村の11年生のがんばり

ミャンマーの高校は卒業試験と大学入試がセットになっており、本気で大学に行きたいならば一生懸命勉強してこの試験に通らなければなりません。もしもこの試験に落ちてそこであきらめてしまうとなんと高校卒業の資格も得られないという厳しい状況になってしまいます。

だから最終学年11年生は必死に勉強します。そして通常の学校の授業ではとても受からないような難しい問題が多いので寄宿学校に入り、みっちりと特訓を受けるという道を選びます。ミャッセ・ミャーの子どもたちは奨学金を受けていることも追い風となり、あえてこの道を選び、アウンバンの寄宿学校に学ぶ子どもたちが多くいます。その子たちが「今日も模擬試験」という一人を除いてみんな村に帰ってきてくれました。

圧倒的に女子が優位なこの村において11学年に唯一残った男子としてミョー・テイが来てくれました。3年前、名前の登録が終わってジュースを出しみんなでほっと一息ついて帰ろうとした時、ミョー・テイは自主的に袋を持ってみんなの飲み終わったジュースのカラを集めていました。その何気ない優しさにすっかり惚れ込んで、僕はミョー・テイが大好きになりました。新曲「国境を越えて」のミャンマーパートの映像にもあえてミョー・テイが踊っている姿を使っているのはそのためです。

1年ぶりのミョー・テイはすっかり大人の顔になっていました。達者に英語を話すようになったのもやはり受験勉強の影響なのでしょう。そして相変わらず優しくこちらを気遣うその様子は変わりなく、彼にはこの過酷な卒業試験を切り抜けて夢を果たしてほしいと思いました。

今回「今日も模擬試験」といってアウンバンに残らざるを得なかった、ユーン・ワティは今一番新しいCDのジャケットを飾っている美少女ですが、お母さんが代わりに来てくれて彼女の着飾った晴れ姿をスマホの写真で見せてくれました。離れて勉強に励む娘のことをとても誇りに思っています。

こうして最終学年11年生の闘いはその試験日、3月11日まで続きます。なんと私たちの「追悼の集い」の日、支援するこの村の11年生もとても重要な日を迎えているのです。

子どもたちの成長はあっという間だなと思う。僕がそう思うのだから親はもっとそう思うでしょう。過ぎ去っていく毎日の愛おしさが伝わってきます。仲のいい家族がたくさんなので一層その愛おしさは大きいものでしょう。

やがてこの子たちが成長して一つの職業を得、この故郷に貢献できたとしたらそれは村の大きな財産になると思います。驚異の進学率を誇るミャッセ・ミャー村はこうして「教育」という財産を元に発展していくに違いありません。

桑山紀彦

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