村を歩くと、心地よい風が吹いてきます。その風にゆられながら細い路地を進み、あてどなく角を曲がっていても全然不安にならないふしぎな村。時々そんな風の中に子どもの笑い声や、かすかな話し声が混ざって聞こえてきます。どこかの家での家族の会話。子どもを呼ぶ声、牛のいななき・・・。静かな村だけれど、実は風に乗っていろんな「音」が聞こえてくることに気付きました。すると・・・。映画のアイディアが浮かんできました・・・。
映画「ふしぎな風~パオの大地」
ある日3人の少女が小学校で遊んでいました。すると突然強い風が吹いて学校の真ん中の木がワサワサと揺れます。そしてその風の中にささやくような声が聞こえてきます。3人がその声が示す方向に向かうと、一人の農夫が土を握りしめてたたずんでいました。おそるおそるその農夫にどうしたのかと聞くと、彼は「雨が降らない」と絞り出すように語ります。そこでは気象の変動に翻弄される農業の現状を知ります。
そしてまたつむじ風が吹いて目をつぶると風の中にささやく声が・・・。こうしてもう2人の大人と出会い3人は「生きること」「暮らすこと」を学んでいきます。そしてついに村で一番大きな木のふもとで風が吹き、聞こえてきた声が示したのは・・・。龍神の沼でした。
久しく龍神沼に行っていなかった3人は久しぶりにそこを訪れます。神秘的な龍神沼は昼間でも暗く、人の気配がしません。すると突然湧き出る紺碧の水の底から龍が現れ(ちなみにCG合成です)、3人に語りかけます。それはパオ族であることの誇りと村を守ることの意味・・・。
まずはシナリオを書き、絵コンテにしてイェイェさんに送り、キャスティング、ロケハンを通して制作へ入ろうか、と。
これまで「石が光る映画」は閖上と、ガザ、そしてヨルダン川西岸で作ってきました。そこには「トラウマ」「人が亡くなる」というとても大きな出来事があり、それにどう向き合うかを考えた時「映画で描く」という視点が出てきました。でもミャッセ・ミャーは自立を果たしているふしぎの村です。なかなか映画としてあげけるようなものではないと思っていました。でも村を歩いた時、風の中に人の声が聞こえたのです。そして関われば関わるほど村に課題がないわけではありません。だったら、映画の可能性はあると思うのです。
国際協力と映画制作。
これは普遍のアプローチではないかと思いたい。だからこのミャッセ・ミャーを舞台にした映画は完成させたいと思うのです。
そして第2作目はぜひ小説家を目指すナンカンさんに書いてほしいと思うのです。
桑山紀彦
映画の完成を心待ちにしています。ブログの写真を見ても神秘的な風景ですね。bigな画面で見るのを楽しみにしています!