今日はファトボル村の巡回診療です。
昨年スタディツアーに来た桑山巧君(うちの甥)が「この世の天国のようなところ」と呼び、「あれもこれもと求め続けている日本の暮らしに疑問を感じざるを得ない」と語ったファトボル村。
丁度と山の上にある高原地に村があるため、四方が見渡せて本当に天国のようなところ。それがファトボル村です。ここにも我が「地球のステージ」がトレーニングプログラムをした助産師のフェルナンダと、ヘルスワーカーのマルセロとシルビーノがいてくれます。本当に活発で村民のことを考えてくれているこの3人のおかげでずいぶん保健のレベルが向上したなあと思うのは、実際の診察に入ったときわかります。
単なる風邪が多く、深刻な訴えがほとんどありません。予防が徹底されると診察そのものの数が少なくなります。昨年は100人レベルだったのに、今日はアイダが25人、桑山が44人の診察に終わりました。実に40%近く受診率が減っていることになります。それもひとえに日々の努力だと思います。日常の中で健康を意識し、病気の予防を考えるとこんなふうに医療にかからなくてもすむようになるのです。
そしてもう一つ驚いたのは無駄なお薬をもらいに来る人が少ないということ。
村に巡回診療に行くと、この次の診療まで保つようにと病気ではないのに、病気を装ってお薬をもらいに来る村の人が多いのです。でもファトボル村は違う。無駄なお薬をもらいに来る人がほとんどいません。それは健康についてある程度安心しているからだと思います。だから変な言い方ですが、今の病気に対しての治療にだけ来ている。それが実際の受診者数の減少につながり、お薬の消費も抑えられていきます。医療に先行して「保健」がしっかりするとこんなふうに村が落ち着いていくことがとても嬉しかったですね。
そんな中、しっかりした13歳がいました。エルナといいます。
とても13歳には見えない、しっかりした表情のエルナはいつも妹の面倒を見ながら生活しています。でもこちらにとても興味があるようでずっと着いてくるんですね。知識欲旺盛な彼女に将来を聞くと、
「先生になりたい」
といいます。このファトボル村にも学校はありますが教師が足りません。だからみんな午前中だけの授業で終わってしまいます。エルナはだからそんな先生になって村に恩返ししたいようですね。一生懸命日々を生きている子どもがここにもいました。
帰り道、ものすごい崖のような道やどう見ても道になっていない道を進みながら帰ってきました。皆様からいただいた募金で買った19000ドルのパジェロは既に故障気味。
どうするといいんでしょうね。でもこの活動を続けるには毎年クルマが1台ずつ必要な気がしてきます。あまりにひどい道。これではどんなクルマでも1年と持たないでしょう。でもそんなふうにアクセスが悪い村だからこそ支援活動をする意味があると思うのです。ガタガタになったランクル・プラドと、導入した三菱パジェロが少しでも保ってくれますように・・・。
そんなファトボル村で津波の話をしました。
電気はないのですが、充電式の小さなプロジェクターを持参したのです。正直日本に津波が来て大変だったというニュースくらいは届いていますが、その映像や写真を見たこともないし、実感がわかないと思って臨んだのですが、その食い入るように見る村人の真剣な表情。そして「ああ、困った・・・」という時に出てくる舌打ちが何度も何度も出てきました。みんな本気で心配してくれています。やっぱり人間はどこでも同じ。大変な状況を見れば「みんな大丈夫?」と心配してくれます。そんな何気ない優しさや素直な気持ちがこのファトボル村でも分かち合えたと思っています。
明日はディリ市内で報告会です。
遠く離れた南半球の小国でも、日本の津波被害のことで多くの人が心配してくれています。
こういった途上国での活動はなんといっても青年海外協力隊やシニアボランティアの皆さんが今日も、世界のたくさんの国で活動していることで有名ですよね。協力隊の皆さんは途上国にだからこそ「ないもの」と「あるもの」を見つけてそこで活動しています。
それはとても貴重なやりとりだと思います。だからきっとこの震災で「日本に帰って自分の出来ることをやりたい」と強く強く思い続けてきたに違いない協力隊のみんなに思うのです。
「大丈夫、そのまま、その国で活動を続けてください。」
と、今自分が出来ることをその国で精一杯やることが被災地を支援することになると思います。なぜなら世界は「お互い様」ということでつながっているから・・・。
桑山紀彦
今日ま、一日お疲れ様です。あの道をはしるんジャァ、1年に1台…そんな気がします。MITSUBISHIなんかが提供してくれないかなぁ。
世界中から、日本の今回の出来事にエールを送って下さってるんだなと日々感じます。うちの子供がジャワ島の時も世界中が今回みたいに関わってたのかなぁ?自分の住む国だから、世界中が気にかけてくれてるって分かったのかなぁ。と言ってました。
明日も、頑張って活動して下さい。私は今日、奇跡的に座って新宿までいきました。
余計なものが無い環境が純粋培養で素直な心を育てるように思えてんりません。ブログを読んでいてほのぼのとしたものを感じます。
この地も少しずつ発展していくのでしょうが、何かを置き忘れてきたわが国を反面教師にして、人にやさしい社会作りをしてほしいと思います。
日本は、便利過剰を反省して少し我慢をして後戻りしないといけませんね。ずーっと競争させられてきた日本人には大変でしょうが・・・・
今日の読売新聞夕刊には、残念ながら江里ちゃんの記事は出ていませんでした。
皆さんにはいつも支えられております。
昨日の落ち葉先生のコメントありがとうございます。さっそく修正しております。
江里ちゃんとの記事は明日の夕刊になりそうですが、何れにしても読売新聞内でもいろんな駆け引きがあるようで、あまり期待しないことにしました。
でていたら、「なるほど」ということで、本当に申し訳ありません。
桑山紀彦
「何も無い村だけど、何もないという良さがあります」という言葉に促され、カンボジアに住んで8年になります。
首都・プノンペンから40キロの悪路に4時間もかかったものですが、立派に舗装された今では、1時間半です。
でも交通事故が激増し、自転車での市場通いを止めねばならないかもしれません。
開発と言うのは難しいものですね。
ファトボル村の澄み渡った青空、ディリ湾の輝く夕陽。素晴らしい景色ですね。
保健事業の成果がファトボル村でも発揮されていてうれしいです。
雨季になったらこの道なき道は完全に通れなくなり、孤立してしまうのでしょうね。
車は必需品ですよね。また、皆さんからの支援を募ってはいかがでしょうか。
足るを知る、という言葉がありますが、何を以て「足る」とするのかを自省しています。
ファトボル村の方たちの 心配そうな 真剣な顔。
苦しみを分かちあってくれる、優しい気持ちを感じました。
世界って 繋がっているんですね。ふつふつと 温かい気持ちが沸き上がってきて 嬉しくなりました。 何気ない このような 出来事を 知って、私自身が前向きになり
「何も出来ないけど、せめて、周囲の人に
優しくしたいなぁ。」 と 思えている事に、気が付きました。
桑山さん
ありがとうございます。
今週号の文春に、被災した人々の切実なメッセージが載せられていた。政治家たちよ、刮目して被災した方々の声を聞け。以下、週刊文春6月16日号より転載。
我々避難者の事をもっと良く考えた政治を望む
(62歳 男 この男性の思いと政治家との溝は深まる一方だ)
もとの くらしに もどりたい
(19歳 男 この若者の心の叫びは、彼らに伝わるだろうか)
給料を全て避難者に分け与えろ!!
(32歳 女 お金のある人たちにこの苦しみを伝えたい)
休日はガレキ片付けをするべし
(70歳 男 ボランティアは、政治家の倍は感謝されている)
管、原発をもちかえれ!!
(21歳 男 選挙権を得たばかりだが、行使したくない)
国会でもめている場合なのか? 首相退陣はあとまわしでいいのでは? 今は国が一つになる時です。
(31歳 女 物資配給に並ぶ女性から「書かせてください」)
国会議員さんも 石巻へ来て 我々と共に生活をしてみて下さい
(63歳 男 被災者から「実際にやってみろ」の声多数)
今の政治家は国民の足を引っ張っている。国会議員が人災です
(59歳 男 人災と言われても政治家の争いは続くのか)
放射能の情報を もっと教えてほしい!! 仮説をもっと建ててほしい! お家帰して!! 金銭めん大変
(17歳 女 高校生の方が政治家より国の事を考えている) 等々である。
被災地で暮らす人々の、悲痛な声を、真摯に聞いて、と願うばかりです。なにもできない、バカな僕ですが・・・・・
ナカオ
ファトボル村、心ときめきます!すてきな写真をありがとうございました。
ナカオさんのコメントを読んで
国民からすれば、わけの分からないことだらけの議員さんたちですが、これらの議員を選んできたのも日本国民。
これからは、もっと納得のできる人たちを選びたいと思うのですが、選ぶ基準がわからない。これからは、アイドルや芸能人のゴシップ取材よりも、議員さんたちの日々の行動を取材して、何を目指し、どんな行動をしているかわかるようにしてくれないでしょうか、雑誌社は。
でも、国民全体が、地味なことに興味を持ってくれないと、無理なんですよね。何が大事かってことを国民が悟ってくると、政治家も変わってくるのかな~?
この頃一応、政治家のコメントなどを読むようにはしていますが、???です。議員さんも、桑山さんのように行動と言葉が一致していれば、熱く応援したくなるのですが。今の日本、桑山さんをはじめとする民の活動に期待しています。
わずか半年で、保健教育が成果になって見えるとは!!ファトボルのみなさんがフロントラインのサポートを本気で待っておられた証明ですね。支援は互いの目的が同じでなければ、いつしか不平や不満が噴出してきたりするのでしょうがお互いのことを心配し思いやる絆は心と心にかかる架け橋があるからでしょう。
360度見渡せる天空の村ファトボル村の歓迎の音楽と香り豊かなコーヒーや子どもたちの笑顔に想いを馳せながらブログを読んでいます。
半年前の雨期のディリではあまり雨に遭わないのに、海を隔てた南のオーストラリアでは大洪水だったことを思い出し、みなさんの大切な村の豊かな暮らしのためにほどよく大地を雨が潤してくれることを願わずにはいられませんね。
沖縄は史上最速の梅雨明けで、ここ九州では今週末は大荒れの豪雨の天気予報が出ています。
どんな理不尽な行動をも許し誰一人振り落とさないやさしい地球の上で、人は分かち合いながら生きていくことに意味があると思う日々です。
残り少ない東ティモールの活動が素敵な時間になりますように。