今回の描画セッションは、事前にダルウィーッシュサイドへ、年齢層を10歳前後に固定してくれと依頼していました。
その年齢層は創作を行なうエネルギーが出始めた頃でかつ、その純粋な精神性ゆえに、素直でストレートな表現が出てきやすいものです。それは時に大人たちへの痛烈なメッセージとなったりするため、良い意味で影響性の大きい創作活動ができると考え、心理社会的ケアでは10歳~15歳くらいの間の子どもたちと共に、様々なワークショップを行ないます。
そんな中にハニーンがいました。
年齢は6歳になったばかり。とても何かを描く、つくり出すのは難しいと思いました。でもお姉ちゃんがセッションに参加したので、「ついでに」という感じでお母さんが置いていったようです。
「大丈夫かな」
正直思いました。
「みんなにとって、この間のガザ戦争で見たものは何?」
というテーマにとうてい6歳の女の子が自己表現して絵を描くとは思えなかったのです。
しかしハニーンはゆっくりと、でも静かに絵を描き始めました。
そして、こんな絵を描いてくれたのです。
「これはね、雲だよ(左上)、そしてこっちは太陽(右上)
いいお天気なんだ。そしてね、これは私たちの家(左下)
そしてね、ここには、戦争で撃たれて血を流して倒れている人が2人・・・」
ハニーン、君も何を見てしまったの・・・。
たった6歳の女の子が、雲や太陽、そしてお家を描く中に撃たれて死んでいく人を描く世界がこの世にはあります。
私たちがこのガザ地区にかかわり続けようと思うのは、それが理由です。
「何ができるか分からないけど、放ってはおけない」
そんな想いを、これからも持ち続けてパレスチナと関わり続けたいと思いました。
時間がないなか、勇気の救急救命士、アブ・オマールに会いにいきました。
昨日は夜の勤務で、朝病院にいったら「今日午前は非番だ、家にいるよ」と言われ、そそくさと出かけていきました。
シャツ姿で出てきたアブ・オマール。
イスラエル軍のミサイル攻撃を避け、時速140キロで走り、人の命を救おうとする救急救命士の休息の姿でした。
「久しぶり!、1月はお世話になりました。」
「なんのなんの」
「アブ・オマールの血圧が心配で、日本から軽量の血圧計持ってきたよ。」
「おお、ありがとな!」
おもむろに計ると128/98。
「あれ、下が高いね」
「ケイが来るってんで走って降りてきたから高いんだよ」
「はいはい」
「日本でね、アブ・オマールの勇気について、いろんなとこで話してんだ。」
「当たり前のことをしているだけだよ。」
「でも命がけだよ。」
「誰かの命を救うのなら、自分の命を懸けることにためらいはないな。」
「でももしかしたら、狙撃されて死ぬかも知れないって、恐ろしくならない?」
「その恐怖はない。だが、娘たちが自分のことを心配して家で待っていることを考えると、とても苦しくなるよ。」
「・・・」
「だから走り続けながら、よく家に電話して”父ちゃんは生きてるぞ~”って声を聞かせていたよ。」
やはり勇気の人です。
そんなアブ・オマールは7人の子どもを持つ親父さんなんです。子どもを思う親の気持を抱えて、ミサイル攻撃の中を走っていたと知りました。
「いつでも家に来い。今度は昼ご飯を食べよう!」
ダン先生、ウイリアム(カナダ人医師)、ダルウィーッシュに続いて、生き方を学ぶ人がまた一人増えてしまいました。
桑山紀彦
ただ一緒にいるだけでいい。
関わり続ける事はそうは難しくない。
気持ちと行動力さえあれば必ず何かにつながるはずと考えます。
とても重いけど「世の中にはこんな人もいるんだ・・。」と知る事もとても大事。
そしてそこから生き方を学ぶ。
関心を持ってもらえる事はやはり幸せな事ですよね。
関わり続けて下さい。
応援していますから。
地球のステージ頑張れ!!
お疲れさまでした。気を付けてお帰り下さい。