仮設住居や名取市民文化会館、「地球のステージ」の50畳ホールに拠点を移して10月から始まっている心理社会的ケア、「スカイルーム」は閖上小学校の子どもたちを中心に順調な活動になっています。
どの仮設住居でもほぼ同じメンバーがたくさん集まってきてくれており、子どもたちが確実に何かを表現したがっていることがとても伝わってきます。
半年が過ぎて、見た目に普通に見えてもそろそろ心の中の整理をしていかないと、元気や活気がなく、不登校になりがちになったり、些細なことに傷つきやすくなったり、自尊心の低下によりくじけがちでこらえが効かない感じになったりしていきます。それは一件学校の中の問題に紛れて見えたりしますが、明らかにちゃんと心のケアをしないために抑うつ感や不安感がじわじわと出てくる子どもたちが増えていくのです。
私たちは、それを予防するために毎日「スカイルーム」を開いています。
今僕たちが取り組んでいるのは先日も話した3月10日(津波の前の日)の閖上の街を創るジオラマ制作です。子どもたちは一生懸命自分の街に何が存在していたのかを一心に創っていってくれます。それは、確かに自分がそこにいた、存在して暮らしていたという「根っこ」の部分を再確認し、その上でこれからのことに取り組んでいくそのエネルギーを得ることを目的にしています。
家を失い、街を失ったという事実はいつの間にか語られず、自分たちだけが大きなものを失ったのに、既に周りの人たちはそれがなかったかのように接してきたりします。そこに待っているのは自信の喪失であり、挫けであり、落ち込みの気持ちです。だからこそいま閖上の街に本当は何があって、どうやってそこに生きていたかを再確認することで根底にある記憶を紡ぎ出し、自分のルーツを確保して自信につなげていきます。
今日は彩色。色を塗る日です。
子どもたちはかつての自分の家を想い出しながら、色を塗っていきます。
「想い出せな~い!」
「わかんな~い!」
ある種の否認が入ります。でもりんりん(林看護師)は優しく、
「大丈夫、想い出せるところから始めてみようね。」
悠ちゃん(柴崎悠子)も、
「ねえ、ゆっくり考えてみようよ。」
子どもたちのペースと、気持ちの変化のスピードを読み取っていきます。
「これはね、蒲鉾屋の笹なおだよ。」
「そっか、笹なおの色に塗られているなあ。」
そんな会話をしていると、自治会長の遠藤さんが関わってきてくれます。
「おい、遠藤商店は創ってくれているか?」
「はい!僕が創ってまーす!」
「おお、嬉しいなあ。50年も続いて来た店なんだ。ちゃんと創ってな!」
「はい!」
閖上の街のジオラマ制作は、こんなふうに大人も関わって続いていきます。大人も心の中で街を取り戻したいと思っているようです。
色塗りが完成していく中で、もう少し創りたいというものがでてくることもあります。そんな変化も僕たちは受け入れて行きたいと思う。そして子どもたちが納得するジオラマの完成を目指していきたいと思っています。
桑山紀彦
製作、着々と進んでるんですね。自治会長さんものぞいてくれるなんていい感じですね。大人の皆さんも完成を心待ちにしてらっしゃるんですね。
悩んだ時の声がけって大切ですよね。
自分のルーツを確認していくことは、とても大切なことなんですね。子どもだけでなく大人の方も同じようなジオラマを作ったらまた違ったものができてきてくるでしょうね。地道な取り組みですが、完成を楽しみにしています。
ドタバタしていて またまた まとめ読み。
熱き九州の皆さんに感動し、
ほう~そうだったんだ!「応援歌」と嬉しくなり、
大変な中でも 運動会出来て良かったなあ~と涙し、
カウンセリングの報告は 胸をずきんずきんさせながら 読んでいます。
でも優しい大人たちに見守られスカイルームができて 良かったと思います。
ありがとう!
みなさん!
お身体を 大切に!
このジオラマの完成が待ち遠しいですね。
子どもたちと地域の皆さんの思いの詰まった大切な宝物。
できれば,津波祈念館の入り口に…
人間というのはつくづく心によって成り立っている動物だと思う。どんなに体が頑強であっても、心が萎えてしまうと体さえ重たく感じるものだ。
ある薬が大好きな桑山先生から処方されるとその薬の効果は甚大で、大嫌いな藪医者に処方されると効果どころかかえって悪くなったりもする。それほどまでに人間の心は私たちの体に影響するものなのだ。
ボクのお仕事というのは昼間から夜にかけてであり、仕事が終わって家に帰り着くのは夜の11時である。遅い夕食をとり、テレビを見たりしながら時間を過ごし、1時か2時に就寝となる。たまには「地球のステージ」のブログを読んでコメントを書くこともある。そんな毎日であるが今日は家に帰るなり何もせず、いきなり布団にもぐりこんだ。というのは今日嫌なことがあったからである。心がふさぎ、とにかく体を布団に横たえたかった。一時も早く心を温かく包み込んでしまいたかったのである。こういう時があると桑山先生のような精神科医の果たす役割は大きいと思う。
先人の言葉に
「心は、二つの寝室のある家です。一方の部屋には苦しみが、一方には喜びが住んでいます。だから人は、あまり大声で笑ってはいけない。さもないと隣室の苦悩の目を醒ましてしまう、というのです」
「それで喜び方は? 苦悩が声を大きくすると喜びは目を醒ますのですか」
「いいえ、喜びは耳が遠くて、隣の苦しみの声は聞こえないのです」
ヤノーホ「カフカとの対話」より
そうはいっても、ボクは布団を頭から被って眠るのみである。眠っている最中、夢の中で警察官に変装した詐欺師に有金を全部巻き上げられてしまった。寝てもまた、悩みは尽きないのである。
「迷うも悟(さとる)も心ぞや」
謡曲「熊坂」より
和歌山 なかお
色塗りが始まりましたね~♪
何気なく暮らしている街の色、改めて思い出すのはちょっと時間がかかりそうですね。
あれこれいろんなことを思い出していく内にひょっこり思い出したりするかも。
急がない、という進め方はとってもいいと思います。
黄色の笑顔はどこに配置されるのかしら?完成がますます楽しみです。
久々のコメントです。
子供たちのムーブメントに心が揺さぶられます。
12月の公演にむけ忙しくなってきました。
明日は実行委員会で合宿します。
フィリピンやインドネシアやペルーのお菓子を作ってそれを売って地球のステージ公演の宣伝と資金稼ぎをしてしまおうという虫のよいこと考えておるのです。
それにしても、いいトシして合宿とは…。
閖上の子供たちに負けんぞ!
ブログを読み、写真を見ているうちに、何かとてつもない効果が期待できるような気がしてきました。
きっと、子供たちは不安と楽しさを背負いながら、一心不乱にジオラマに作りに取り組んでいることでしょう。
だからどこかで気持ちがはじけて、自分から窓を開ける日が必ず来ると信じて見守って行きます。
桑山 紀彦 様
ジオラマ製作とはすばらしいですね。
想い出しまた思い出して色を重ねる、
そのように時間はとても貴重ですね。
こころが暖かくなってきました。