今日は1日外来でしたが、嬉しいことがありました。
外来に来るのはそのほとんどが学校で苦労している子どもたち。
でも、今日はたまたまバレンタインデーだったので、何人かの中学生や高校生にチョコレートをもらいました。これは嬉しかった。
本当は心療内科なんて行きたくもない科だと思うのです。でもそんなクリニックにチョコレートを運んでくれる子どもたち。そういえば修学旅行の時期には京都のおみやげ「八つ橋」を何人からかもらいました。
この国の子どもたちの元気のためにできることととしてやっている毎日の外来。肥満が気になるから一気には食べられないけれど、かみしめながらチョコの封を開けていこうと思います。
今、何人かの高校生に、
「みんなの前で語ってみない?」
と薦めています。学校に行けなかった日のこと、いじめられたあの日のこと、傷ついたあの日のこと、ゲーム三昧で閉じこもった日々…。
そして3人の高校生と専門学校生から、
「ぜひ話したい!」
という返事をもらいました。
「自分の経験が役に立てるなら…。」
という思いからです。3月、4月にそんな「会」が開けたらと思います。
そしてそこには今、自分の子どもの不登校や引きこもりで悩んでいるお母さんたちが集い、遠慮なくいろんな質問ができたらきっと有意義な会になるのではないかと思うし、これがまさに心理社会的ケアの第3段階~「社会への還元」というテーマだと思うのです。
そして、そのお母さんたちからの質問に答えてくれるであろううちの子どもたちを見た時、きっと、
「成長したな~」
と思えるように感じます。
ふと、吉田としという児童文学作家のことを思い出しました。
中学生の頃「吉田としジュニアロマン選集」という10冊の本を買ってもらいました。
「あゆ子」「敦子」「真知子」…。
10人の女の子の名前がそのタイトルで10巻セット。ネットを駆使してその中の一つ、「真知子」を北海道から取り寄せました。
今から40年も前の中学生の生き方がそこに書かれているのだと思います。
かみしめながら読み進めたいと思う。そして40年後の今の中学生が何を悩み、何に苦しんでいるか、その「差」がきっと、外来での「言葉」に示唆を与えてくれるのではないか、と思うのです。
もしも皆さんの中でこの「吉田としジュニアロマン選集全10巻」を買えるところを知っている方がいらっしゃったらぜひ、教えて下さい!
桑山紀彦