今、名取の田んぼはどうなっているでしょうか。
緑が生い茂り、草いきれが激しく香ります。でもこれは雑草です。夏が来て緑は一斉に背比べをしています。そう、塩水かぶっても雑草は育ち、田んぼはあぜ道が丸いまま緑の雑草に覆われています。
田んぼとして命をもらった年の土地は、きっちりと直線基調であぜ道がつくられ、水が染み渡りいかにも「おいしいお米を作ってあげるよ」と田んぼが語りかけてくるような表情を持っていました。
しかし、今年の田んぼは雑草が伸び放題ですべての角が取れて丸くなり、まるで雑草に占領されたみたいに、つぶれています。その中にまだ撤去されない瓦礫があるともうまるで古戦場のようになっている。これほど哀しい風景があるでしょうか。
流された軽自動車はそのままです
水の流れがないためによどんだ水たまりで蚊が大量発生し、雑草に巣くう小さな羽虫も我が物顔で夜のヘッドライトに襲いかかってきます。
失って初めてわかることは多いですが、水の入った田んぼの水面を渡る夕方の風のすがすがしさ、うるさいはずなのになぜか心地よく、聴きながら眠れてしまう蛙たちの大合唱。稲の花が咲くと不思議な香ばしい香りがして、妙に食欲がそそられる出穂の7月。みんな失われて今はそこにありません。
いつになったら取り戻せるのでしょうか。
震災篇の中で田植えをする大友さんの映像。
大友さんのうちは完全に撤去されました。今は更地です。でも大友さんは言います。
「オレはあきらめねえ。あきらめねえから家は取り壊したんだ。2年以内にちゃんと家建てるんだ。そして3年以内に田んぼ、始めっから。」
期待して待ってます。大友さん。
さて昨日は一関実行委員会、今日は長野県松本市の松本映画祭プロジェクトの皆さんによるステージでした。最近内容が刻々と変わっていますが、それは来る8月6日(土)の東京市ヶ谷のJICAによるステージで発表する、「震災復興篇」の主人公に登場してもらっているからです。ぜひ皆さん、この市ヶ谷のステージに来てみてください。これまでの5ヶ月間の集大成で、「震災篇」と「復興篇」に分かれ、国際協力と今回の震災の関わりについて語ります。
その道中に長野自動車道を通ってびっくりしてしまいました。
とにかくクルマが少ないのです。
長野自動車道(日曜日午後4時過ぎ)
「日曜日」「夏休み」「午後4時以降」「観光地長野県」
この4つがそろったら、クルマがぎっしりと並んでノロノロ運転、上り坂にさしかかれば渋滞も覚悟しなければならない事態です。しかし今日は全く違います。クルマは少ないからスムースこの上ない。驚きの高速道路です。やはり週末1000円高速道路が廃止されて、通常の料金体系に戻ったから(といっても割引は従来通りですが)入ってくるクルマが限られるようになっているんですね。高速道路で生きてきた私たち「地球のステージ」族はホッとしています。これである程度着時刻が読めるというものです。
でも、そんな中でどうしても考えるのが福島県が被っている風評被害です。
浜通はもちろん原発の影響が少ないはずの会津だって修学旅行が通常350件が30件に激減。もちろん会津磐梯山麓のペンションやリゾートも完全に閑古鳥が鳴いています。
「一体どうやって喰っていけって言うんだ!」
絶対に民宿の主や観光業に従事しているお土産屋さんは悲嘆に暮れているはず。現実セシウム値が上がっていなくても「福島県だ」というだけでみんな避けている。どうか、これまで福島に毎年泊まりや遊びに行っていた皆さん、今年も変わらず福島県に行ってください。でないともうみんな食べていけないんです。子どもたちもそんな親の姿を見ていて不安な夏を過ごしているんです。そりゃあ軽井沢のように、とは言わない。でもこんな時だからこそあえて福島県に旅行する。あえて福島県の農産物に執着する。そんな人間の思いを形にしていきませんか。
本当に福島県はもう全域で悲嘆に暮れているんです。よその地域の電力をまかなうという気持ちを受け入れてずっと踏ん張ってきた福島県人を応援するには経済的に支援することが一番です。
もちろんホットスポットも恐れず行きましょう、などと言っているのではなく、ちゃんとセシウム値も毎日でているので、それを参考に被害がないとこともたくさんある福島を支えていきませんか。
磐梯山麓、美しいです。小さな民宿。とっても暖かくて優しい福島県人が出迎えてくれます。
どうか、この夏休みにあえて福島で過ごしませんか?
桑山紀彦
お疲れ様です。高速道路の料金1000円がなくなって、確かに車が減りました。たまにしか車に乗らない方は特に高速を走らなくなったかも!中央道の渋滞もたいした事ありませんでした!
大友さん、ほんとに前向きですね!見習います。大友さんの田んぼに緑の稲の苗が植えられて、かえるが楽しそうにうたう声が聞けるのがたのしみじゃね!
フジテレビ27時間テレビで、SMAPのメンバーが出張BISTROで、福島県と岩手県で自慢の料理を被災地の方々に披露していました。
福島県では草薙剛と香取信吾が浪江焼きそばを作り、岩手県では木村拓也と稲垣吾郎が掻き揚げ丼をそれぞれ1000食分被災地の方々に提供したのです。
この震災のとき、木村拓也は明石家さんまに電話しました。自分たちになにかできないだろうかと。その後番組へアプローチし実現した企画だそうです。
料理理のできない明石家さんまは、仲間を連れ復興支援のお笑いを宮城県で同時進行でおこないました。
被災地の方々にとっては、思いがけないプレゼントであり、苦しい思いをひと時忘れたようです。SMAPさんもさんまさんもえらいと思います。
彼らは被災地のことを忘れていなかったのです。
マリー・ローランサンの言葉に
「失恋した女より
もっとかわいそうなのは
忘れられた女です」というのがあります。
わたしたちは、忘れてはいけないのです。
たとへ小さい命であっても、かけがえのないものなのですから。
「酔うて こほろぎと 寝ていたよ」
種田山頭火
小さい虫に見つめられても、癒されるのですから。
和歌山 なかお
今日私は奥会津へ行ってきました。
深緑の木々が風に揺れて 気持ちが落ち着きました。
311大震災があったことさえ忘れてしまいそうです。
福島の方々は ご自分たちが大変なのに
私の車が「仙台」ナンバーなので 逆に案じて下さる。
その気持ちがとても嬉しかったです。
東部道路の海側が 茶色ではなく緑色になってました。
雑草が育ち始めたのでしょうか。
ちょっと見には緑と青空が清々しい風景に見えますが、雑草なのですね。
雑草が塩分を吸い取ってくれるとか、都合の良い話はないのかしら。
水田に水が張られて稲が育ち、蛙が合唱する。そういう暮らしが戻るよう願っています。
会津は母方の実家がありました。郡山にある菩提寺は地震の被害で修復中だそうです。
裏磐梯の美しい景色は今も変わらないでしょうね。また訪ねてみたいです。
行きます、福島へ。
昨日友人と決めたばかりです。
10月27~29日です。
はじめてコメントします。いつも貴重な情報ありがとうございます。
私の天国に行ってしまった、優しくて、穏やかで、なんでもできて、かっこよかったおじいちゃんが私に教えてくれたことがあります。
「10人集まれば1人は必ず批判する人がいる」
「梅雨は人が死なないとあけない」
「戦争のとき天皇陛下万歳と言って死ね人はいない。みんなおっかんと言って死ぬ」
いつも穏やかだったおじいちゃんから出た言葉だったので、学生だった昔に聞いた言葉ですが今でも鮮明に覚えています。
最初の言葉は社会に出たとき、人とのかかわりの中でとても役に立ちました。
私がどんなに心を砕いても、努力しても、批判的な人はいました。すごく悩みました。ほとんどの人は、好意的にしてくれてそれでも何か落ち度がないか考えて、自分の頭では思いつかなくなり、ほかに人に落ち度がないか尋ねてみたり、いろいろ考えてわからなくなったこともありました。
そんな時おじいちゃんの言葉に救われたのです。
今の歳になって思うことは、批判する人は嫉妬があるのではないかということす。
こちらは自分の利益を省みないで本当にみんなのためにやらせてもらっているのにどうして?と思うことでしたが、批判する人は素敵な桑山先生が羨ましいのだと思います。
私はそれ以来なるだけおじいちゃんの言葉を繰り返すようにして、批判する人も好きになろうと努力しています。
批判する人はどこか心がさびしくて無意識に助けを求めているのかもと。
こちらも頭にきて同じ土俵に上がれば相手の思うつぼですし、怒りには怒りしか、生まないと思っています。
でも自分が疲れているとそんな優しい気持ちにいつもなれません。だから先生もゆっくり休めるときは休んでくださいね。
ずっとコメントしたかったのですが、あまりパソコンが得意ではなく、ほかのコメントと何か違うかなと思ってしまい今日になりました。友人に紹介されこのブログを知り、ずっと読ませてもらっています。私は桑山先生が大好きです。先生を囲む皆さんも大好き。遠い場所からなので少しの活動と祈ることしかできませんが、いつも心はそちら向けています。
桑山先生のブログを毎日、感動しつつ拝見させていただいております。
昨日は、思い立って愛知県から松本市まで片道3時間かけて地球のステージを体験しに行きました。
先生が優しく気さくな口調で語りかけてくれたお話は、まるで親友のいつもの話を聞くかのように私の心に届きました。感動をありがとうございます。
そしてご多忙な日々の仕事の合間に、いつ歌や演奏の練習をしているのだろうかと、桑山先生の多才ぶりに大変驚かされました。
明日から海外でのご活動とのことで、過労にならないのかとひそかに心配しています。私のまわりでも、優秀で人格的に優れた医師が過労で50歳前後で、急死されています。健康に気をつけて、無理せずにブログ継続をお願いします。
管理者承認待ちコメントに 胸が痛みます。
一昨日 奈良方面に 車を走らせたら 緑の田んぼが目に入ってきました。名取の緑は、いつ取り戻せるのだろうと胸が苦しくなりました。
昨日は 復興支援物産展に わかめを 買いに妹と行きました。テレビで取材を受けていたお兄さんがいました。なんか 大阪のおばちゃんと話していると 元気が出る と
肉厚わかめ一袋ずつ買いました。試食のわかめに 旭ポンズが使われていたので「あっ これ 私の同級生が 作っているの」と 言うと 「これ 美味しいよね」と
8月6日が 近づくと 胸がきゅーんと 締め付けられます。あ~ん 東京へ 行きたいなあ~
しかし 第一土曜日はお話会の日。今回は 出来立てほやほやの絵本「8月6日のこと」(文 中川ひろたか 絵 長谷川義史)を 読もうと思っています。
皆さん からだとこころを お大事にしてください。
講演の仕事で福島には何度も足を運びました。
行ったことのある中学校は、10件近くあります。
だからこそ・・・他人事ではないと思えます。
原発のこともありますが、同じ原発を抱える茨城に住んでいる事もあり、依頼があればいつでも福島に駆けつける気持でいます。
高速・・・常磐道は反対に大混雑です。
研修で高速を使いましたが、ものすごい混雑の水戸ICはさけてETCを使って研修地に向かいました。
私は自分が被災した感覚を持っていません。だから、ちょっとしたことで高速無料を使うことに罪悪感を持ってしまいます。
使うとしたら・・・夏に東北に行く時かな。
高速代の分は、東北に落として着たいと思っています。
私が5月に名取市の訪れた際、田んぼを視て驚愕しました。
まさに、その光景にではなく、臭いに驚いたことを覚えています。
有明海沿岸は干拓地が多いため、潮の香りが田んぼまで届いてきます。
九州では、不思議なことではありません。
しかし、名取市では、ある程度海から離れていました。
にもかかわらず、潮の香りが残っている。
津波が到来した事実を知らされました。
その田んぼに、今、雑草が生えているんですね。
地主さんたちにとっては不本意でしょうが、あの光景を目の当たりにした
私にとっては、少し安心しました。
雑草が生える状態であれば、あるいは、九州での田んぼのつくり方が参考
になるのではないと思われます。
干拓地といえ、元は海だった場所を田んぼにするわけですので、九州には、
潮の抜き方の技術があります。
ここは、農政連の出番でしょうね。
それにつけても、毎回、考えさせられるのが、風評被害です。
なぜ、世論は自己判断を放棄するのでしょうか?
マスコミがほんの触り程度報道したことを、勝手に全体化させて、誇大評価
する風習はどうにかならないものか?といつも思わせられます。
いつから日本人は自己判断を放棄してしまったのでしょう?
私は、自己判断の放棄は無責任につながると考えています。
自分で情報を集め、自分で情報分析をし、自分で判断する。
生きるための基本行動だと思うのですが、世論はそう考えてはいないようです。
他人に頼りきりで生きて、なぜ安心できるのか?私には全く理解できません。
今日、同僚が福島県郡山市から帰ってきました。
明日一日休暇を取って、明後日から職場に復帰します。
福島県の実態をしっかり聞き取ろうと思っています。
一関市でのステージありがとうございました。個性豊か!で実力バッチリ!!の実行委員会の皆さんが何度も何度も集まって準備を進めて当日を迎えました。沢山の方に足を運んでいただいて、本当に良かった!そして昨年同様、沢山の募金を桑山さんにお渡しできて、本当に本当に良かった。
ステージが終わったあと、日焼けした中学生と一緒に、ご挨拶をさせていただいた者です。
福島の奥会津で生まれ育ち、今は保健師として仕事をしています。
テレビから福島弁で哀しみや無念な気持ちを訴える人々の姿が流れるたび、胸が締め付けられる思いがします。災害後の医療支援にしろ、今回福島だけが特別だった話はいろいろききました。福島の非難所では、岩手や宮城の復興のニュースが流れると、そのテレビの前から、人は一人また一人と去っていくそうです。福島の傷は痛く切ないです。
今回の震災で岩手県内で保健師の仲間を9人失いました。そのうち6人は陸前高田市の保健師。3月末に災害支援でようやく陸前高田市に入り、同じように支援に入っている保健師と会った瞬間は言葉はなく、ただただお互いの手を握り締めるだけでした。
とにかく、やれることから頑張ります。桑山さんもどうぞお体大切に、ご自愛下さい。