東ティモールで映画撮影

「人は生まれながらに役者である」とは、かの天井桟敷を創設した劇作家、寺山修司が言ったように記憶していますが、国際協力の舞台となる途上国において「演ずる」ということが一体どんな意味を持つのか、今日は勝負の日でした。

私たちの支援するPSF(健康増進員)の皆さんは、東ティモールの山の中に生まれ育ち、ずっとその村を舞台に生きてきた人たちです。日本の小学校における学芸会のように「演劇」なんて経験は全くありません。誰かを演ずるということは全くない人生を送ってきたのだと思います。その意味においてはとても「現実的な日々」だったと思いますが、健康を守るPSFの皆さんには、「想像する力」を持ってもらわないと他者の健康は守れないと考えています。つまり「相手の身になる」という気持ちを持つこと。それは健康を守る役割の人たちにとても大切な資質だと思うからです。

その意味において映画をつくるというのは「誰かに成り代わる」というものですから、とても大切なトレーニング経験となります。そんな「演ずる」と言うことを、今日は1日掛けてみんなと取り組みました。

まずは台本の読み合わせ。それから立ち稽古。そしていよいよ撮影。

どんどん進めていきます。棒読み、平読み、情緒レス…。それはそうです。だって誰かに成り代わったことはないのですから。でも不思議なもので、人は生まれながらに役者なのでしょうか、ちゃんと感情が入り、セリフが入り、演技になっていくのです。もちろんまだまだ突っ込みどころは満載ではあるけれど、「誰かになりきる」ことで想像力を働かせ、その向こうにある「健康の大切さを伝えたい」というPSF本来の目標の近づいていくのです。

たいしたものだなあ、と思いました。

4つのグループのうち、今日撮影できたのは2つのみ。今編集していますが、完パケ出来たのは1グループのみ。でもそれを明日仮上映して、残りのグループのやる気に火をつけたいと思っています。

著作権フリーの曲を入れて完成させていくと、ちゃんと一つの作品になっていくからすごい!

PSFとしてのモチベーションはこういった経験ができて、それが自分の人生をも豊かにしているという実感が大切だと思います。お金ではない、自分の「成長を感じる時」を目指して、明日もまた映画制作をどんどん進めていきたいと思います。

南スーダンで初めての野球チームを創り上げようとしている友成さん。僕は世界のいろんな国で映画をつくり、その演劇集団をつくることを目的としているのかもしれません。

人は生まれながらに役者である。

誰かを演じることは、どこか人間の本能なのかもしれません。

桑山紀彦

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