世界からの支援

 今日は1日診察室にこもって心療内科の外来でした。

 ロシナンテスの川原先生がやっている移動診療。NICCOが陸前高田の移動診療を展開しています。奈実香先生は午前中押し寄せる患者さんに一人一人対応しながら、診療を勧めていました。
 僕は、そんな中久しぶりに心療内科の診察室で患者さんと対峙していました。
 何人かの再来の患者さんに会って感じたことがあります。多くの患者さんが今回の震災をきっかけに、
「自分はなんて弱かったんだろう。鬱々とした気持ちや不安、食べられないだの、食べ過ぎだの・・・。なんて小さなことにくよくよしていたんだろうって思うようになりました。
 ガソリンがないから、長い距離歩いている自分に気付いて、“なんだ自分だってできるじゃん”って思える。そんな自分に気づかせてもらえたんです。」
 そういって、これまでにない輝く笑顔で入ってくる患者さんたち。
 僕がコツコツ聞いてきたその長い時間で積み上げていたはずのものが、この一瞬の自然災害の余波により一気によくなるという現象を見せてもらったわけです。
 どっちが良いということは言えないけど、人間はこの未曾有の自然災害に対して決して無力ではない、ということです。
 さて、いま世界から支援の心が届いています。まず最初はカナダ、バンクーバー。「地球のステージ」を呼んでくださっている皆さんが支援の輪を広げて、つながっています。特にありがたいのが、僕のブログを英語に訳し、世界に発信してくださっていること。これで、英語を介した情報伝達が可能になっています。
 
 続いてカンボジアから。
 20年来の親交があるジャーナリスト木村文さんからのメールです。
「カンボジアより、木村文です。連日、本当にお疲れ様です。遠く海外にいて、何もできない私ですが、それでもみなさんの奮闘を少しでも伝えようと、できることを模索中です。さて、本日は義援金送金のお知しらせです。
カンボジア北西部、世界遺産アンコールワットのあるシェムリアップで、食品会社(「アンコール・クッキー」が有名)を経営している小島幸子さん(群馬県出身)が、会社をあげて東北国際クリニックへの義援金を申し出てくれました。会社は「クメール・アンコールフーズ」といいます。彼女は、7年前にたった一人で会社をおこし、「カンボジア産」にこだわったお菓子づくりに取り組んできました。さまざまな困難も、笑顔で乗り切ってきた私の尊敬する、大好きな女性です。ホームページはこちら→
http://www.angkorcookies.com/
 郵便局への国際送金の方法がうまくいかなかったため、「七十七銀行」に送金の手続きをされたそうです。少し時間がかかるかもしれませんが、カンボジアからの送金をお待ちください。何か問題があった場合は、お知らせください。
 以下、「小島さっちゃん」からのメールの一部を転記します。カンボジアの銀行もこんなことを考えてくれたんだ、と感激しました。

++++引用++++
今日、
ABA銀行で桑山先生に送金をした時も、銀行のスタッフが
『日本のために送るお金ならば、送金手数料がかからないように
プノンペンのボスと交渉してみる』と言ってくれました。
皆の口から出る言葉は『日本はたくさん私達を支援してきてくれたから
今度は私達が助けたい』と。
こんなにたくさんの心のある人達がいる国で暮らせる毎日に幸せを感じています。
今日、七十七銀行に送金しました。
少しでもお役にたてることが嬉しいです。
+++++++++++
 取り急ぎ、本件のみお知らせします。まだまだ被災地でのたたかいは続くと思います。小島さんのような強い味方を得て、これからも、カンボジアと、東北国際クリニックが強いきずなでつながっていけるよう、私もこちらでがんばります。よろしくお願いいたします。
みなさんの健康と安全を、心からお祈りします。木村文

 カンボジアに行きたい!!

 そして最後はアメリカはノース・カロライナから。
 こちらも20年来の親友秋山裕靖さんを中心とした動き。こちらも2年前「地球のステージ」をさせてもらいましたが、今回は地域のコミュニティや財界、政界人が集まっての支援計画です。
 昨日は朝の余震震える中Skypeをつないで、ライブで皆さんと話せました。
 世界はこんなにもつながれるようになった、と実感できる時でした。

 こうして、世界から心ある支援が寄せられています。やっぱりみんな地球人。どこかが大変な目に遭ったら、少なくとも今安定している人たちはその人たちのために動き出す。それはまさに無償の気持ち。「見て見ぬふりしない」精神の高まりが、被災地の僕たちを支えています。

桑山紀彦

世界からの支援」への21件のフィードバック

  1. ニュースで世界中で日本のために募金をしてくださっている方々の事をしりました。
    世界は 人は 暖かいですね。

  2. 桑山さん、皆さん、今日もお疲れ様でした。
    このブログに沢山の方々が、思いを行動に移されていく様子が次々にコメントされていきます。改めて、桑山さんのネットワークの広さと強さを感じています。そして、それぞれの方のコメントからも、学ばさせて貰ってます。ありがとうございます。
    桑山さんを励ましたいと毎日このブログにコメントしているはずが、いつか自分が心を穏やかにされているのを感じています。
    それでも懲りずにつもりのコメントしますよ!

  3. 明日「オルガンの夕べ」で祈りのエールを送ります。明日はオルガンだけでなく「アベマリア」やマザーテレサの言葉の歌も聴きます。祈りの中で「わたしたちにできること」に気づき、それを行動に移す勇気と力が得られれば幸いです。「あゆむ基金」のために募金を呼びかけます。少しでもお手伝いできればうれしいです。北九州の皆さん、ぜひ!おい出てください! http://micheleyam.exblog.jp を参照してください。

  4. 今日も1日、ご苦労さまでした。
    世界中の人が、日本のことを気に掛けてくれていることは、とても心強いですね。
    少し、内容が違いますが聞いてください。
    今日、私の勤める小学校で卒業式がありました。こうして、予定通りに式が行えることに感謝しつつ、式の初めには、黙祷を捧げました。
    私の頭には、やはり、歩さんのことが浮かび、涙が出そうになりました。
    安心して休んでください。桑山さんが、きっと歩さんの気持ちを受け継いで、名取を元気にしてくれますよ、ってお祈りしました。
    震災以来、日常の普通の生活ができることに感謝しつつ、被災者の方々にも、1日も早く、日常が戻ることを祈っています。

  5. 人の心って難しいですよね。
    心って、どうしても、内に向いてしまうものだから。
    心って、どうしても、自分自身との対話になってしまうものだから。
    そして、心って、どうしても、一人ぼっちだから。
    だから、その心を支えてくれる、人の温もりや優しさを必要としている。自分の心は、孤独ではないと実感しないと立ち入っていかないから。
    支えてもらうこころ、支えてあげるこころ。
    世界から支えてもらっているこころ。
    人は、一人じゃないと実感できたとき、幸せでいられる。
    ぼくも、コメントを書きながら、一人ではないと、自分に言い聞かせている。
       和歌山 中尾より

  6. ニュースで人口30万の小さな国の皆さんが、スマトラの地震の時に日本の皆さんに助けて頂いたからと、メディアを通して声をかけたところ5億円の義援金が集まったと放送されていました。見返りを求めて手を差し延べると虚しい事が多々起こり頭に来たり、落ち込んだりするけど… いつもベタベタくっついてなくても良いけど困った時に手を差し延べて貰えると、本当に有り難い。心が暖かくなりますね。

  7. くわやまさん、毎日の活動とブログの更新ありがとうございます。そして、スタッフのみなさん、各地からサポートに駆けつけてくださっている皆様ありがとうございます。
    気持ちばかりが走っても、時期が来るまでそちらでのお手伝いをすることはできない分、地元北九州でネットワークの輪を広げながら心はみなさんとともにありたいと思っています。
    世界からの支援のなんと心強いことでしょう。
    私ごとですが、小島さんのクッキーは桃子さんの現在のカンボジア行きのきっかけにもなった一カ月のカンボジア滞在の時のお土産でした。
    昨日は川原先生のロシナンテス関係のイベントで、事務局長さんにお会いできごあいさつさせていただきました。
    桑山さんを通して世界も国内も支え合える人々のつながりを知れば知るほど、こんな時なのに、いえ、こんなときだからこそ温かなものが胸に沁みとおります。ネット+ワークの可能性は未来につながっているのですね。
    みなさんが一日も早い普通の暮らしが戻りますように、私たちも共にがんばります。

  8. 桑山先生の今まで診察で苦しい心を受け止めていただいたからこそ、こんな大変なことで気づかされたことがあると私には感じます。
    本来の力を取り戻す患者さんが多ければ良いなと願います。
    とても残念ながら、震災前に心の力が弱っている人は不安を強くしてしまいます。
    私は一人でいる時間を多くしないほうがよかったです。
    余震の強いときは、知らない人ばかりですが避難所にいたほうが少し安心でした。
    たくさんの善意に支えられながら、生活できているのに物取りが多く悲しいです。
    避難所から片づけに自宅に戻ると中のものがなくなっていたり、ガソリンがなくなっていたりします。
    皆さんの善意を裏切っている人がいる現実があります。
    応援して下さる皆さんに申し訳なく思います。本当にごめんなさい。
    今この与えられた試練を乗り越えるために、絶対他人のものに手を出さないこと守ってください。
    ほとんどの被災者は希望を持てない状況から、立ち上がろうと必死です。そして助けて下さる多くの方に感謝しています。ありがとうございます。

  9. 桑山さんをはじめ、みなさんの前へ向かっていく姿と、人と人とのつながり、そして温かさに触れさせていただいている幸せに改めて感謝しています。
    「今、私に何ができるか」
    そんな思いから、4月2日(土)に神戸で「地球のステージ」~災害復興版~を開催します。
    開催にあたっては、いろいろな思いも駆け巡りましたが、今はひとりでもたくさんの方に来ていただき、桑山さんの思いを伝えていきたいと思います。そして、その中で、私たちにできることを、一人ひとりが考えるきっかけとして、この時間を大切にしたいと思います。
    なにぶんにも緊急開催ですので、すでに予定が入っている!!方もおられると思いますが、もしよろしければ、お友だちにお声をかけていただければうれしいです。
    ここ神戸では、不思議なくらい、一見あたり前、ごく普通の日常の中で暮らしています。でも心の中は決してそうではなく「私たちの出番」が来るまでは、との思いをもって、毎日毎日を過ごしています。「心が痛い」それだけでは終わらせたくない、みなさんと同じ思いです。
    みなさん、ぜひぜひお越しください。
    4月2日(土)16時開演
    コープこうべ生活文化センター2階ホール
     神戸市東灘区田中町5-3-18
      JR住吉駅下車南東へ徒歩8分
    大人  1200円  高校生以下 500円
     **収益金は、「地球のステージ」の緊急支援へ**
    お申し込みは
       実行委員会  電話 078-435-1605
              Fax 078-451-9830

  10. なかなかコメントしてませんが、毎日ブログは読んでます。
    桑山さん頑張って!という気持ちと、無理せずに!という気持ちが複雑に交りあい・・・
    また、被災者の皆さんの様子を読んでいても、想像を絶する状況に言葉を失い・・・
    どういう風に自分の気持ちを表したらいいのかが分からなくなってしまっています。
    少しずつコメント数が減ってきているのも、きっと私と同じ気持ちの人が多いのかな。
    でも!毎日読んでます!ずっと被災地の皆さん・桑山さん・スタッフの皆さん・ボランティアの皆さんのことを想っています。
    自分の日常生活(仕事・家事・子育て)をしっかりやって、子どもたちに、今の被災地の現状を伝えていくことが、まずは私のするべきこと。
    そして、できる限りの応援をしていこうと思います。
    (やっぱり)桑山さん頑張ってくださいね!

  11. 震災をきっかけに輝く笑顔を取り戻された方がいるんですね。人間って強いなあと思いました。
    地球のステージは世界各地につながりがあって、互いに思いやりで結ばれています。
    なんて素敵なことなんでしょう!
    今まで桑山さん、明ちゃん、優子ちゃんが紡いで来たおかげですね。
    そして、これからもつながりは深まって行くんですよね。

  12. ラジオ、偶然、ききました!途中から聴いたので初めは誰が話しているのかわからなかった。
    このしゃべり方、桑山さんみたいだなぁ~いや、桑山さんかな?~いや、桑山さんに違いない!~やっばり桑山さんだ!
    なんだか、嬉しい仕事帰りになりました。

  13. 今日学校からの通信で
    桑山さんからの
    メッセージを読みました。そして、このブログで
    テレビや新聞では
    報道されていない余りにも悲しい現状を知りました。現地の方々の苦しみや悲しみは私たちの想像を絶することと思います。
    私は少ないながらも学校の募金に参加させていただきました。私は何もできないけれど、「変わらない生活」を必ず心がけていきます。
    「大変なときは自分が
    大きく変わるとき。」
    どうか無理を
    なさらないで下さいね。

  14. 今日学校からの通信で
    桑山さんからの
    メッセージを読みました。そして、このブログで
    テレビや新聞では
    報道されていない余りにも悲しい現状を知りました。現地の方々の苦しみや悲しみは私たちの想像を絶することと思います。
    私は少ないながらも学校の募金に参加させていただきました。私は何もできないけれど、「変わらない生活」を必ず心がけていきます。
    「大変なときは自分が
    大きく変わるとき。」
    どうか無理を
    なさらないで下さいね。

  15. 学校で桑山さんのブログについて教えてもらいました。
    私も募金に協力しました。
    直接支援はできないけど、あたりまえの生活ができてるってことに感謝して、私は私らしく精一杯生活していこうと思います。
    小さなことでも大垣にいながらできることがあればぜひしたいと思っているので、なにかあればこのブログで教えてください。

  16. 私も同じく今日の学校からの通信を読みました。 
    今回の地震で、被災地の方達がみんなで協力しあって一生懸命に生きようとしている姿を知って、今の「普通の生活」が実はかけがえのないもので、後悔しないように一瞬一瞬を大事にしていきたいと思いました。
    今日、普段はなかなか言えない「いつもありがとう」を私の大切な人に言えたのは桑山さんをはじめとする被災地のみなさんのおかげです。
    皆さんの姿は私にたくさんのことを教えてくれました。
    北高からの義援金が、少しでも皆さんの役に立つことを願っています。

  17. 3月11日からのブログ、読ませていただきました。
    被災された方々の心からの叫びに涙があふれ、今すぐ自分も何かをしなければと思っています。
    でも私にできることは募金しかありません。学校の募金にも参加させてもらいました。北高のみんなの思いが詰まった義捐金が、少しでも役に立ったら嬉しいです。
    余震が続く中、24時間働きづめでホントにお疲れ様です。毎日苦しいと思いますが、被災地の方々は桑山さんが勇気づけてあげてください。桑山さんはこのブログを読んだ人がきっと支えてくれると思います。

  18. 今日学校で、地球のステージのブログについて聞きました。
    僕も、24日から26日の募金に参加させていただきました。
    僕の力も義援金となって東北地方に届いてくれるといいと思います。
    これからも何かできることがあったら力になりたいと思っているので、桑山さんも大変だと思いますが、お体に気をつけて頑張ってください!!
    一刻も早い被災地の復興を願っています。

  19. 本日、3月25日付朝日新聞夕刊に「町医者寄り添う」と題した記事で、桑山さんが写真入りで紹介されています!!!

  20. 頑張っていらっしゃる桑山先生(いつもは「桑山さん」ですが、白衣姿はやっぱり「先生」ですよね)の記事、私も見ました。
    https://aspara.asahi.com/column/eqmd/entry/Fv46zsTGXR
    被災された方々同様、心身ともお疲れでしょう~やつれ気味なのは仕方がないのでしょうが、気になります。
    大口町のステージを見に行ってから、これまでに何度か、白衣で聴診器を首に掛けた私がカルテを見ながら「桑山先生、代わりましょう」と声をかける夢を見ました(医療に関して何の知識も資格もないのに…)。
    周りの方々だけでなく、どうかご自身にも寄り添ってください。

  21. ニュース映像から、バンコクのスラム街での支援募金で多額の寄付が集まったと聞きました。ぽっかりあいた心に、アジアのぬくとい(あたたかい)風がすーっと入ってきて、優しく傷を癒してくれた気がしました。人を慈しみ、思いやる心。素晴らしい。ありがたい。

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