子どもたちとつくる映画もこれで3作目ですが、大体1日2シーン撮るのがやっとです。
それ以上に急ぎすぎると演技がラフになったり、疲れが映像からも読み取れてしまいます。
あと残るは3シーン。今日で撮り終えられるかと思っていた中で、8シーン目、パレスチナ最大の詩人「モハマッド・ダルウィーッシュ」の墓地のシーンはなんとその周りの花を植え替えるということで、今日ではなく、その花が植わったあとで撮影しようということになり、通常通りの2シーンのみ、7番と9番の撮影で臨みました。
子どもたち3人は昨日のことがなかったかのように普通に接しています。改めて子どもたちは「自然」。名古屋の中学校教師、春日井誠先生が言うようにまさに「自然」な存在。
昨日、
「君は全体の和を乱す。もう映画には出ないで。」
といっていたら、さぞ私たちは後悔していたでしょう。
「明日は雨が降らないようにようお願いします。」
といっても雨は降る時は降るのだと思います。3人(まあ)仲良く撮影に臨み、雰囲気も良好でした。
そしてラストシーンの9番を撮り終えました。あと残すは8番のみ。明日の朝が勝負です。
主演のサディールと広報用のスチル撮影を行いました。彼女の美しさは誰もが認めるところですが、一方で従兄弟のジャーセムを殺害されているというトラウマを抱えています。それをこの映画に出ることでどう受け入れようとしているのか。
心的外傷は乗り越えるものではなく、受け入れて共存していくものであるとつくづく思いますが、サディールがその心的外傷を乗り越え、忘れていくのであれば、この映画は「余計なお世話」です。でも共存していくのであれば、この映画がとても大切なものになっていくのだと思います。
いよいよ明日、クランク・アップです。
桑山紀彦