ガザ、2日目

今日は朝の8時から心理社会的ケアの中の「音楽ワークショップ」のセミナーでした。

朝も早くからハインユニスの2つの団体から6人のファシリテーター候補生が、エルアマルから10人を超える候補生が集まり、我が団体の5人の教官もそろって20人を超える人々が熱心に耳を傾けてくれました。

まずはこの3月に始まったラマラでの仕事を語ると、みんなとても熱心に質問してきます。西岸の苦しみは占領と共に、毎日勃発する暴力です。空爆が中心のガザとは違うけれど、その苦しみにみんなが強い共感を抱いているのがわかりました。

そんな中でこの3月に制作した映画「オリーブの声」を上映しました。

多くのスタッフが事前に情報を仕入れてこの映画のYouTube公開版を観ているようでしたが、今回はドローン映像を挿入し、冒頭のナレーションを撮り直しているので、バージョン2になった「オリーブの声」を見てもらいました。

みんな一様にため息。こんな作品をどんどん創っていこうとやる気が出てくれたようです。

そしていよいよ音楽ワークショップの内容へ。

今回ラマラでヤザンとザイードによってつくられた見事なメロディをどう使っていくのか、活発な議論の中で話し合いました。

面白かったのは、メロディCは明らかにメジャートーンで、明るい感じなのはわかりますが、メロディAとメロディBでどっちが「暗い」かで意見が分かれ、その「暗さ」が多数決で決められたこと。結局Aが最も暗いメロディで、Bはその中間と言うことで落ち着いたのですが、人によってその感じ方が違うことがよくわかりました。

パレスチナの人々は、とてもよく吸収していきます。やる気はいつも120%です。

だからこそ気になるのが「関わりすぎ」「持って行きすぎ」の傾向。子どもたちが答える前にファシリが答えてしまったり、ファシリが持っていきたい方へ、見事に「誘導してしまう」ことをどう減らしていくか、今回もたくさん議論できました。

打てば跳ねる、送れば返してくれる、本当にやる気のパレスチナ人スタッフと共にいると、「想像力は人間の持つ最大の力」だと思います。どんなに占領によって厳しい環境に追い込まれていても、想像力を失わなければ、人間としての尊厳が保たれることをこれからも子どもたちに伝えていきたい。

それがすなわち「心理社会的ケア」の目指すところだからです。

明日、ガザから出域します。またいろいろとめられて時間がかかるし、持ち込めなかった一眼レフのカメラをアシュケロンで受け取ってエルサレムに戻らなければなりません。まだまだ多難な道のりです。

桑山紀彦

コメントを残す

あなたのメールアドレスは公開されません。必須項目には印がついています *