして実現したことになります。自分のトラウマの経験が、次の人々の心を元気にする摩てのエネルギーになっていること、それが「社会との再結合」。スーツ姿のモハマッドをみると、まさに「社会化」した様子を見て取ることができました。

内容も充実し、あっという間に2時間が過ぎていきましたが、2回の展示室に入ると、現地スタッフがいかにこの「心理社会的ケア」を正しく理解しているかが分かります。ラファ市長と教育長が大きく興味を持って下さり、今後もこの活動を続けていこうと声をかけて下さいました。

こうして1年を締めくくる総合発表会が終わっていきましたが、見事な晃成と演出に圧倒されました。そしてその極みがモハマッドが制作指揮をしたプロモーションビデオ。まさに「トラウマに向き合う」ということを具体化したそのビデオ構成と芸術性の高さに圧倒されました。データを持ち帰りますので、是非皆さんに見てほしいと思います。

こうしてガザの活動は1年の締めくくりを行っていきました。

手前味噌ですが、うちのパレスチナ人スタッフを誇りに思います。

桑山紀彦

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