被災後初めての帰省

 今日は高山公演でした。

 西ロータリークラブの皆さんを始め、小林俊輔さん、伊藤早苗さんと、実にたくさんの実行委員会の皆さんが呼んでくれた念願のステージでした。俊ちゃんは、
「桑山さんを早めに故郷に一回帰してやった方がいい。」
ということでがんばってくれたのでした。その気持ちが嬉しかったです。
 しかし、今日の会場はやむなしなのですが、スクリーン位置が非常に高くしかも、それに連れて立ち位置が微妙な場所となったため、始まったときプロジェクターへの入力が浅くなり反応しない状態となっていました。
 時折起こるミスですが、京都の信頼する音響さん、橋本さんはリモコンからの入力を跳ね返して受光部に当てる反射板(リフレクター)をその場でつくって事なきを得たりしてきたので、今回もリフレクターよろしく、鏡を用意してもらいました。それは結構良いのですがやはり通常と比べると勝手が違います。肝心のスライドがよく動きません。そこで詰まってしまいます。そしてがっかりしてしまいます。
「ああ、ちゃんと伝えられていない。」
と。
 ステージで登場する多くの人々に申し訳ない。その生きざまをちゃんと伝えたくてこうして公演しているのに、そこにミスが連発するとやはり非常に落ち込みます。
 せっかくの高山公演でしたが、納得がいかずしばらく閉じこもってしまいました。でも、業務連絡は大切で、名取と結んでテレビ電話を45分。その後もいろんな連絡を取ったり、問題発生&解決とめまぐるしく時間がどんどん過ぎていきます。
 いつも思っていた、
「ああ、もう高山に還りたい~そして休みたい~。」
 という気持ちはいつの間にか消え去り、高山に来てもいつもの「怒濤」が続いています。しょうがない。これは自分で選んだことですからね。でもやっぱり江里ちゃんと電話で話すとホッとするし、リンリン、ケンケンと業務連絡やっていると乗ってくるし、心の中は常に「震災救援モード」であることに気付きます。
 だから、今日はステージが納得いく感じで進められなかったことが最大の「×」であり、それは自分の努力によって変えうることなのだと思えば、一晩寝て気持ちを切り替えていくけそうだと思いました。
 兄ちゃんが言いました。
「お前はなぜにそこまでする?でもそこまでするからまたお前なのだ。」
 そう、ボクはやっぱり人に感動しているんだと思う。漁師の太さんが漁に出て、万福食堂の隆さんが仮店舗を出す日を、やっぱりドキドキしながら待っているんだと思います。
 だからこうして公演完成度が低いと落ち込むけど、でも「またがんばろう」と思のでしょうね。
桑山紀彦

被災後初めての帰省」への9件のフィードバック

  1. トラブルの時でも色々な面に思いを巡らし、その場その場に全力を注ぐ(お兄さんと同じ気持ちで見ています)~桑山力・面目躍如!復興に係る荷の重さにめげていない~気力は萎えていない~安心しました。
    盛岡のランニングで足は痛くありませんか?

  2.       和合亮一・その3
     今日8月9日は、長崎に原爆が落とされた日です。
     慰霊祭には、原爆投下国アメリカから初めて参列がありました。
     長崎大学医学部の教授であった医学博士永井隆は、被爆したにも拘らず、惨劇と廃墟の中で世界で初めて放射能被害の状況を論文を書きました。平和に対する強いメッセージが込められていました。
     あれから66年、今福島では放射能による恐怖に怯えています。
     3月13日以降、原発事故半径20キロ圏から避難した人々は13万人以上。今も2万5千人以上の人が避難所で暮らしています。
     和合亮一も原発避難区域20キロ圏に暮らす一人です。和合は言います。「言葉の力」を信じて。
     
     今、書きたいことがたくさんあります。震災、津波、原発、風評・・・。福島、東北、日本・・・。詩の礫が一斉に頭と心に浮かんできて、もはや手が追いつかない。そこをゆっくりと、大きな船が近づくようになって、余震がやって来ます。ゆっくりと離れていきます。悪魔め。
     あなた、大切なあなた。あなたに精一杯の詩を送ります。
     送るときに、息をひそめる。あなたの息を感じます。
     一人 誰もいない ただ一人の世界 
     あなたがいない 誰もいない
     それでも 川は川 空は空 として 光る
     このように誰もいない 誰もが不在
     某月某日。帰宅。玄関で服を脱ぐ。一つ目の袋に、上着を入れる。吊るす。二つ目の袋にズボンを入れる。三つ目の袋に、帽子を入れる。下着と靴下は洗濯機へ。髪をシャワーで流す。壊れているから水。分断される、僕の一日。
     玄関先の儀式は、それぞれの袋に外出着を入れて、口を結ぶことで終わる。どうしてこんなことを、しているのか? 将来に、家族が僕の家に、戻って来る日を、信じているからだ。付着した放射能を少しでも減らすのだ。
     「福島・・・、が泣いてるんだよ・・・」って、聞こえたような、
     そんな言葉が浮かんだような気が、しました。
     緊急地震速報、もしくは、噂話、20キロ圏内。
     牛や犬や豚が徘徊している、無人がそれらの家畜や番犬を追い回している。
     涙を流している、注意が必要です。
     あなた、大切なあなた、今日は何をしていましたか、どんなことを感じましたか。
     大丈夫ですか、あなたのフルサト、どこにありましたか、今日は・・・、無くしてしまった、無数の日本人。
     祈ります。
     放射能が 降っています。
     静かな、静かな、夜です。
          和合亮一著「詩の礫」よりー徳間書店刊ー
           和歌山   なかお
     

  3. つまずいても、転んでもすぐ前を向いて立ち上がるそれが紀君の素晴らしいところだね。君のように立派なことを成している人間でも、自分と同じようにやはり落ち込んだり悩んだりするんだとこのブログから知ることができて、少しほっとします。自分とは悩んでいるレベルが違いますが・・・(笑)

  4. 桑山さんは 走り続ける人なんですね。
    若かりし頃に自転車で日本中を旅されたように 今は 助けを求めておられる友のもとへ走り続ける。
    時々は 頭の中を 空っぽにして 休んでほしいなあ~
    無理でしょうが(^O^)

  5. お疲れ様!(と、ここまで、寝ながら… そして、今、通勤電車の中です)七転び八起き、失敗は成功のもと残念(>_<)(ギター侍思い出して)な事もありますが、「まっ!いいかぁ!」今日は2公演でしたっけ?ファイト一発?
    私も、バタバタしながら23日に向けて爆心中です!

  6. 桑山先生の「これは自分の選んだことだから」という一文大きいなあと思います。
    今の私自身の生き方にそれを思いながら生活しています。
    いつか、先生のステージを拝見したいものだと切に願っています。

  7. 久々の帰省でいらっしゃったし、かけたい言葉もいっぱいあったのですが、昨日の様子を見ていたら、ゆっくり休んでもらった方がいいのではないかと感じ、何も声をかけられませんでした。だから桑山さんが懇親会に参加できないとわかったときに、なぜかホッとしました。
     残されたフォロアーによって、熱い議論が交わされて、とっても有意義な集まりでした。
     桑山さんの蒔いた種は確実に世界中で花を咲かせていますが、桑山さんに水を与えるところは十分ですか?

  8. 初めてコメントします。
    桑山さんのブログが大好きです。
    すごい方なのに、私たちと同じように悩み、迷い、凹む。
    そんな人間らしいところが とても好きです。
    それでも、また前向きに動き出す・・・その姿に勇気をもらっています。
    “子どもたちに 優しい心と 夢と勇気を”
    この言葉を合言葉に 仲間と活動していました
    時には 忙しすぎて 余裕がなくなることも・・・
    でも私たちの背中を見て 子どもたちは育っている
    そう信じてやってきた
    各務原子ども劇場が そこに集う仲間が大好きで 
    私の大切な居場所でした
    でも この夏 始めて もうやめたいと思った
    長男が突然 次から次へと問題を起こした
    窃盗、万引き、家出 
    何度も警察に足を運んだ 初めての経験だった
    彼と向き合い 彼と戦う夏となった
    いつもなら キャンプや祭りと夏のイベントの中心となり動いてたのですが・・・
    もう、すべての活動から 離れよう
    自分のやってきたこと 自分の言葉に なんの自信も持てなくなった
    前向きに頑張る場所から逃げたい気持ちでいっぱいでした
    でも このブログを読むと 逃げちゃだめかな・・・と思った。今までやってきたことを 否定しちゃだめかなって
    もっと信じよう 自分も 長男も!
    そう思えるようになりました。
    岐阜で何度も「地球のステージ」は見る機会がありましたが
    まだ出会えていない私。
    ぜひ各務原で出会いたい。
    家族や仲間と 出会いたい。 
    実現できるよう また動き出します。
    ありがとうございます

  9. ご実家に帰って、少しホッとされているでしょうか?
    ステージのトラブル、いつも全力で頑張っている桑山さんならではの落ち込みですね。
    それでもまた、次に向かっていけるところが流石ですね。
    八面六臂の活躍に敬意を表します。

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