昨年9月のガザ。私たちの事務所があるラファ市の町中で、崩れ果てた建物の中で自分のお店を営んでいる人がいました。
名前をフェイサル・スレイマンさんと言います。
この場所で電気屋さんを営んできましたが、8月1日の空爆で破壊されました。4週間目に戻ってきたスレイマンさんは、壊れ果てた自分のお店にがく然としましたが、あきらめずそのひしゃげた建物の下で営業を続けていたのです。
大学に通う2人の娘さんの学費のために、そして自分が生きるために…。
そんなスレイマンさんを支えようと、9月の時は80シェケルの電気フライパンを購入し、100シェケル札を出して、
「おつりは取ってて下さい。」
と言ったのに、
「オレは施しは受けないよ!」
と言って20シェケルのおつりを返してきた誇り高き男です。
そんなスレイマンさんを今回も訪ねました。そして、お、驚いたことに店が「アップグレード」しているじゃないですか!
そう、壊れ果てた建物の軒先にちゃんと店構えとドアをつくり、お店を建て直そうとしていたのです。まさに「アップグレード」です。
そして中に入ると、整然と整理された奥行きの中にかつてのお店の面影さえ感じるようなたたずまい。まさに「ビフォー&アフター」の番組のような展開になっているのです。
びっくりしました。
そして9月の時の写真を手渡すと微笑んで、
「おお、ありがとう。また来てくれて嬉しいよ!」
前回と違って余裕さえ感じるそのほほえみと優しい対応に、人間の止まらない進化と勇気を感じました。
今回はとりあえず電気の延長コードを注文したのですが、できあがって、
「いくらですか?」
「おお、25シェケルだ。」
そこで30シェケルを出して、
「おつりは取ってて下さい。」
というと、
「オレは施しは受けないよ。ホレおつりの5シェケルだ。」
くわ~~~、カッコいい!
いつものスレイマンさんがそこにいました。
こうしてアップグレードしたスレイマンさんに逢えてまたまた感動。人間は決してあきらめない。常に進化する力を持っている。負けちゃおれん!と思いました。
この調子でいくと、スレイマンさん、壊れ果てた状態のままでこの建物を補強して、それをかえって「売り」にしてしまうのではないか、と思えてきました。
恐るべし…。
また、ガザに一つの名所ができました。
桑山紀彦
おはようございます。
無事に、検問を通過されたのですね。
良かったです。
す、スレイマンさんですか!
私も公演をしてくださった際にとても印象に残っていました。
本当にアップグレードされていますね。
とても、かっこいいです。
人としての強さが感じられます。
私も見てみたいです。
桑山さんスレイマンさん
進化する力を持って頑張ってください!
ブレない精神力すごいですね。
でも前のお店に戻すのにこれからどれだけの時間がかかるのでしょうか?
我々は、普通が当たり前の「日本」のありがた味再認識すべきですね。