コンベとヨーヨ

昨年活動を行ったYoyo(ヨーヨ)とKomgbe(コンベ)の小学校で、昨年参加してくれた子どもたちともう一回1年を振り返るワークショップをやろうということになり、日曜日ですが、なんと2カ所で音楽ワークショップを行いました。まずはコンベの小学校です。
 昨年覚えたあの曲を再び歌ってくれましたが、ものすごい声量とダンスに圧倒され、子どもたちの心にあのメロディ(ルワンダで作った”エジョ・ヘザ”のメロディを常に使っています)がしっかりと残り、すぐにも歌える状況になっているのには驚きました。やはり「歌」というものは心に長く残るもののようです。
 それから詩の劇読。南スーダンでの日々、難民となりのウガンダで暮らす日々がその詩に綴られて少しの振りを交えてみんなの前で演劇的に読むその姿(劇読)にはまた圧倒されました。
 いつの間にこんなに表現力が増したのかと思ったら、それをずっと見守り、時にアドバイスを加える存在が…。ドラニ・ジミー先生です。
 彼は昨年のわたしたちの心理社会的ケアにインスパイア(触発)されて、この劇読を始め、歌、演劇を課外授業で指導しているのです。すごいことだ…。だってウガンダや南スーダンの学校では歌、演劇、詩などというものを扱う時間はなく、ひたすら詰め込み教育をするのが常なのですから。でも、ジミー先生のように情操的なアプローチを行うとする先生がいるのです。やはり心理社会的ケアは多くの先生に変化をもたらしているのだと思いました。
 そして新しく作った曲。1番は過去〜あの南スーダンでのトラウマの日々。2番は今〜ウガンダに暮らして得られているもの。3番は未来〜何を願うのか。歌詞を一からみんなで作り、最後は全員で1番から3番まで歌い尽くしました。その様子は歌詞の内容と共に来週から開催されるTICAD 7(アフリカの開発に関する国際会議)のSPJのブースで流される予定ですので、請うご期待。
 ジミー先生が最後に言いました。
「歌うこと、想像すること、それはとても大切なこと。過去を語り、今を認め、未来に希望を持つこと。私たちはその大切さを学んだ。みんなの作ったこの歌詞を忘れない。学び、何かを身につけるチャンスを無駄にしないように。そして遠い日本から来てくれているこの友人たちに感謝しよう。私たちのつながりは始まったばかりだ。」
 
 続いてYoyoの小学校へ。こちらのウエルカムはなんと短いけれど完璧な「演劇」でした。こちらも昨年の心理社会的ケアに触発され、こういった活動を始めている先生が主導していました。南スーダンでは大統領と副大統領が血で血を洗う内戦を繰り広げているのですが、その様子を緻密に演ずる子どもたち。その迫力に圧倒されました。身体いっぱいに表現し、泣き叫ぶという演技までする子どもたち。これはぜひ次回演劇ワークショップまでやりたい!そう思うに十分な「向き合い方」をしていました。
 これほどまでに心理社会的ケアが受け入れられているのは、このウガンダや南スーダンの文化的な土壌なのかもしれません。最初はちょっとシャイなところがあるけれど、一旦閾値を超えたら、表現すること、誰かに伝えようとすることをためらわない、そんな意気込みを感じて1日2回のハードな音楽ワークショップが終わっていきました。日は傾き、夕暮れを戻っていく車内ではとても暖かい気持ちに満ちていました。
 何かを表現しようとする子どもたちには、私たち大人がインスパイアされます。
 
桑山紀彦

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