今日から第2回の閖上中学校卒業生とともに開く「ワークキャンプ」です。
舞台は夏の第1回目とはがらりと違って作並温泉。そう、温泉旅館を舞台に1泊2日のワークショップです。ドキドキですね。
朝の9時30分に「東北国際クリニック」にはたくさんの父母が集まり子どもたちを見送りました。でも中にはお母さんだけでなくご両親とも失っている人だっています。でもみんなちゃんと集まり貸し切りのバスで出発です。
それからこのブログを書くまで、ずっとこの高校1年生たちと接してきました。思うことは、
「みんな素直でいいなあ。」
ということ。見た目突っ張っていても、見た目、少々不安な感じがあっても、心根の優しい彼ら彼女たちはやっぱりいつも仲のいい「閖上人の子どもたち」なんですね。食事の時間になればお互いが好き嫌いを良く熟知しているんです。
「お前こういうもの嫌いだったよな。オレもらうよ。」
「お前相変わらず箸の持ち方変だぞ、早く直せよ!」
とか。
そしてふと気づくと男子同士が、
「あ~ん」
と直接口の中に運んでいるではないですか。すごいな~。これはまるで兄妹のようです。そう、閖上の子どもたちはみんなそうやって育ってきました。中には若葉幼稚園から中学校3年生までの12年間、ずっと一緒だったという子どもたちもいます。そうやって「閖上人」としてまとまってきた彼らの街を津波が襲い、みんな奪っていったんです。でも彼らの友情や愛情までは奪えません。
一見引きこもりっぽいのか?と思っている人にも、みんながまんべんなく声をかけます。
一見浮いているのか?と思っている人にも、みんながちゃんと接してきます。おそらく閖上の外の世界にいたら、傷つけられて嫌な思いばかりが積み重なりそうなのに、閖上の仲間たちに支えられて、ちゃんと成長している。その姿を見ていて本当に幸せでした。自分のこう3の息子のことを思いながら彼らを見ていると、この22人すべての高校生の親になった気がして、愛おしく、そして切ない時間が流れていきました。だってみんな家を失い、家族を失ったのに、ちゃんと生き抜いてきた子どもたちなのです。その誇らしさと、愛おしさで食事中も僕はずっと微笑んでいました。そして思った。
「これで満足だ、十分だ。この子たちが“久しぶりだな”“逢えてうれしいよ”。”ご飯もおいしいね”と言ってくれたら、それだけでこのワークキャンプを開いた甲斐というものがあるものです。
久しぶりに幸せな気持ちになりました。
さて、いよいよ閖上人生ゲームの始動です。
閖上を舞台にしたすごろく型「人生ゲーム」ですね。
まずは自分たちで「コマ」の中の出来事を新しくつくって書き込んでいく作業を行います。
「ねえ、ゆり中の前の大きな店ってなんだっけ?」
「何言ってんの、生協じゃん。誰でも知ってるよ。」
とか、
「ねえ、若草寿司行ったことある?」
「そりゃぁあるよ。どのお寿司もうまかったじゃん。」
といった会話があちこちで生まれてきます。これでいいんです。こういった過程を経て、自分たちが確かに「閖上」という街に住んでいたことを確認していけるのですから。それはいわば「土台」です。その土台があれば、これからの未来をちゃんと築きあげていけると信じています。
山あり谷ありの人生ゲーム。その舞台がもろ「閖上」ネタであることに一同みんな盛り上がって良い感じなんです。もちろん株で大損すれば、みんなが冷やかしますが、ぜんぜん悪気がない。そうやって小さい頃から共に生きてきたもの同士の会話が生まれます。
全4組ありましたが、どこも盛会で、舞台が引けていくのでした。
明日の活動も要チェック!
桑山紀彦
どこの国に拘わらず、どのような状況下でも、子供たちには立ち上がる強さがあるのでしょうか。
邪気が少ないからすぐに打ち解けた会話が飛び交う・・・そして思いやりの心に繋がる・・・連帯感が生まれ・・・希望に繋がる。
明日はそういう2日目になってほしいです。
さきほどNHK総合で、閖上の子供たちの町づくりを放送していました。途中からでしたが見ることができました。
昨年末、名取市役所でジオラマを見ているので、画面の子供たちが身近に感じました。
この「身近に感じる」っていう感覚が、本当に大切だと思います。
Y.SANTOさんの『「身近に感じる」っていう感覚が、本当に大切』
という言葉に、全く同感しています。
「少しでも力になりたい」「少しだけでも寄り添っていたい」という想いが強くなっていくのは
相手を身近に感じればこそなんでしょうね。
震災後の支援にしても、尻切れトンボになってゆく現実があるのは「身近に感じる」という感覚が薄れてしまうからなんでしょうね。
そういう意味でも、桑山さんが毎日ブログを発信して下さることは、
被災地の方たちや遠くに住む人たちにとって、どれほど大きな力になっていることかと、改めて思わされます。
このブログによって、閖上の方たちばかりでなく、コメントを寄せる方々をもお会いしたことはありませんしどこのどなたかは存じませんが、身近に感じています。
治療は継続が大事なのでしょう。
第一回に引き続きこの冬は「ゆりあげ人生ゲーム」で第二回のワークショップ。しかし、第三回や第四回へと積み上げていかないと効果がないものなのでしょう。
その継続のなかで「子どもたちのこころ」も緩んでいくものなのでしょう。
どうか、どうか、一日も早く、閖上に暮らす人々のこころが癒されていくことを切に願っています。
和歌山 なかお
今朝、ラッキーなことにジオラマのNHK放送を見ることが出来ました!
夫と二人で見入ってしまいました。
放送を通して、桑山さんのケアに理解を深める人が増えていくと思います。
人生ゲームは大成功だったようですね。今日は何をしたのかしら?