「毎晩毎晩、夢が変わっていくんだ。出てくるのは決まって自分の友達なんだけど、その顔がどんどん崩れていくんだ。これは耐えられない。おそらくそれは日にちがたって顔が腐っていくってことを、自分の中で想像しているから、そんな風な夢見るんだと思うよ。」
喜四郎さんは、切々と訴え続けました。
「この夢は、一体いつになったら止むんだろう。亡くなっていった人の声が聞こえるんだ。もちろん“助けて~!”って声だ。はっきりと聞こえるんだ。最近は、それが日中も聞こえるんだ。町の中を歩いているときだな。こっちもビクッとするよ。後ろから、前からそんな声が聞こえてくる。まるで自分の周りに膜が張って、その中で耳元に叫び声が聞こえてくる感じだな。だから周りの人にはその声が聞こえていないんだ。これもフラッシュバックかな?」
「そうだと思います。フラッシュバックは何も映像だけではないんで、音声の場合もあります。喜四郎さんの場合はっきりと声が聞こえているものね。それもフラッシュバックの一つだと思います。」
「それからな、手や身体から血の臭いがするんだ。鉄臭いあの感じ。手洗っても洗っても取れない血の臭いがして苦しいんだよ。夜の悪夢にうなされて飛び起きた時も血の臭いがするけど、昼に町歩いていても血の臭いがしてくるんだ。」
「・・・。」
「あとびっくりするのはよ、町の中歩いていると、突然その亡くなった友達が歩いてるんだ。びっくりして立ち止まって、”おい!泰之!お前生きてたんか!”って話しかけると向こうがびっくりするんだ。するととたんに別人の顔に変わるんだ。いや、本当のその人の顔に変わって、”ああ、すみません人違いでした・・・”って謝るのよ。これはなんだべ・・・。」
「そんなタイプのフラッシュバックもあります。」
「そっか・・・。それからな、ご飯食べるとジャリジャリと口の中に砂が入っているのよ。びっくりしてはき出すんだけど、そこには砂は入ってない。で、気を取り直してまた食べ始めるとジャリジャリと砂をかむ感じが口の中に入ってきて、苦い、まるで泥を食べているみたいな味に変わるんだ。オレ、どうしちまったんだろう。」
喜四郎さんの場合、視覚、聴覚、臭覚、味覚において幻覚が訪れています。これほど強い侵入症状に出逢ったことがありません。それはまさにPTSD(心的外傷後ストレス障がい)の兆候著しい状態。これが長期で続くとまさにPTSDの発症と診断されてしまいます。
彼は実際に家と共に津波に流されて、水の中を浮き沈みし、結局一晩水に浸かった状態で過ごして翌日自衛隊に救助された人です。その間、自分の生死はもちろん周りを流されていく友人や近所の人をなすすべなくみていた経験をしています。その時の記憶がトラウマ(心の傷)となって迫ってきています。まだまだ心の傷が潜血を吹き出しながら、うずいている状態。3ヶ月を目の前に喜四郎さんのような状態の人がたくさん来院しています。
これほどまでに重症ではっきりとした症状の方は珍しいかもしれませんが、これが現実です。生死の境をさまよった人が、今こころの限界を迎えようとしています。私たちは専門の治療をしていかなければなりません。
漁師の正さんや江里ちゃんのように、苦しい気持ちを抱えながらも前向きになれている人もいれば、未だ5感のすべてを支配されPTSDの症状に苦しんでいる人もいらっしゃいます。喜四郎さんは言います。
「オレは取り残されてる。こんな話してもみんな“おかしいんじゃないか”って顔でオレのことみるんだ。そろそろ立ち直っているよ、って人みるとどうしようもない気持ちに駆られて焦るんだ。オレどうすればいいべ・・・。」
これが現実。絵空事や感動のドラマだけでは語り尽くせない心の傷の闇。まだまだ戦いは続きます。
そんな中でのこの政治家の茶番。全く現場がわかっていない。情けない「中央の政治家」の騒動。中尾先生も書いているけど、もう見ていて言葉もありません。情けなさを通り越して「アホ?」
としか言いようがない政治家の言動、行動。今の子どもたちが決して「将来は政治家になりたい」と全く言わなくなったのがわかります。
そこで思うのがNHKさん。何であんな愚かな茶番劇にゴールデンタイムの時間を割くのでしょうか。あのような政治家の様子の報道はほんの一瞬でいいです。あとはもっと伝えるべき人間の生きざまがあるのではないでしょうか。
「政治を報道する」
という正義はあるかもしれませんが、あまりに丁寧に時間を割くので政治家がいい気になりいろんな騒動を起こしているとしか言いようがありません。
政治の報道を適切な時間数で報道するべきではないのかな。7時も9時もニュースのトップはあの茶番劇のことばかり。さっさと見切りをつけて本当に大切なことを報道する姿勢をとれば、愚かな政治家は「舞台」を失い、まともになっていくのではないでしょうか。
報道という「舞台」を変に与えてしまうから、彼から茶番劇を演じようとするのではないかと思えてなりません。
被災地にもたくさんの「舞台」があります。ぜひがんばっている人をその舞台に乗せて、あの茶番を繰り返す日本一愚かな人々(=中央の政治家)を舞台から引きづり降ろして、目を覚まさせるべきではないでしょうか。
僕はあまり政治に関する発言を避けてきましたが、被災地の現状を日々身に受けながら、あまりに愚かな政治家の言動行動に心底腹が立ったので、珍しくコメントさせて頂きました。
桑山紀彦
今 揺れてます。
ところで、通訳のかたが上手いと、通訳かいてもいないように会話が流れていく。って、いつかステージで聞いた事がありますが、通訳の方が伝えたい事を上手く相手に伝えてくれる事の大切さをつうかんしています。
政治家の「あほ」。
その通りだと思います。そんなことしている時間を、もっともっと別なことに使うべきではないでしょうか?
中三の息子でさえ、「今この時期に総理を替える?他にやることあるじゃん!」と言ってました。
私も、腹がたちました。
私は政治に詳しくないけれど、こんな人たちが出来ることなら「おばさん新党」でも立ち上げて、国を変えたくなりました。
政治家は今、この時にこんな内輪もめの茶番をしていていいのか?本当に情けなくなる。こういう国難の時こそ、政治家が中心になって、国民が心を一つにまとめていく絶好のチャンスではないのか?マスコミも自分たちは全く責任を取らなくていいところで政治家の批判ばかりしていいのか?マスコミは先の第二次大戦の時の反省を本当にきちんとふまえて報道しているのか?子供たちはこの国で何を光として思い、未来にに進んでいけばいいのか?
心のケアが大切ということは、頭では解っているつもりですが、PTSDってそんなに深刻なことだとは恥ずかしながら知りませんでした。
今後、加速度的にそういった人々が増えると思うと早く受け入れ態勢を整えないと~焦りを感じます。
これは地域を超えて政治の問題ですね
そして政治家の憤懣やるかたなし。同感です。
こんな時に茶番劇?誰もがそう思うのに議事堂の中の人はなんなのでしょうね。
さしずめ、俺が俺がと主役を譲らない永田町民が、貶しあいながら自分たちだけで学芸会を楽しんでいる~と言った図でしょうか?
そして、マスコミも評論家も少しは反省してほしいなア。
喜四郎さんの話は想像しただけで背中の凍りつくような思いです。果たしてこの幻覚は完全に拭い去ることは出来るのでしょうか?心配です。時間はかかるかもしれませんが、喜四郎さんが一日も早く、安心して眠れる日々が送れますようにと祈るばかりです。
政治家は…もう呆れ返ってコメントするのも嫌になる…。被災地におられる先生がすべて代弁して下さったので、その通りだと思います。今日はニュースもワイドショーも政治の事ばかり。馬鹿らしくて見るのを止めました。
先ほど島根県東部を震源とする震度4の揺れが中国地方を襲いました。広島に住んでいる私は何年ぶりかの揺れにビックリして、すぐに目が覚め子供に覆い被さっていました。それ以来眠れず、先生のブログにコメントしております。
阪神・淡路を経験している為、寝ている時の揺れが体に染み付いており、地震の揺れにはとても敏感になりました。先ほど揺れている最中に悪夢が甦り、この揺れは‘あの時’の揺れより大きくなるか、東北のことがあるからもしかしたらあり得るかも…と短い揺れの中で色々な事を思いました。
中国地方に住んでおられる方も久々の地震でびっくりされたことでしょう。でもこの揺れが今も東北の地では続いているかと思うと、自分なら精神的におかしくなってしまうだろうなと思うのです。
今週のはじめ、私の通っている手話サークル(耳の聞こえない方も数人おられます。)で、災害時に役立つ知識を皆で共有しようということで、震災を経験した私には何か提供出来ることがあるかもしれないと、確実な情報を調べたり、自分の経験から少しお話させて頂きました。実はこれまで家族にも知人にも阪神で起きた震災の話をすることはほとんどなかったのに、話せるようになったのです。神戸公演の後に先生に長い手紙を渡したことがきっかけで、ずっと閉まっていた小さな箱のフタがようやく開かれ、そして今回話したことで箱が全て開け放たれたような気がします。
これまで以上に防災意識の高まっている中で、自分の経験や知識をどうか役に立てて欲しいと思いお話しましたが、まだまだこちらの方は防災意識が高いとは言えません。広島も十数年前には大きな地震があったのになぁと思いながら…。
私は先ほどの揺れでやはりもう一度見直すべき時だと思い、夜が開けてから災害時の持ち出し袋を再確認したいと思います。
今回の茶番劇に日本政府が役に立たないことを、痛感している人も多いと思います。まだごたごた続けるようであきれます。
瓦礫の山で病気になった人 三か月たつのにライフライン復旧せず川で洗濯している人 復旧の見通しが立たない地域 問題はきりなく、山のようにあるのに何のために彼らは視察していたのでしょうか?
今命ある人達の立ち上がる力を奪うことになることと認識して欲しいです。
今被災地にいる方々大変な日々を過ごされていますが、できることを少しずつ、自分を見失わないようにお気をつけてください。
心のケアを必要とされている方が沢山いらして、
そのケアに励まれている先生のような方が頑張っていらっしゃるのに、
本当に霞ヶ関の方達は何をやっているのでしょう。
今リーダーが変わったところで急速に物事が好転するようなこともなし、
であれば、既存のリーダーを支えて夫々に尽力すべき事柄があるように私も感じました。
夜中の1時にエリアメールの音で目が覚めました。福島県で震度5弱の地震がありました。
久しぶりに緊張しましたが、被災地では毎日のように揺れているんですよね。
喜四郎さんのように深刻な症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか。
「取り残されている」と感じることでますます内に籠ってしまいそうで心配です。
傍にいる方が親身になってお話を聴ければ、少しは快方に向かうことができるのでしょうか?
桑山さんはこれから専門家として忙しくなりそうですね。一人でも多く救ってあげてくださいね。
国会議員の皆さんは政治家ごっこを直ちに止めて、本来の使命を果たしていただきたいです。
人の痛みをわかる政治を希求します。
喜四郎さんはもともと他人の痛みがわかる感受性豊かな方だったんじゃないでしょうか
直接的には睡眠薬や抗精神薬も有効でしょうが やはり信頼できる仲間が長期にわたって「心の声を聴き続けること」「痛みを分かち合い続けること」がいちばん大切なのではないかと思います
今 そこに倒れている人がいるのに。 喉が乾いて苦しんでいる人が 目の前にいるのに。倒れている人の頭の上で、「 誰が 水をやるんだ?」「お前の水なんか やってだめだ!別の、もっと しっかりした奴に 持ってこさせろ!」って
争っているみたい!
とにかく 今は 党利や党略を 脇に置いて、無理矢理でも 協力体制を敷いて、 目の前の人を救わなければならない時なのに。
開いた口が 塞がりません。悲しみに、心がこわれそうな人達が
少しでも、安心できる政治を
して欲しいです。
PTSDの怖さを本当に感じます。それはまるでSFかホラー映画のようではありませんか。しかし、それはドラマでも映画でもなく現実だということを目の当たりにしている桑山先生はこの悲劇に立ち向かわなければなりません。桑山先生自身、そんなこころの傷の大きさを知って参ってしまわないか心配です。
報道によりますと、南三陸町の仮設住宅への入居率が30%未満だそうです。せっかく避難所を離れることができるようになったのにどうして入居しないのでしょう。そこには深い理由があります。入居してしまうと食料品及びその他の配給がなくなるからです。仮設住宅では自力で生活しなければなりません。住むところを無くし、働くところも無くした多くの人が避難所で生活しています。家だけ建てた、それだけでは問題は解決しないのです。避難している人たちの生活の再建をどのようにしていくか、行政よ、規制や建前に捉われずもっと工夫し、知恵を絞って欲しいと思います。
和歌山 中尾