今日は2日前の灼熱が嘘のようだとみんなが言うほどのすがすがしい天候の中、ガザに入域しました。
相変わらず2キロもある長い「回廊」を歩いてガザに入る独特の感覚は不思議ですが、考えてみるともうこうして13年もガザに通い続けていることを実感する時でもあります。
今回は毎日のワークショップの進捗状況の把握と、来年度以降の新しい展開の調査、そして明日に迫った映画「ふしぎな石~ガザの空」のガザ市における初上映会の舞台挨拶が目的です。
さっそく主演女優、ファラッハに会いに行きました。
この3月12日で12歳になったファラッハ。10歳の時に「血まみれのお母さん」を粘土でつくり、11歳の時に映画「ふしぎな石」に主演して、今目の前にいるのはこの9月に中学生になろうとしている12歳のファラッハです。
確実に背が伸びて大人の顔立ちになってきているファラッハ。現在期末テスト中ですが、これまでの成績は10段階評価で全て10という信じられない能力の持ち主ですが、一方でこんなことも話す12歳の女の子でもあります。
「私は映画に出るまでは控えめで大人しい性格でした。人前で話すときはいつもうつむいて話してしまう、そんな自分でした。でも映画に出て、上映会で人の前で話すきっかけをもらったときから私は変わりました。堂々と胸を張って語れるようになったし、ちゃんと顔を上げて話せるようになったんです。」
そんなファラッハの将来の夢は映画の中で「医者」と語っていたのに今回は「歯医者」。それもいいけれど、
「医者になるんじゃなかったの?」
と問うと、ちょっと考えて、
「もしも医者になって、ケイ(僕のこと)と一緒に仕事ができるんなら精神科医になりたい。世界のいろんなところで、心傷ついている子どもたちのために仕事がしたい。」
相変わらず見事な夢を持つパレスチナの12歳でした。
そしてモハマッドを尋ねました。
今、アルクーツ大学の経営学部に転科して1年生となっているモハマッド。なぜ「経営学部か」というと、「卒業後、独立して通信社を経営したい」からだという。とても具体的にジャーナリストの夢を着実に組み上げているモハマッド。
実はこの夏、彼は日本に来られるかもしれません。
現在空爆や国境の銃撃戦は落ち着いていて、今年であればイスラエル国境のエレズの検問所を越えられるかもしれないのです。そう言いながら昨年は土壇場でエレズを越えられず、神戸、松本の皆さんにご迷惑をかけてしまった経緯があるので、今は確実とあえて言いませんが、今年はいけそうです。
日曜日にはテルアビブの日本大使館にビザ申請に行けそうですし、モハマッドも気合いを入れて今年は日本に行くのだ!と鼻息が荒いのです。もちろん日本で彼に感じてほしいことは実にたくさんあるので、そんな彼の鼻息の荒さをくじくような出来事もあるかも知れませんが、いずれにしても「平和構築」という視点で、モハマッドの来日はとても意味があるものだと思います。
そんなモハマッドの学資支援を現在検討中です。理事会、そして6月の総会にははかりたいと思いますがモハマッドの夢をかなえるために大学の学資を支援しようというもの。
幸いジャワ島のリサがこの9月で晴れて助産師学校を卒業し、助産師になる(予定である)ことを受けて、それにつなげて今度はパレスチナのある青年の夢をかなえようというものです。
具体化したらまた皆様にご相談しますが、「地球のステージ」において、モハマッドだけでも3篇の作品があり、彼のためにつくった曲も「風のモハマッド」「愛の歌」そして今回の映画の主題歌「明日を信じて」と3曲に上ります。
そんなモハマッド、来日の際には是非皆様の元へ、と思うので決まり次第こちらも連絡いたします。
そんなふうに安心していたらイスラエル軍からの緊急情報で、先ほどイスラエル南部にハマスと思われるミサイルが着弾したとのこと。地域的にはラファを含むガザ地区南部から発射された可能性が高く、報復のミサイル攻撃がラファに及ぶ可能性があるというもの。
こんなところは相変わらず、「変われない」ところのようです。
桑山紀彦
子供から尊敬される大人って
本当にすごいと思います!
支援した子供たちが成長した姿も地球のステージの歴史のⅠページです。
期待した大人にステップすることを期待しています。