ダルウイーッシュの声

ダルウイーッシュと電話がつながりました。
 意外なほど普通な声で、
「お~、待ってたよ!」
「待っていた?」
「そうだよ、12月に来ると思っていたから待っていたんだ。でも戦闘が始まって、これなくなったのだと思っていたよ。」
「いや、12月は東ティモールなんだ。パレスチナは1月だよ。」
「そうか、そうだったか。ところでどうする?」
「そっちはどう?」
「ひどいな、狂気で、本気の戦争状態だ」
「電気は?」
「断続的だ。寒い、とにかく寒いよ」
「空爆は?」
「ラファの街もいろいろと壊されたよ。トンネルあるからな」
「家族は?」
「今のところみんな無事だ。学校のみんなにも異常はないよ」
「入ろうと思って、エレズには向かうから」
「戦車が終結しているぞ」
「無理だろうか」
「わからんな、一旦休戦状態になると、人道支援の人間だけ入れることがあるからな。ジャーナリストは絶対に無理だ」
「エルサレムでしばらく待機してみるよ」
「わかった。幸運にも入れたら、またいろんなことやろうな」
「うん、もしも入れたら、必要なものを持ち込もうと思うけど、何か持っていくものある?」
「いや、どこもかしこも、誰もかれも何もない。自分だけ何かを届けてもらうわけには行かないから、気にしないでくれ」
「でも、寒いし、食べ物もないだろうに」
「そうだな、でもそうやってずっと暮らしてきたんだよ。みんな今はじっと耐えている」
「逢いたいよ」
「そりゃあな。でも運てものもあるから、幸運を祈るよ」
「エルサレムに入ったら電話するよ」
「待ってるよ」
 いつもと変わらない力強いダルウイーッシュの声でした。
 無茶なことはしません。一民間人が出来ることには限りがあります。でも少なくともたいせつな友人と、愛すべき生徒たち、子どもたちのいるガザの街、ラファの街に少しでも近づくことしか今は出来ないです。
桑山紀彦

ダルウイーッシュの声」への3件のフィードバック

  1. お祈りするしかありません。
    それも、
    行かないでなのか、
    お気をつけてなのか、
    頑張ってなのか~
    桑山さんを想う人々の力で
    桑山さんの周りにシールドを造れたら…
    ともかく、祈っています。

  2. 多くの方々が心配して書き込みをしてくださっていますね。うれしいですね~
    全国の「地球のステージ」を支援しているみなさん、
    桑山さんは、ご自身もおっしゃっている通り、無茶な行動はしませんよ。ましてや戦火の中に飛び込むわけではないのですから。より近くまで行こうとしているのです。
    日本にいて、テレビに映される情報を得るだけでなく、より現地に近いところで、現在の状況を私たちに知らせようとしているのです。
    ダルウイーッシュさんと連絡がとれて、不安は少しなくなりましたか。日本の私たちがとても気にかけていることを伝えてくださいね。
    明日はステージがあるのですね。
    どうぞお気をつけて!
    通信状況が良いときに、現地の様子をお知らせください。
    毎日ブログみていますからね。

  3. 先生、わかりました。
    Marilynさんの言われる事は本当なのかも知れない。
    ゴメンナサイ・・でもどうしても共感できない。無茶はしないなんて当たり前のことだと思います。大事に思う人が、危険をおかしてまでリアリティー溢れる情報を欲しいと思わないからです。 行かないで欲しい  これが本当の気持ちです。
    ただ先生のブログをみて伝えたい事は、「理解します」です。 先生は今までずっとそうして来られたのですよね。
    先生からすれば 今更・・なのだと思います。追いついて行く事が出来ず、どうしても次元の違いを感じてしまいますが、それも含め桑山紀彦さんであると言うこと。以前にどれが欠けても僕じゃないんですよね。と言われていた事を思い出しました。
    私も勝手にこころが疲労してしまいましたが、
    今は先生の強い思いを理解し信じるしかないと思っています。
    歌を聴いていると涙が出てきて仕方ないんですよね。
    どうかパレスチナの人達に先生の深い愛が伝わりますように。
    静かに祈っております。
     

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