大垣工業高校定時制

今回の岐阜ツアーの中で、実はとっても感動したのが大垣工業高校の定時制のステージでした。

定時制のみんなはある意味複雑な経験を持った子どもたちが多く通ってきています。一筋縄ではいかない可能性もあります。実際に授業の一環で行われたステージでしたが18時少し前に集まってくる子どもたちは、いろんな髪の色、髪型、ピアス、腰パン。一見すると少々ビビるかもしれない出で立ちです。でもその一方で青白い顔をして一人ぽつんと席に着く子もいます。よくみればご両親のどちらかが外国籍の子どもたちもいっぱい。

果たしてこの子たちがちゃんと聴けるのか、不安になったのは嘘ではありません。始まり1分前まで先生たちの大きな声が落ち着きを促しています。中にはふてくされたように、「めんどくせ~」を身体で表している子もいます。

しかし…。

始まりはいつものアメージンググレイスでしたが、話し声はぴたりと止み、みんなが顔を上げて画面を見ています。心の中で思わず、

「ありがとう音楽!ありがとう大画面!」

と叫びながら最後まで歌い終わると案の定拍手はありません。

「皆さんここは拍手のポイントです…。」

というと、勢いのいい拍手が降り注いできました。思わず、

「ありがと~!みんな~!」

と叫んでしまいました。そこからは一切の私語もなく、拍手は力強く温かく。そして人の困難や「死」の場面には驚くほどの静寂を作り出す彼ら。ただ、「これで巡る外国は最後」「最後のお話しです。」で震災。「実はおまけがあって」で故郷篇と「贈りもの」と続けてしまったので、

「最後最後って、全然終わんねえじゃん!」という指摘はくらったものの、みんな最後までまじめに聴いてくれました。実に105分の長丁場。一人も退席する生徒もおらず、みんな頑張って礼儀正しくついてきてくれました。

公演が終わって、副校長の高木先生と教室をまわりました。みんな斜めに座りながら感想を書いてくれています。何人かが話しかけてきます。とっても素直で愛おしくなるピアス君たちでした。

最後にパキスタンのクルタを身にまとった生徒さんに高木先生が話しかけると、

「僕の国、パキスタンが出てくるかもしれないと期待したのになあ」

といいます。

「じゃあ、来年は出てくるようにしようかな。」

というと

「ほんと?じゃあ、待ってる。」

おぼつかない日本語でした。高木先生によると彼は1年半前にパキスタンからやってきたと言います。嬉しい出逢いでした。

高木先生が言いました。

「集会では20分も持たない子どもたちでもあります。わざわざしたり、立ったり、そのまま帰ってしまったり。中学校時代ほとんど学校に行けなかった子どもたちも少なくありません。でもあきらめないでこの定時制に通ってくる子どもたちなんです。だから広い世界を見せてやりたかった。

そして同時に先生たちにも見てほしかった。日ごろの授業の中でついつい忘れがちな本当の「教育の心」を確認してほしくて。ついつい「指導」になってしまいがちな関係を「教育」に戻すために、このステージを先生たちにも見てほしかったんです。」

高木先生、定時制の校長としてそつなくこなして2,3年後に異動を待てば、何もこんなに苦労してステージを呼ばなくても日々は過ぎていくのに…。でも高木先生は確かに、この学校や子どもたちのことを真剣に考え、動かないように見えている「岩」を動かそうとしているのです。あえて公演した「南スーダン難民篇」に出てくるセビ先生のように、希望の光を見ようと日々頑張っていらっしゃいます。

本当に良き出逢い。高木先生もまた、翠先生と同じように熱い高校教師です。管理職として学校をなんとかしたいというその熱い思いに、「地球のステージ」は応えていきたいと思いました。

桑山紀彦

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