オミクロンについて思う

こんなことを言う医療者の自分は、医者として失格なのか。しかし「心」を診る精神科医、心療内科医の自分はどうしても「心の健康」「社会の健康」を重視した思考になりやすいことを自覚した上であえて言いたい。
 オミクロン株は、新型コロナというコロナ一族の7番目の末っ子が、ようやく人類との共存の道として選択した「共存の株」であると信じて疑わない。だから肺炎を起こしたり重要化しないと言う「弱毒化」の方向を選ぶ代わりに、「かかりやすい」という感染力の強さを選んだ。それはすなわち「一般的な風邪になろうとしている」という大きな方向性に舵を切ったこと。
 コロナ一族は本来風邪のウイルスなので、この方向性は「織り込み済み」だけれど、5番目のサーズ、6番目のマーズのような強毒化を選んだ兄弟もいた。だからその動向がとても心配された。しかし7番目の末っ子は1番目から4番目が選んだ道である「一般的な風邪のウイルスと化す」という道を選んだと言っていい。なぜならあっという間に拡がるという感染力の強さと「のど風邪」「鼻かぜ」という軽症化の傾向を明確に示しているからだ。
 ものすごい感染者が出ているけれど、これはおそらく3〜4週間で確実に治まると自分は見ている。それは単なる予測に過ぎないが、その視点を「地球」という星の視点で考えるとこのウイルスが選んだ道は「対決」ではなく「共存」であると、ようやく見えてきたからだ。
 しかし専門家という人たちは一向にこういった話しをしない。
 そんなことを言うと確実にたたかれるからだ。不安をあおった方がもっともらしく聞こえて責任を回避できる。前向きな発言をすれば責任をとらなければならない。その自覚と覚悟が専門家たちにないからだと思う。
 感染者数だけをことさらに取り上げて大げさに騒ぐマスコミのあり方にも大きな疑問がある。重症者数や死者数についてはほとんどふれない。不安をあおった方がニュースソースとして「取り上げてもらえる」からだろう。こんな報道姿勢に終始する姿は哀れに見えてならない。
 現状は「冬に流行る風邪の一つをこまめに数え上げてあたふたしている…。」そんな状況に見えてならない。2019年のインフルエンザは感染者数730万人、死者数1万人をその1年間で出している。この事実は全く顧みられることなく、軽症化の道を選んだ新型コロナをあくまで「敵視」している。見知らぬもの、未知なるものに対して不安を抱くのは人間の本性であろうけれど、そろそろ冷静に、賢くなろうよ、と思う。この視点はいつまでたっても外国人を積極的には受け入れようとしないこの国の国民性に通じるものがある。
 要するに視点がいつまでも「人間」であり、「ウイルス」側の視点に立てていないということ。それでは本当に意味での解決にならない。
 
今年のM1グランプリを取った「錦鯉」のファイナル・ネタは街に逃げた猿を捕まえると言うネタだった。
 一生懸命猿を捕まえようとするボケ役の長谷川、いちいち突っ込む渡辺の絶妙な掛け合い。その中に、ボケの長谷川が、
「猿め〜、このやろ〜待て〜!
 あ!森の中に逃げ込んだ!」
すると突っ込みの渡辺が、
「・・・・・じゃあいいじゃねえか!」
 そう、猿は山に戻ったんだもん。よく考えればそれでいいじゃん!ということ。
NHKニュースでも言っていた。
「症状はほぼ風邪に近いものです。」
そこで相手にキャスターに言ってほしかった。
「じゃあ、いいじゃん!」
 あ〜安易なことを言ってしまった。でもこれが本音。たたきたい人は名前を挙げた上で、どうぞ。匿名は卑怯です。
 
桑山紀彦

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