ふしぎの村〜村長の人望

「ふしぎの村~ミャッセ・ミャーの魅力」

今回の高血圧が特に村の男性陣を中心にみられたこと。女性陣には数名を除いてとても健康的な人が多かったこと。なぜでしょう・・・。健康診断のデータを見ると男性の最高血圧の平均、159に対して、女性の平均値は144で、t検定を行うと5%以下で有意な差が認められました。男性陣の方が血圧については健康状態がよくないと言えます。

村長さんのおばあちゃんはもう自分の年も分からないくらい。でも日本軍がここに駐留していたことをよく覚えていて、日本の軍歌も歌えるくらいだからおそらく85歳は超えているはず。それでも血圧を測ると全く正常値。なんでここまで元気なのか・・・。

すると我が通訳のタンナインさんが言うのです。

「パオ族の男はみんなだらしないです。みんな賭け事が好きであまり働かないんですよ~。」

え??衝撃の事実??

「この地域は昔からシャン族が多く住んでいました。昔のシャン族は大麻を栽培していた時代があってあまり働かないでも裕福に暮らしてきた歴史があります。それがこの地域の少数民族にも見られて結構男たちはみんな働きません。しかもシャン族もパオ族も男たちは賭け事が好きで大変。女性たちはいつも苦労してきました。

そんな歴史の中でパオ族は女性はとてもよく働き、男性は伸びきった人が多くなりました。」

そういえば、イェイェさんのお父さんはなんとインター族です。つまりパオ族のお母さんはパオ族の男と結婚しなかったのです。この時点で既にこの「仮説」が証明されている感じがします。そして真面目なパオ族の女性と、これまたよく働くインター族のお父さんの間に生まれたのがイェイェさんだったわけです。ものすごくうなずけることではありませんか??

じゃあ尊敬する村長さんはどうかというと生粋のパオ族です。でも「仮説」に反して本当によく働くし、村のことを一生懸命考えている珍しいパオ族です。そんな村長さんにも衝撃の事実が・・・。

「実は村長さんの奥さんは再婚なんです。前の旦那さんがそれはそれは働かない、賭け狂いの夫でした。それで一女をもうけたけれど奥さんは決心して離婚しました。そこに現れたのが今の村長でした。6つも年下だけれど、一目惚れして娘と共に今の奥さんを家に迎え入れたのです。

最初、連れ子の娘は村長をお父さんとなかなか呼んでくれなかったけれど、やがてこの夫婦にも子どもができて、その子がお父さんと呼ぶのをみてようやく連れ子の娘も村長のことをお父さんと呼ぶようになったのです。長い時間かかりましたが、村長は深い愛情ですべての子どもを育てています。」

あっぱれ村長!すばらしいドラマがそこにありました。

太目の人をみることが少ないこの村で、唯一村長の奥様はふくよかです。村長は元々そんなふくよかな人が大好きだったそうで、よい出逢いだったと思います。

これからもミャッセ・ミャーは女性主導で発展していくのだと思います。今の最終学年11年生でも、残って勉強をがんばっている男の子ははたった一人、ミョー・テイだけです。あとの12人はみんな女の子。この進学率にも女性優位が現れています。このアンバランスをどうしていくのか、考えてみれば村の課題なのかもしれません。

そんな中でもう一つすごいと思うことが!

それはこの村のお母さんたちは自ら話し合い、子どもたちには高校を卒業するまでは絶対にスマホを持たせないようにしているとのこと。スマホの弊害を考えるとあまりに危険なのでみんなで話し合ってそうしているのだそうです。

そんな環境づくりができるこの村、ますますすごい!

まさに日本にとっては「ふしぎの村」そのものではないでしょうか。

桑山紀彦

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