今日は今年1月に高潮と豪雨の被害で大変な目に遭ったルーカさんにところへ行きました。
その時の様子は「まるで360度全てから水が襲ってくるようだった」と言います。つまり上からは大粒の雨がバケツをひっくり返したように降り注ぎ、下からはあふれた水が高潮と共に盛り上がってくる。空気がなくなり、まるで地上にいても水の中にいるようだった、と。
ルーカさんにとってはまさにこの国が沈み行く、そんな危機を体感した災害でした。その直後の映像は成美さんが撮影しており「地球のステージ」では使わせていただく許可を頂きましたので、いつか皆さんの街で。
さて、その足で向かったのが中山未来(みく)さんの活動する中央病院です。ここの糖尿病外来を支える未来さんは中学校の頃、長野県佐久市のソロプチミストが呼んで下さった「地球のステージ」公演に偶然来てくれて、「世界を目指そう」と思って下さったとのこと。とても強い縁を感じました。佐久は大好きな街。そして佐久総合病院や、開業の時にお世話になった高柳先生のクリニックがあり、昔から妙に通っていました。そんな佐久出身で看護師になり、現在このキリバスで協力隊の看護師として活動する未来さん。今日の外来では驚きの連続でした。それは初診でなんと血糖値が450を越える男性が来たことです。なんでこうなる前に来ないのか、それは定期健康診断などないし、血糖が上がるとどうなるのかも全然知らないから。ひたすら野菜のない(耕地がないから)、炭水化物中心のご飯を食べ(お米はとても安く供給されているから)、運動をせず(狭い島だし、大人は運動する習慣がないため)、甘いものを飲み続けている(特に人気は”テ・アイス”という赤い砂糖水を冷やした袋ジュースをいつも飲んでいるから)ということで、血糖値が400を越えてようやくこれはまずい、と思うわけです。例えば急に視力が落ちてきたとか、ケガが治りにくいとか…。
う~ん、この国は糖尿病で滅びるのではないかというくらいびっくりする血糖値です。それでも、未来さんたちは必死に食生活の改善を説き、甘いものの摂取の危険性を話し、運動の重要性やサンダルを履くことの大切さを語ります。しかし、なかなか10年、20年かけて培われた生活習慣を変えることは難しいということも実感していました。
しかしあきらめたら終わりなのだから、未来さんはこれからも活動を続けるのです。いつかみんな気付くように…。協力隊の活動は本当に継続性と忍耐と、そしてあきらめない気持ちで支えられていると思います。小さい頃夢に見たことをこうして実現している未来さんは、日本の若者に「外の世界へ出よう」と誘っています。ほのぼのとした気持ちで病院をあとにしました。
協力隊に栄光あれ!
午後からは子どもたちと成美さんのやりとりを取材し、そのあと雲のタイムラプスに時間を割きました。刻々と流れるキリバスの雲、空、そして海。ゆっくりとした時の流れの中で人々の生活は続いていきます。
その動画はこちら
桑山紀彦