電気自動車という乗り物

昨日は大好きな島根県、浜田の浜田高等学校のステージでした。

 島根においてはその中心としてステージを呼んでくださっている山藤(さんとう)さんが駆けつけてくださいました。
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 今年も12月8日(土)の実行委員会主催ステージがありますが、山藤さんは協力隊OBです。そして現在は島根県の高校の校長先生です。どんなに地位が上がっても、本当に熱い心と感動する気持ちを持っていらっしゃる山藤さんが大好きです。
 そして今日は都内のステージのあと、札幌に飛びました。明日は2年目になるインターアクトのステージです。札幌ロータリークラブの主催になります。
 そしてなんと今をときめく電気自動車日産の「リーフ」を借りたのです。その試乗記をお届けしましょう。
まず乗ってみると、
「静か~」
「発進が力強い~!」
そこで感想が、
「いよいよ時代は電気自動車となったか!」
なかなかのものです。しかもガソリンを入れなくてもいいんです。すごいことになってきました。
 しかし・・・。
 札幌市内に目的地を合わせたのですが、なぜかナビは高速道路を選びません。一般道で札幌まで行かせようとします。
「不思議だな~」
 そう思いながらも、もう勝手知ったる道ですから千歳市内を抜けて千歳インターを目指しました。しかし、インターが近づいても決してリルートしません。ようやくインターチェンジの導入路に入って、ナビは高速道路を選びました。
「有料優先にしようかな。」
 そう思ってナビをいじろうとしてもそんなボタンはどこにもありません。嫌な予感がしました。
 さて、いつもの慣れた道央道に入り、いつものように加速していきます。
「すごいな~、本当によく走るな~。これでガソリンがいらないなんて、夢のような話しだな~。」
 気持ちは高揚していきます。
 が、しかしふと見ると充電の目盛りがもう既に一つ減っています。そして「あとどれくらい走れるか」のキロ数が、走る前は160キロあったのに、ふと見ると120キロに下がっています。
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「ちょっと桑山さん、スピード下げて!このままじゃ、空港との往復もできないよ」
 横で優子ちゃんが叫びます。でも根が貧乏性ですからせっかく料金を払って乗っている高速道路。早く着かなければもったいないという気持ちになります。
「そんなこといったって、料金払って高速道路に乗ってるんだよ。いつものように走る!」
 そうして「いつものように」走っていると、残り充電の目盛りがどんどん減ってきます。
 そしてふと気づけば、12段階の目盛りのうち3段階が減っているのに、まだ走った距離は20キロ足らず。
「え?このままじゃ、札幌の往復もできないかも・・・。」
 不安がよぎります。
 そしてふと見るとナビは次のインターで降りろと行っているではないですか!
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「え、なんで北広島ででるの?普通札幌北だよね。」
 そうなんです。このリーフのナビは決して高速を選ばないようにできているのです。なぜなら高速走行をすると公表している「フル充電で160キロ」が全然走れなくなってしまうからです。すごいです。ナビそのものがわざと高速を選ばないんです。
 でも、充電の目盛りはどんどん減ってくるので不安になった僕はナビ通りに北広島で降りました。札幌駅に行くというのに北広で降りたのは初めてでした。
 そしてあとはなるべく加速せず、流れに乗っておとなしく、穏やかに一般道を走って札幌駅にたどり着きました。充電の目盛りを見ると12段階で既に5段階が消えてなくなっています。今日の夜は充電できる環境ではありません。明日、ステージ会場まで行って、そこから千歳まで高速なんかで戻れば、途中で「電気切れ」する可能性もあります。
 この時の感覚はまさに津波が来てからの1ヶ月、ガソリンの枯渇によって毎日毎日ガソリンタンクの目盛りが減っていくことに大きな恐怖を抱いて過ごしていたあの時代。あの感覚が戻ってきていました。なんとも言えない重くて暗い気持ち。
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 電気とはかくもはかなく、尊いものだと思いました。
 ガソリンを中心とする内燃機関で走ってきた自動車によって構築された現代のモータリゼーション・システムはまだ電気自動車によって取って代わられる時期には来ていないと思いました。電気自動車は高速走行に絶えられないし、「充電」という作業はやはり「給油」という作業とは全く違うものです。給油は5分で済むけど、充電は数時間かかるのです。
 現時点でリーフはある限られた条件下、例えば街乗りが中心で高速走行が必要なく、充電ステーションも充実している環境下であれば「日常」となり得ますが、私たちのように時間に追われ、距離を走る者たちにとっては電気自動車はまだ役割を果たしてはくれないものだと思います。
 やがて、システムがもっと発展し、社会や世界が電気自動車をそのモータリゼーションの中心に据える時が来るまで、「地球のステージ」は今の形式ではとても電気自動車には頼れないと思います。
 しかし、逆に言えばこの過剰になりすぎたスピードと便利さの追求の上に構築された内燃機関(ガソリン車)が世界の資源を食い尽くし、人類を切迫の淵に追いやろうとしていることもまた事実です。
 その視点に立てば電気自動車という存在は、私たちの生活を見直し、今のスピードでいいのかを問い直す「機会」になっているようにも思います。
「その時間、そのスピード、その距離で、本当に良いのか?」
 リーフが問いかけているのは、そういった視点なのかもしれない。それはいわば人類に対するアンチテーゼかもしれないのです。
 リーフは、そんな「問いかけ」のために誕生したと考えると気持ち的にはすっきりします。
 果たして今後電気自動車の進む道はいかに・・・。
桑山紀彦

電気自動車という乗り物」への5件のフィードバック

  1. 桑山さん、リーフ乗ったんですね?私も昨年学校にきたリーフに試乗しました。ほんとに静かで発進が力強くて。一緒に乗った先生といいねぇと言い合ったのでした。でも、時間との戦いには向かないのかも?
    我が母校、浜高でのステージ、ありがとうございました。私も行きたかった?赤木さんにも会いたかったし。浜高には私の甥っ子がいます。以前、浜田に来ていただいた時、ステージを見ています。小学生でした。そのことは覚えていて、今回の感想を聞くのが楽しみです。
    また名取の皆さんに会える日を楽しみにしています。

  2. 充電… 携帯電話の充電も結構時間かかるからなぁ… 何が良いのやら、わけが分からん私です。
    大飯原発再稼働が決定。来月29日は山口県知事選です。山口県も上関の問題を抱えています。総会の時、聞いた、高村さんの話が思い出される今日この頃です。
    世界の秘境で大発見!見られた方いらっしゃいますか?カンボジアのマダムキムラ。日本食堂切り盛りし学校の校長先生で10人の子供を育て7人の子供を日本に留学させて… ガザで良い働きをして来て下さい。

  3. 我々は、不便と便利の差を忘れてきたのかもしれませんね。
    しかし、300Km3時間の距離感もヒマラヤの山道なら10時間~でも現地の人はそれが当たり前と思っているかも・・。
    「狭い日本・そんなに急いでどこへ行く?」必要を上回った過剰便利を見直すよい機会かもしれませんね。
    でも、一度便利を味わってしまうと逆戻りに耐えられるかどうか自信がぐらつきます。

  4. こんにちは、ドキドキの電気自動車体験だったのですね。
    燃料が無くなるこわさ重苦しさは、地震後の日々のブログにもつづってありましたね。
    阪神の震災時に、ガス管に先立ち電線が復旧したので、当時は慣れない電気で工夫して煮炊きしていた(ホットプレートで炊き込みごはん等)人達のことを思い出しました…。

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