トラウマという共通言語

明日から入るガザ地区の前に、今日は在日本イスラエル大使館より「ぜひ訪問を!」と言われていた「レジリエンス・センター」に赴きました。

今泊まっているアシュケロンという町はガザに最も近いため、時々ハマスが打ち出すミサイルが飛んできます。それによって時々死者が出る最前線の町。そこにこのレジリエンス・センターがあります。

レジリエンスとは「回復力」と訳されますが、トラウマを受けた人々が回復していく過程を支えるセンターがイスラエル国内には多数存在します。

僕たちはこの19年間ずっとガザ地区におけるパレスチナの皆さんの心のケアに携わってきましたが、今回はそのガザから発射されるミサイル攻撃で被害を受けているイスラエル人の心のケアの現場を訪れたのです。

そこにあるものはクレヨン、絵の具、鉛筆、画用紙…。

私たちがやってきた心理社会的ワークショップと同じような活動がそこで展開されていました。ここに勤めるソーシャルワーカーのダフナさんが丁寧に案内してくださいましたが、やっていることの類似性にびっくりすると同時にトラウマ(心的外傷)はどちらにもあるのだと痛感しました。

ダフナさんが言いました。

「そうです。トラウマを受けることにおいても、その回復を支援することについても(パレスチナとイスラエル)双方に違いなど無いのです。お互い立場は違っても同じように心の傷を受け、そして同じように支援を受けるべきなのです。

変わらなければならないのはまさに為政者。その人たちの変化こそが大きな変革を呼び起こすでしょうけれど、それはなかなかうまくいきません。でも諦めてはならない。私たちの子どもたちにまでそんな負の財産を背負わせてはならないと強く感じています。

そうですね。近い将来この両者がトラウマや心のケアという共通の言語によって理解し合える日が来ることを望んでいます。」

こんなビジョンを持ったイスラエル人が目の前にいました。

イスラエルも変わろうとしています。

桑山紀彦

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