白鴎大学の結城先生

今日は白鴎大学のステージでした。

　実に6年目、「地球のステージ6」の公演でした。

　主催してくださっているのは学生団体の「未来創造ネットワーク」ですが、この主宰は結城史隆先生です。JICA青年海外協力隊二本松訓練所の技術顧問をされているため、実は昨日も、

「結城先生に、この”地球のステージ”はすごいから、しっかりと見ておいてね、と言われたんです。」

　という方に何人も逢いました。その結城先生、今年も元気で呼んでくださいました。

　ステージ6番はルワンダ篇やブータン篇がありますが、今日はいつになく納得のいく6番で、ようやく6番も固まってきたかなあ、と思いました。そして津波については「5年目の津波篇」。これは1年目に制作した「震災篇」、2年目の「復興篇」、3年目の「未来篇」、4年目の「復活篇」に続く5年目のシリーズです。

　「海にどう向き合うか」。5年目のテーマとしてPTSDを取り上げています。これで3回目の公演ですが、だんだんツボがつかめてきているように思いました。

　さて、今日も交流会がありました。

　いろんな質問が飛び交いましたが、今日は協力隊OVの皆さんがいらしてくれていたことが嬉しかったですね。特に平成18年度隊の皆さん。今年で帰国後7年目。いろんなことを考えていらっしゃるけれど、やっぱり純粋で、まっすぐで、その姿勢からすぐに「ひょっとして協力隊のOVの方ですか？」と言えるくらいに、物腰が「決まって！」いらっしゃいます。

　最後の方に大学生から出た質問。

「3年生になっていよいよ就活が迫ってきているけれど、自分は何をやってもだめで、本当に哀しくなるくらいですけれど、どうしたらいいのでしょうか。」

　少し考えて、答えました。

「今の日本は、このくらいの年齢になったらこうしないといけない、ここまで来たらこうしないとおかしい、などの”枠”が強すぎるように思う。特に4年生大学に入った皆さんは、もう3年になった時から就職のことを意識させられてしまう。

　でも考えてみれば、人は就職するために生まれてきたんじゃない。会社に勤めるために生きてきたんじゃない。

　たった1回しかない人生をどうやって”自分らしく”していくかが大切だと思う。だから、今自分がやりたいと思うこと、これが好きだと思うことをあえて一生懸命やってはどうだろうか。就職がちらちら気になるかも知れないけれど、好きなことを思いっきりやって、いい表情になっている人を、実は企業も雇いたいと思う。就職のことばかり考えて、自分がやりたいことも抑えてしまった人の表情には”曇り”を感じるに違いない。そんな人を雇いたいとは思わないように思う。

　大学時代、やりたいと思うことを一心にやっていたら、実は就職は向こうからやってくるものだと思う。

　だから今一番大切なことは、あと2年しかない大学生活の中で、自分が本当にやりたいと思うことをやることが、実は良き就職への近道なのではないだろうか。

　人はみんな自分の人生の中で、”主人公”として生きるべきだから。」

　大学で就職を斡旋する立場の皆さんから見たら、「甘い考え」と思われることでしょう。でも、就職のために大学を送った人が実際に就職してうまく行かず、心身の調子を崩した人が、僕の外来にはたくさん来ているのも事実です。

　日本における「就職活動」は時として本末転倒なのではないか、と思う時があります。

　本来仕事は、自分の人生を「納得のいくもの」にするためにあるのであって、仕事場を納得させるために、人が就職させられるのではないと思うのです。

　勇気を持って「やりたいこと」に取り組んでほしいと思います。

　話していて涙が出てきてしまいました。

　みんな悩んでいる。でも、「自分らしくていいんだよ」と言ってあげたい場面がたくさんあります。それは心療内科医として外来で言うのではなく、もっとその前に伝えていきたいことなので、僕はおそらく外来の日数は少ない代わりに、ステージの回数が多いのかも知れません。

桑山紀彦