窮地に立つ母さんたち

今外来で一番心配なのは、小中学生を持つお母さんたちです。

オンライン外来では、そのお家の様子がよく分かるし、お母さんも普段着で参加してくれます。でもそのお母さんたちには明らかに疲労の色が見て取れます。

まず第1に子どもたちを外に出さないために、やむなくこのウイルスを「相当危険なもの」として伝えなければならない苦しさです。元気な子どもたちを外に出さないというのは、よほどの工夫をしないと無理です。そのためにお母さんたちはやむなく、

「外に出るとすぐにうつるかもしれない恐いウイルスなのよ。」

と言わなければなりません。そうでもしないと子どもたちが納得しないからです。すると子どもたちはその持ち前の想像力で、その脅威のウイルスの恐ろしさを組み立て、「外に出る」=「感染してしまう」という構図を心の中に構築してしまっています。

これは子どもたちを家に留めるためにやむなく行っていることとはいえ、子どもたちの心を相当ゆがめている感じがします。

「外の世界」=「汚れた世界」

という構図が、この長期間の休校によって構築されてしまっているのです。

それでも子どもたちのことを思って外出を試みようとしているお母さんもいますが、

「外に子どもを連れて行くと、通報されそうな恐怖があります。」

と語ります。だから先週の土曜日は嵐のような大雨でした(ところによっては警戒警報が出ていました)が、あえて「人がいないだろう」ということで、大雨の中お子さんを連れてドライブに行ったりされていました。ワイパーはフルで可動していたそうです。

そんな思いの中、夫はテレワークで家にいます。

すると何と家族4人分の食事を毎日毎日作らなければならないのです。こんな負担とストレスがあるでしょうか・・・。これが家を守るお母さんたちの毎日です。ニュースには出ないかも知れないけれど、新型コロナ禍の影響はそんな家の中のお母さんを今窮地に追いやっています。

桑山紀彦

窮地に立つ母さんたち」への2件のフィードバック

  1. 本当にそうなんです!勤め先は女性ばかりなので笑顔が半減しています。帰り際には献立の情報交換です。こんなに家族が長いこと一緒に居られるのに しんどいとは、残念な事です。明けない夜はないとたえるべな。皆さんファイトp(^_^)q

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