大地はよみがえるのか

 今日は友達になった喜善じいちゃんの家に行きました。喜善じいちゃんはもう80歳近い年齢だけど、黙々と農業を続けています。喜善じいちゃんは一言でいえば、あきらめない人。

「オレは、あきらめねえよ。何が何でも土いじって作物つくるからな。百姓が土いじれなかったら終わりだ。だからオレはあきらめねえよ。」
 喜善じいちゃんの所へも津波は来ました。瓦礫が田畑を覆い、水は3日間引かなかったそうです。そして水が引いたあとの土地は塩が浮き、真っ白になりました。
「俺たち百姓はいっつも自然相手に生きてきたんだ。自然は時々俺たちに牙をむくよ。でもそれは俺たちを試してんだな。だから負けないようにがんばると自然はやがてちゃんと俺たちに恵さ与えてくれる。そう信じてんだ。」
 そうして喜善じいちゃんは塩が吹いていても塩害に強いジャガイモを植えてみました。
「最初はドキドキだったさ。でもな、芽が出てきたんだよこれが。やっぱり言われていることをただ鵜呑みにして止めてしまったらそれまでだ。自分を信じてやれるだけのことをやれば、こうやって自然はオレたちの味方してくれるんだ。
 芽が出るとよ、本当に心の底からやる気がわいてくる。どんな小さな芽でもでるとそれはそれは嬉しいもんだ。まるで芽がよ”オレを育ててくれ~!”って言ってるみたいなんだな。」
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 確かに喜善じいちゃんの畑にはジャガイモが芽を出していました。ちょっと奥に緑がでてます。それがジャガイモ!すごいですね。塩をかぶったままの畑にもちゃんと芽が出るんです。
 これに力を得た喜善じいちゃんは次にネギに挑戦しました。ネギはジャガイモほど強くはありません。喜善じいちゃんはまず畑の表層の土を5cm取り除きました。黙々とした作業です。そして上からどんどん真水をかけて洗い流しました。そしておそるおそるネギを植えてみたのです。なかなか出てきませんでした。
「やっぱりダメかな。」
 そう思っていた1ヶ月目のある日、じいちゃんはその畑に緑の芽を見つけたのです。
「やった~!」
 喜善じいちゃんは思わず叫んだそうです。ひょろ長いネギの芽が伸びてきました。
「でもこれはちゃんとしたネギにはなんねえかもしれねえ。でも大事なのは何事も“やってみること”だべ。やってみなきゃ何にもわかんねやってみてダメならあきらめれるけど、やらねえとオレはあきらめきれねえからなあ。」
 そういって愛しそうにそのひょろ長いネギをみていました。
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 このネギが育つことに意味があると思います。
 やっぱり80歳になっても決してあきらめない姿勢。それが「土に生きてきた証」なんでしょうね。頭が下がりました。
 今日はいよいよ閖上小学校で心理社会的ワークショップが始まりました。部屋の名前は「スカイルーム」。閖上の抜けるような空をイメージしての命名です。
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スカイルーム
 家庭科室を布で覆って空のイメージ。なかなか雰囲気出来ています。今日は林看護師がファシリテーターでした。
 その部屋にはマダガスカルから送られてきた応援の旗が飾られています。
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 協力隊のみんな、美穂ちゃんありがとう。マダガスカルの気持ちがスカイルームに広がっています。
 ただし、この活動は学校の「中」で行われるプログラムなので一層プライバシーの保全が求められています。従ってこれまでのように、仮名であってもなかなか実情を詳しくお伝えすることは出来ません。そのことだけはご理解下さい。でも支障ない範囲では伝えていきたいと思いますので今後ともよろしくお願い致します。
桑山紀彦

大地はよみがえるのか」への8件のフィードバック

  1. 80歳の喜善さん が 諦めないで 淡々とチャレンジし続けているんですものね!
    「淡々と淡々と 自分の出来るだけの事を ただ誠実に、実行してみよう。」
    震災以来、今日、初めてそう思えました。心が、ざわざわざわざわして、不全感と無力感ばかりでした。でも喜善さんのような姿勢で生きる事が、今 一番必要なのかもしれませんね。

  2. 学校の中で行われるプライベートなそれもこの状況での公開は大変貴重なものになると思います。どうぞそこにくる子ども達先生保護者が守られることを願います。また拝見する私も襟を正して動向を見守りたいと思います。先生の活動がプラスに働きますように。心無い言葉に倒れませんように。福岡から強く強く願っております。

  3. おはようございます。いよいよ閖上のスカイルームオープンですね。マダガール間違った、林さん気をわず急がずやって下さいね。応援してます。落ち込んだら言って下さい。「ファイト一発!」って言ってあげますよ((( ^^)爻(^^ )))
    さて、私の実家も農家で、干拓地にあります。梅雨や台風がくると辺り一面水浸しになり野菜がダメになる事もありました。若い頃それを見て「面倒くさい。やめればいいのに。」とよく思っていました。お米が育っている間も色んな事がありますが諦めずに取組みます。大昔から、諦めずに取組んで来たからこそ‘今’があるんよね。‘今’諦めずに取組んでこそ‘未来’に繋がるんよね。「よし!」
    自己完結!!
    ここ数日、何でだろう?電車のなか、人が多い。満員電車なので、荷物が当たったり、肘が当たったりします。仕方ないよね。と思う私。電車が揺れて、ドドド~と人が倒れ掛けても、私は踏ん張って倒れん様にしちゅる。でも、いちいち当たった人をジロリと見る人が数人。正確には二人。お互い様じゃんねぇ。と、何故思わんのじゃろ?一つ嫌なのは、私の背中をテーブル代わりにして読書に熱中する人。お肉たんまりで、本が固定しやすいのかもしれんけど、やめて欲しいなぁ。

  4. 自然を相手に生きてきた人の強さを感じました。「あきらめない」気持ち!
    農家の皆さんの地道な努力のおかげで、私たちの食が支えられているんですよね。
    これからもっと食べ物を大事にしなければと思いました。
    スカイルーム、いい名前ですね。マダガスカルからの応援旗も素敵です。
    取り組みについては無理に知らせようとなさらないでください。応援していますから大丈夫。
    閖上の未来のために、今を生きるために、皆さんの力になれますように。

  5. 喜善じいちゃん えらいよね!
    土に生きる人 自然を相手のお仕事 あきらめんの気持ち 全てが 私に勇気をくれました。
    私のこころの中も ざわざわとして 落ち着きません。
    でも 喜善じいちゃんに力をもらいました。こころが、温かくなりました。
    ありがとう! ありがとう!
    喜善じいちゃん ファイト!!

  6. 喜善じいちゃん、すごいですね。感動です。
    80年、自然を相手に生きてきて、肝っ玉が坐ってきたんでしょうね。そうですよね。初めからやらなければ何もない。やって失敗しても、満足感と反省する材料がえられますよね。
     閖上小学校で心理社会的ケアの実践「スカイルーム」が始まったんですね!どうか大切に、確実に作り上げて下さい。
    マダガールも研さんも頑張れ。応援しています。

  7.  国会議員たちは、自分たちがなにをやっているかを知らない。それが茶番劇だと・・・。
     国民はみな被災地の人々の苦しみを知り、怒りに打ち震えている。被災地は、戦後、焼け野原と化した日本と同じではないか。こんな現状のとき、衆議院も参議院も与党も野党もない。日本が一つになって復興に取り組まなければならないはずだ。国会議員たちよ、恥を知れ。自分たちがなにをやっているのか知らないのだ。
     仏教に、悪人と善人について「聖求経」の中に次のようなことが書いてある。
     「悪人と善人の特質は
       それぞれ違っている。
      悪人の特質は、
       罪を知らず、
        それをやめようとせず、
         罪を知らされるのをいやがる。
      善人の特質は、
       善悪を知り、
        悪であることを知ればすぐやめ、
         悪を知らせてくれる人に感謝する。」
     
     国会議員たちは、自分たちがなにをやっているのかを知らない。あたかも、罪を知らず罪を知らされるのをいやがっている、悪人といえるのではないか。
      和歌山   中尾

  8. ●喜善さんは慾得を超越して見事に自然と共生していますね。  謙虚に取り組むから自然が答えてくれる。素晴らしいのひと言 です。
    ●スカイルーム一歩前進。まず実行することが大切。有難うのひ と言です。
    ●国会中継を見ていました。揚げ足取り質疑応答。何やってん  の!!情けない、あきれたのひと言です。

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