この2月でガザに事務所を置いて15年になります。
15年前と比べて本当に色んなことが変わりました。度重なる空爆、エネルギー危機、ダルウィーッシュの早逝。一方で「地球のステージ」の主人公となった人々との出逢い。タハニ、ダルウィーッシュ、ニーメル、モハマッド、ファラッハ…。曲も何曲書いたか…。「落日の果て」「紺碧の彼方へ」「ダルウィーッシュ」「風のモハマッド」「愛の歌」「明日を信じて」。みんな主人公となったガザの人たちを思って書いたものです。
そして今、ガザで本格的に心理社会的ケアを系統だって行って4年が終わろうとしています。
アーベッド、ヤシーン、ラーエッド、モハマッド、アヤというフルタイムスタッフとこのケアモデルを高め続けて4年目。その1年の集大成である総合発表会が行われました。
13歳でケアに参加した(風の)モハマッド(マンスール)もボランティアスタッフとして活発に関わってくれました。
昨年と大きく違うのは、まず「見せる」と言うことに力を注ぎ、そのディスプレイやプレゼンテーション能力が研ぎ澄まされてきているということ。例えば描画、粘土細工、ジオラマの展示も見ている人が流れるように理解できるように仕組まれています。
写真がはまっている「枠」も」自分たちでスチレンボードを切って色を塗っては作っています。つまり観に来た人たちの「立場」に立っているディスプレイ。昨年と大きく変化した部分です。
自分たちがやっているケアに自負があっても、その見せ方が下手であれば人々には理解されず、ドナー(出資者)の皆さんが離れていきます。今回は外務省のODAを使っているわけですから、これは全て日本国民みんなの税金です。
こうしてブログを書くことも、そんな出資者である日本の皆さんにわかってほしいと思うから。でもその報告は往々にして独りよがりになりがちです。その反省から今回は非常に「見せる」→「魅せる」ものになっていました。
いつの間にうちのスタッフたちはこんなプロフェッショナルな集団になっているのか。とても誇らしいです。しかもこの4年目からもう2つの団体に「教えて」いるスタッフたち。あと2年間今の内容で続けますが、今回は「その後」も話し合っています。うちのスタッフたちの願い、それは「ガザ市への進出」それはまさに日本の地方都市で頑張って評価されてきた芸術集団が「東京へ進出だ~!」という意気込みに似ていました。
それがいい方向かどうかはわからないけれど、彼らはこのガザ地区の「中心」と言われているガザ市への進出を願っています。それが成功したらそれはすごいこと。我々「地球のステージ「」が外務省と共に広げてきた「心理社会的ケア」の正規モデルがガザ全域を席巻するわけですから。
どうなるかはわかりません。
でも、この希望の持てないガザにおいてうちのスタッフは大きな「希望」を持っているのです。それは「目標を持つこと」から始まります。ガザ全域を飲み込んで発展するかどうか、あと2年のうちに方向性を出していかなければなりません。
桑山紀彦