東ティモール3日目

 今日は朝からダン先生と病棟の回診でした。

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 一言でいうと、HIVのケースが増えたということ。この東ティモールにもエイズの惨禍が迫ってきているのです。加えて、従来の結核が猛威をふるっているため、エイズで免疫力が下がったところに結核感染のダブルパンチで、重症化しているケースが多くなっています。
 マラリアは蚊帳の配布や特効薬「コ・アルテム」のおかげでずいぶんと深刻さがなくなっていますが、代わりに他の感染症が増えているということはとても皮肉です。
 やはりダン先生の存在は大変重要で、彼のおかげで保てているギリギリの「健康」というものがあると思います。いつまでもいつまでも元気でいて頂かなければなりません。
 さて、午後からはエルメラ県のグレノにある孤児院「HOPE」に行きました。ここは明ちゃんが以前数ヶ月暮らしたところであり、いつも通っては応援しているところです。代表のイサはオーストラリア人ですが、東ティモール人のイナと結婚して3人の子どもを持ち、この孤児院を運営しています。
 子どもたちはとても素直です。
 でも、時にシャイなことも多く、訪ねても何も出来ないこともありました。しかし、今回のスタディツアーには強力な「野球好き」がいたのです。まずは元大垣北高等学校の数学教師で野球部の監督や顧問を長らく続けてきた翠(みす)先生と、11年野球を続けてきた我が甥の桑山巧己が大活躍。ちゃんとチームを作り、みんなでルールを学んで試合ができたのです。
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 これまでどうしても国際強力の現場では「サッカー」が常套でしたが、今回「野球」を取り入れてみて思ったのは、やはり
「このスポーツはバッターボックスに立つという“平等性”のスポーツだ」
 ということです。一人一人がちゃんとバッターボックスに立って打つ機会を平等に与えられるのです。だから小さな女の子だってちゃんとスタッフとして参加できます。翠先生が持ち込んでくれたバットやボールを使ってあれよあれよという間にみんなが野球に熱中していく姿は圧巻でした。サッカーだとどうしても力のある子や足の速い子が前に前に出てしまう傾向がありますが、野球は違いました。
 今後この野球というスポーツも、世界の現場で積極的に取り入れていけると思いました。
 試合は延長戦にまで持ち越しましたが最後はサヨナラホームランのような形で試合が決まりました。みんな拍手拍手のなかで納得した時間を過ごせました。
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 よかったよかった。
 やっぱり人の出逢いは大切です。
 明日もまた病気という闇と笑顔という光の狭間で活動していきます。
桑山紀彦

東ティモール3日目」への5件のフィードバック

  1. 野球が平等性のあるスポーツだとの着眼は思いもよらない発見です。さすがですね・・・

  2.  すごいですね!
     常に光と闇の中で、二つと対峙しながら活動続けるということは誰にでもできることではありません。桑山先生だからできることだし、桑山先生にしかできないことだと思います。
     人の暮らしの中にある闇(たとへば病気)に光が当たるようにし、人間誰でもが持つ光を呼び起こす(サッカーや野球を通して)ことはきっとそれをすることを天から使命として与えられている人のなのだと思います。
     天はわれわれ人間に何かの使命を与えてこの世に送り出しているに違いないのです。しかし、その使命は千差万別で一様ではないと思います。
     羽生善治という将棋棋士がいます。彼は中学3年生でプロデビューし史上最年少で名人となった人です。数々のタイトルを獲得し将棋界の歴史を塗り替えました。
     そんな羽生善治のドキュメンタリーが放映されたとき職場の同僚がこんなことをいいました。
     「羽生さんって、将棋しかしらないんじゃあないのかな。社会人としては欠陥人間なんじゃあないのかしら」
     「羽生さんは将棋だけやってればいいんだよ。彼は将棋をするためにだけこの世に生まれてきたに違いないのだから。ただの普通の生活は、ボクたちが一生懸命やればいいのじゃないのかな」
     ボクはそう、いいました。
     みんながみんな、イチローではありません。またビル・ゲイツでも羽生善治でもないのです。
     しかし、私たちは普通の生活のなかで、一生懸命自己の最善だけを尽くすことを考えながら生きていけばいいのではないでしょうか。
     ただ、普通の生活の中で、最善を尽くすことだけを考えながら毎日生きるということ・・・・・・・・。
       和歌山   なかお

  3.  野球だって柔らかいボール1個あれば十分できるよ。昔やった「チョンべス」を思い出してください。バットは要りません。掌で打つのです。柔らかいボールだからグローブも要りません。「野球が平等なスポーツ」っていうことに感激です!
     当地・飛騨高山は連日の降雪です。皆様の現地でのご活躍と無事の帰宅を心より祈念致しております。

  4. 今回は野球ができて良かったですね。野球好きのお二人のおかげですね。
    連携プレーも必要だったり難しいことも多いけど、確かに打つチャンスは平等!
    みんなで大いに盛り上がって、何よりのプレゼントになりましたね。

  5. 翠さん、巧己さん、野球ってすばらしいスポーツなんですね。「野球は平等のスポーツだ!」というくくり方・着眼の仕方がすばらしいです。翠さん!また、お話きかせてください。野球やサッカーなどのスポーツが多くの人の心を結びつける。自分も久しぶりに何か体を動かしたくなりました。

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