プランBからCへ

 今日はコープこうべ第6地区の皆さんに呼んで頂けて、兵庫県姫路でのステージでした。姫路では飾磨西中学校や白鷺小学校、中学校などでのステージがあったので、なじみになっている町です。なんと言っても国宝姫路城。今は大修復のために大きな箱に覆われていますが、かえって外からの姫路城天守閣が間近に見えて、迫力があります。

 朝、8:35発の伊丹便はあえなく機材故障で欠航。でも一年をステージの旅で過ごしている僕たちにとってはすぐに「プランB」を考えます。それはありきたりですが、「次の9:55発で行こう」です。その先の新幹線プランも確認して、会場には1時間前に着けます。そして飛びました。
 伊丹空港に着陸寸前のことです。
 いきなりの急上昇、一気に1000M近くを駆け上がるその異常事態に緊張し、
「これは空港でのニアミスか?」
 と思っていたら機長が、
「どうも台風の影響なのか東からの突風を受けて急上昇しました。再度アプローチを試みます。」
 ということで20分後に無事着陸。今日は波乱含みです。そしてターンテーブルでギターの出を待っている時、うっかりとプロジェクターの入っているカバンを落としてしまいました。急いでパソコンは確認しましたが、ヤワなアルミで出来ているMacBook Proは傷ついていないので、
「これなら大丈夫」
 と思ってプロジェクターは確認しませんでした。
 そして予定通り姫路に着き、熱烈なコープこうべの皆さんの歓迎を受けて、会場入り、セッティングを始めると、
「プロジェクターがおかしい・・・。」
 そう、すぐに加熱ランプがでて制御がかかってしまう状態です。完全に故障ですね。
 残り時間は40分。しかしここで焦ってはなりません。まず考えられるのは、
「借りる」か「買う」か・・・。
 しかしエプソンの同型機を置いているのはヨドバシカメラくらいしかありません。残念ながら姫路にはヨドバシはない。近くて大阪梅田か京都です。まずこのプランBは×。
 次に考えられるのは「借りる」です。コープこうべの皆さんが持ってきて下さいましたが、残念なことに100インチ以上は出せない機材。これでは無理です。プランCが消えました。
 ここまで来たらプランDですね。それは飾磨西中学校か白鷺中学校に「借りる」というものです。毎年ステージをやっているからといって、そんな学校のステージでもないのにプロジェクターを貸してくれるでしょうか。いえ、僕はぜんぜん疑問に思わず、
「きっと貸して頂けるに違いない。」
 と考えます。さっそく白鷺中学校の岩井先生に電話。
「いいですよ、うちので良ければ。持って行きますか?」
 地獄で仏に会いました。そして10分後、駅前の名門校白鷺中学校ですから会場まで5分です。岩井先生はDVDデッキまで持ってきてくれました。
 最近はBlu-rayで出しているので、「地球のステージ」の出力はHDMI端子です。でも現状でその端子を持っているプロジェクターはまだまだ一般的ではありません。もちろん白鷺中学校のものもそれには対応していませんでした。だから、
「一緒にDVDデッキも持っていて頂けませんでしょうか。」
「いいですよ!」
 と岩井先生。本当に人のつながりによってここでも支えられています。
 そして開演時間。画質や明るさに不足な点はあるものの、それは語りや歌によって吹き飛ばせばいいと思うのです。会場の皆さんの笑いと涙に支えられてステージは無事終わり、万感の拍手と共に終演となりました。
 こんな時に思うのが、
「震災によって切り替えが早くなったな~」
 ということです。震災や津波被害の元では、プランBがダメだからといっていつまでもそれで嘆いたんでは先に進めません。気持ちを切り替えてプランCへ、プランDへと進めていく必要がありました。それがますますこういうときに役に立ちます。そして津波の後でもいつも感じていた、
「やっぱり困難を乗り切るには、人のつながりの力だ」
 ということがまたここで実感されます。
 本当に姫路の皆さん、ありがとう!
 終わって白鷺中学校に機材を返しに行きました。岩井先生、校長先生も出てきて下さいました。校長先生はこの夏休みの最後の時間を使って岩手から宮城の被災地を訪れていらっしゃいました。
「いや、7月にステージで被災地のことを教えてもらったんで、ちゃんと自分の目で見に行かなきゃと思って行ってきました。」
 実行力のある校長先生です。
 そして20:50には名取のステージ事務局に帰還しました。みんなが待っていました。リンリン、ケンケン、悠ちゃんが今日の閖上小学校4年生の子どもたちとのワークショップの報告。明ちゃんとは、明日から始まってしまう江里ちゃんの家の解体について話しました。
 一日一日がこうして過ぎていきます。歳はとるけれど、何かを日々身につけていきたいと思った一日でした。
桑山紀彦

プランBからCへ」への5件のフィードバック

  1. 1日に何度ものハプニングを日々経験され、備えあれば憂いなしの言葉を実行ですね。
     桑山さんのお人柄を信じている、たくさんの仲間に支えられご本人の諦めない努力で日々ステージは全国を回っているのですね。
    私の弱い心がくじけそうな時、お忙しくても笑顔向けて下さる桑山さんを思い出します。
     何もしないで不安に取りつかれているより、何が起きるかわからないから出来る限りの準備をしてやってみようと思うことが増えました。
     今日のブログも感心しつつ泣いてしまいました。尊敬と感動です。
    今まで嫌だったり、面倒とやらなかったことから逃げずに行きます。

  2. ハプニングも時と場所を選んでるかのように起こってるように思えて来てしまいますね。本当なら会わずに帰る先生方にまで会えて!先生方も新学期を前に「こいつは新学期前に縁起がいいぜ!」って感じじゃったかも。
    今日から東京は新学期が始まる学校が多いので、通勤電車も一気に人が増えました。

  3. フレキシブルな対応が見事です!
    日頃のつながり作りの成果ですね。
    読んでいて、先日のステージでのスクリーン騒動を思い出しました。
    スクリーンの幅が予定していた壁から5㎝はみ出し、総員真っ青!
    あれこれ試して、突っ張りポール2本を駆使して吊ることに成功しました。
    職員の機転のおかげで事なきを得ましたが、スリル満点でした。
    須藤さんにえらく心配をかけてしまい、申し訳なかったです。
    トラブルに合っても慌てないこと。次の一手を前向きに考えることが大事ですね。
    スタッフの皆さん、どうぞお身体も大切になさってくださいね。

  4.         平和の象徴
     グローバル化の世の中になったせいか日本文化も世界各国で往々にして受け入れられているようだ。ボクのような旧石器時代に生きているような人間にとって文化といえばまず文学である。
     海外で読まれている日本の作家を調べてみるとまず読まれるのが村上春樹。「ノルウエーの森」は40カ国に翻訳され「アンダーグラウンド」は3ヶ月で10万部を突破したという。オーソドックスなところでは大江健三郎や三島、川端といったところも読まれている。文豪谷崎潤一郎の「細雪」も人気がある作品だが、英訳は「マキオカ・シスターズ」となっている。なにか違和感が・・・。もっと面白いのは夏目漱石である。「吾輩は猫である」がもっとも人気のある作品であるが、英訳となると「I am a cat」となる。どう考えても「アイ アム ア キャット」ではないと思う。
     日本を舞台にした映画の人気ベスト5(日本映画の人気ベストテンではない)を見てみると、1位.ロスト・イン・トランスレーション 2位.キルビル 3位.千と千尋の神隠し(スプリチィッド アウェイ) 4位.もののけ姫(モノノケ プリンセス)5位・ラスト・サムライ 以下7位は「となりのトトロ」、8位は「七人の侍」となっている。
     アニメ・漫画にいたっては世界を席巻している感がある。「MANGA」はもはやSUSIやSUKIYAKI同様、フランスではフランス語の辞書に載っている。
     アニメベスト5を見てみると、1位.プラネテス 2位.ベルサイユのバラ 3位.となりのトトロ 4位.カウボーイビバップ 5位.未来少年コナン。ちなにみ11位と12位には「あしたのジョー」と「NANA」が入っている。ボクのお気に入りを圏外から探した訳ですが。
     マンガベスト5は1位.こどものおもちゃ 2位.DDRAY MAN 3位.フルーツバスケット 4位.Bleach 5位.Marsとなっており、10位「GTO」、15位「DEATH NOTE」、16位「スクラムダンク」などが入っている。ちなみに「名探偵コナン」は18位であった。19位「ONE PEACE」、20位「花ざかりの君たちへ」へと続く。
     少し古い話になるが、「キャプテン翼」というサッカーを舞台にしたスポーツエンターメント漫画があった。これが世界で大流行した。
     イラクにPKO(国際平和維持活動)として日本の自衛隊が派遣されたときのこと。テロ攻撃が激しく、自衛隊の給水車も後方支援活動であるが攻撃を受ける危険性があった。ただの水の配給である。それでも攻撃を受ける。そこで司令官は一計を案じ、給水車に「キャプテン翼」の漫画をえ描かせた。平和活動であることを見た目でわかるようアピールするためである。フランスやイギリスのPKO活動は攻撃を受けたというが、自衛隊は帰国するまで一度も攻撃を受けなかったそうである。
     平和がなにかを、もう一度考え直してみてもいいのではないだろうか・・・・・。
       和歌山   なかお

  5. お疲れ様でした。コープ第6地区本部、平和の会のスタッフメンバーです。
    本当に大変な一日でしたね、それを次々と不思議に解決していかれるお手並みをまじかで拝見し、ステージとともに感動させていただきました。
    そうそう、空港直行のバスもアウトで新幹線で帰られたようですね。大変な一日お疲れ様でした。
    次は10/1(土) コープこうべ  生活文化センターでお会いできるのを楽しみにしています。

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