今日は横浜市都筑区で映画「ふしぎな石~閖上の海」の上映会でした。
NPO法人「結ぶ」の皆さんが呼んで下さったもので、久しぶりに監督挨拶と質疑応答という形式で関わらせていただきました。
久しぶりに見た自分の映画「ふしぎな石~閖上の海」
今見ると突っ込みどころ満載の映画になっているけれど、あの時「演技指導」は実際的ではありませんでした。心のケアを目指して行っているという点や、被災地閖上での撮影時間が非常に限られていたことなど、ある意味言い訳はたくさんありますが、あえて言えば演技指導よりも、とにかくあの被災地ど真ん中でフィクション映画を「撮る」ということに重きを置いていたからです。
それでも撮影最初の頃の里咲さんたちのセリフ回しが、撮影後半、丹野さんあたりになってくるとめきめき上達していることがわかります。その意味では思い切ってしっかりと演技指導の上で臨むべきだったのかも知れません。
それにしても今は全くなくなってしまった閖上小学校、閖上中学校、東善寺など、貴重な映像がてんこ盛りです。かさ上げ前の閖上を舞台にできたことはとても貴重に思いました。
今日も丹野さんの「命のシーン」、桑ちゃんが語った「天の声を聞くシーン」では、たくさんの方が涙されていました。映画完成から4年目に入ってなお、ちゃんと伝わるものがあることを誇らしく思うと同時に、本当に良くここまで映画を撮り続けていたなあと改めて思いました。
「風化させてはならない」
という気持ち。
「伝えていかなければならない」
という願い。そして何より、
「向き合うべき時期は来ている」
という想いをどう形にするか、毎日毎日必死だったことを思い出しました。どんな困難に対しても、
「一生懸命やっていた」
という思いがあれば、決して心はざわめかない。落ち着いた気持ちでいられることが今日、またよくわかりました。
NPO法人の皆さんは「閖上の記憶」の存在、丹野さんの存在をよく知っています。
「次は丹野さんを呼ぼう!」
と盛り上がっていました。まだまだほころびない、映画「ふしぎな石~閖上の海」をみんなで作れたことの幸せをかみしめる1日でした。
桑山紀彦