東ティモール6日目

今日は1日エルメラ県の県都グレノでPSF大会の1日目でした。

これはPSF(健康増進員)の資質向上のために行われるもので、多くの勉強会が盛り込まれています。最初10問の質問に「正しい」「正しくない」のフリップで答える斬新な企画から始まりました。

10の村から参加している50人近いPSFのみんなが一生懸命答え、その理由を説明している姿をみると、このPSFという存在がいかに大切か見えてきます。村の中には保健医療の専門家はいません。彼らこそが一番「健康に近い存在」です。政府から月5ドルという報酬は約束されていてもほとんど払われていない実情で考えると、これはまさに名誉職です。村の中でもっとも健康に対する意識の強い人が選ばれPSFとなり、村のためにボランティアで働きます。そのためにはちゃんとした知識がないと村人の期待には応えられません。だからこうして遠い道のりをわざわざやってきて、この2日間の勉強会に参加しているのです。

東ティモールという国はこのPSFの存在を評価せず、彼ら彼女らが活動するSISICa(包括的健康維持システム)を廃止しようとしていますが、それは大きな後退につながります。この国の舵取りは「政府」と呼ばれる人たちがしなければならないけれど、その政治家たちは現場のことをほとんど知りません。総選挙から4ヶ月が過ぎた今でも保健大臣は未定のまま、いろんな政策が宙に浮いたままです。

これから発展していく可能性を含めて、今東ティモールはとても大切な時期にきているのに、どうもその舵取りをするべき政治家たちにビジョンが見えません。ぜひ、人々を前向きにうならせるような舵取りが出来る逸材が政治家の中にも現れてほしいものですが、上に登っていくに従ってそういった「人々に近い感性」は失われていくものなのかも知れません。

だから私たちはあくまで草の根レベルで、やるべき事をやっていきたいと思います。

そんな中嬉しかったのは、うちのカウンターパートのDHS(地方保健局)のナンバー4,マリアーノさんがJICAの研修制度に合格して40日間名古屋に行けることが決まったことでした。9月20日からJICA中部の受け入れでマリアーノさんは日本に行きます。岐阜の公演の終わりなどに一緒にご飯食べましょうと誘い、日本での再会を約束しました。地元の人材も育ってきています。

それにしてもうちの現地駐在中島佳世乃さん。赴任してちょうど1年になりますが、お湯の出ない生活の厳しいグレノに暮らしても不満一ついわず、素晴らしい逸材です。彼女はアイダをうならせるような素晴らしいテトゥン語を話し、もうすっかりこの地になじんでいます。

前任者が設定した間違った指標を一つ一つ作り直し、大使館とも綿密に協議を重ね、その粘り強い力には驚きます。慶応大学医学部看護学科を出たあとイギリスで修士をおさめ、今現場としての東ティモールにいますが、将来楽しみな人材です。

この仕事は2020年1月で終了しますが、それまで彼女の活躍がどこまで行けるのか、共に進んでいきたいと思います。

桑山紀彦

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