今日は聴力障がい児の暮らすのワークショップです。
ガザ地区は厳しく移動が制限されているため、実は近親婚が多く障がい児の発生頻度が他の地域よりも有意に高いという報告があります。実際聴力障がい児の数の多さは肌で感じるほどであり、元々エル・アマル社会福祉協会(ダルウィーッシュが総裁)はそういった聴力障がいの子どもたちの学習および就労支援を目指して創られてきた経緯があります。
今日はそんな聴力障がいの子どもたちの個人ジオラマ制作ワークショップです。
マリアンは13歳。小さい頃から聴力障がいを抱えています。彼女の「忘れられない日」。
「私が忘れられないのは、小さい頃にみたエルサレムの光景。あまりに美しかった。そしてこの黄金のドームの風景。今も目に焼き付いているの。」
マリアンはそしてこの「黄金のドーム」を創りました。
しかし考えてみるとマリアンは13歳。物心ついた頃を3,4歳としたらこの10年間の間で彼女がエルサレムに行く機会はなかったように思われます。よほど特別な理由、例えば兄弟が心臓の手術でエルサレムの病院にかかったなどという状況でない限り、それはかなわないことです。
そこで僕が質問をしました。
「マリアン、君は夢の中でもエルサレムのことを夢見るのかい?」
「うん、よく見るよ。」
そうだねマリアン、君はひょっとしたら夢の中でこの黄金のドームをみてきたのかも知れない。でも、それが夢か現実かはたいしたことではないと思う。夢であっても「忘れられない日」としてこの「黄金のドーム」「エルサレム」に感動したことは事実だものね。
またいつか、本物の黄金のドームとエルサレムをみた時、君がどんな感動を覚えたか聞かせてほしいと思うよ。
続いて発表したのはナワーン、13歳。
ナワーンは障がいが重く、ほとんど手話も勉強できていません。だからみんなナワーンが何を言いたいのは実は半分もわからないままでここまで来てしまいました。
今日のナワーンの作品はどうも「海」のようです。そして「波」もあります。
ナワーンは初めて海に行った日のことを「忘れられない日」としてくれたのでしょう。でも詳細がわからない状況ではなかなか質問もしにくい状況でしたが、何よりうれしかったのは先生たちが語ったことでした。
「ナワーンは、手話もほとんど理解していないので、授業でも遅れがちでいつも隅っこの方に隠れているタイプでした。私たちも授業の進みがあるからなかなかナワーンにだけかまうということができなかったのです。
しかし、この心理社会的ケアが始まってから彼女は劇的に変わりました。
元々何かを創ることは好きだったから絵を描いたり、粘土を創ったりすることはナワーンにとってとても刺激的だったようです。もちろんその創ったものについての感想を手話で語られるといいのですがそれは難しい。
それでも、彼女がこうして人の前に出て、自分の創ったものを人に見てもらい、笑顔でそこに立っているということが彼女にとってどれほど大切でかつ革新的なことか・・・。
私たちはこの心のケアに感謝すると同時に、その効果に感動しています。」
ありがたいお言葉でした。
こうして聴力障がいの子どもたちの心の扉も開かれていっています。
(これまでの作品群)
目に見えにくい「心の変化」を促す仕事ではありますが、既に半年でここまで来れたことが奇跡に近く、我がスタッフたちに感謝、感謝です。
そして今日は午後からセミナーでした。
新しく「心理社会的ケア」を学んでいる5人の先生方には年に5回、セミナーが提供されます。その第3回目が今日でした。明日も続いていきますが、とにかく短時間の滞在でできるだけのことをしなければなりません。
頑張ろう!
桑山紀彦
ナワーンさんの笑顔がうれしいですね。表現することの大切さを改めて思いました。
災害があった時、聴力障がいのある方は周りの様子がわかりづらいので不安が大きいと聞いています。心に留めて、いざという時に行動できるようにと思います。
7~8年前ヤクザまがいの建設業者と町内がトラブルになり、近所の元市議夫妻や隣町の社会福祉法人理事夫妻と4年に渡り連携しましたが、その後建設会社の社長が亡くなりようやく沈静化してゆきました(小や孫の為には住民も本気になります)
結局私達も引越しをしましたが、相談するのは私の役目だった為カミさんと溝が出来、ストレスで大腸もガタガタになり三途の川も覚悟した事がありました(向かいの親父さんも脳溢血で杖が必要になりました
こんなチンケないさかいでも結構後遺症は残るものです
心のケアは本当に大切です
パレスチナで多くの先生に学んでいただき、多くの方が助かることを願っています
言葉がまだ話せない幼児でも色とか絵とか動くものとかを見ると感情がでますよね。
カラフルな粘土で自分で作る喜びがわくのでしょうか?
大切なワークショップだと思います。
そして、指導者を育てるセミナーはもっと大切だと思います。