東ティモール、2日目

午前中はいつものようにバイロピテ診療所で診察でした。
 やはり雨期は病気が多いですね。風邪はもちろん、その他の感染症も多く、やはり水たまりが出来て蚊が一気に増えて発生するマラリアも激発しています。今日は40人弱を午前中診察しましたが、やはり5人はマラリア検査に出し、おそらく3人は確実マラリアだと思いました。
 雨期はいろんなところで病気が重症化しやすいので、本当に要注意です。
 午後からはティバールという結核療養所での回診でした。
ティバール
結核療養所での回診
 ダン先生は忙しいので一人で行きました。ついて早々、ひとりの男性患者さんが意識不明で重症化してしまいました。もう呼吸も下顎呼吸で、瀕死です。やむなく来たクルマで男性をバイロピテ診療所に送り返しましたが、病院についてすぐに亡くなられました。
 申し訳ない思いです。もう少し悪くなる前に一報入れておいてくれるといいのですが、医師が不足している東ティモールでは気軽に医師に相談する習慣が出来ていないのだと思います。夕方ダンに会った時に、
「きちんと相談するのだという心構えを双方で持ち合わないと、こういうことになる」
 と、今回の急死のケースについて反省を共有しました。
 結核はこうして人の命を奪っていきます。
 日本だったら、普通にお薬を飲み、栄養もきちんととれば亡くなる病気ではないのに、この東ティモールでは容易に結核で人が亡くなっていきます。
 ここに通ってもう10年近く、その間に一体何人の患者さんを結核で看取ってきたでしょうか。
 「地球のステージ1」の「東ティモール篇」の語りの最後にダン先生の「3つの言葉」を話しますが、そこにはめている写真、ダンと桑山が支えて中央に写っているおばあさんも、あの写真の4日後に急死されました。
 あの日は歩こうという気持ちでいてくれたのに・・・。
 そうやって、命が失われていく現場を少しでも食い止める、それが国際医療協力なんだと思いますが、さすがに目の前で命が失われていくと、無力感でいっぱいになります。
 そんな夜に飛び込んできた「ガザ空爆、150人を超える死者」のニュース。
 1月9日から、ガザでの活動の予定なのですが、一体どうなるのでしょうか。
 そんな時だからこそ、エレズの検問所を抜けて現地に入ることが、私たちの活動の意味なのだと思って出かけます。
桑山紀彦

東ティモール、2日目」への4件のフィードバック

  1. 昨日は涙が止まりませんでした。
    戦争をやめない人達がいることが、悔しくて。
    無力な自分が悔しくて。
    でも諦めたくないです。
    ドルトルKと一緒に歩み続けたいです。

  2. 一人の人間だからこそ無力感を感じておられるのだと思いますが、決してそんな事はありませんから・・今、そこにいる事。必要とされている事。 肌で感じておられるのでは・・
    先生は包み隠さず報告してくれています。何よりもその現実を伝える事が大事であって、大切な役割を果たしておられると思うのです。悲しくて重たいものを背負っておられるかもしれませんが、いつも通り前をみて歩かれて下さい。
    そんな先生をとても尊敬します。
    地球のステージの皆さんは本当に ガザ へ行かれるのですか?   静かに祈るしかないです。
    日本で普通に暮らしている私達に出来ることは何なのでしょうか・・・

  3. 遠く日本から、先生の活動を応援し、無事を祈っています。ガザへもどうか気をつけて行ってきてください。

  4. お久しぶりです。
    石橋さんからおハガキいただきました。
    ありがとうございました。
    当別から帰って、すぐにコーヒーを飲まれたとかw
    まずはお気をつけてご帰国されることをお祈りいたします。
    その後に向かわれる、ガザ。
    その頃にはどうなっているんでしょうか…。
    少しでも治まっていればいればいいですね。

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