被災地初のサッカー大会

 今日は名取の館腰小学校を舞台に、そこへ避難している子どもたちのサッカー大会を開催しました。

 これまで震災後、幾多のサッカー大会をやってきたでしょうか。
 イラン南東部大震災のバムに始まり、パキスタンでもサッカーに取り組んできました。イランではミラン、そしてパキスタンではブラール少年に出逢い、多くのことを教えてもらえました。
 そしてここは名取です。
 私たちが本部を置く町、名取。被災後ちょうど2週間目にサッカー大会ができて、とても早かったと思っています。
 きっかけは避難所で出逢う子どもたちの切実な訴えでした。
「思いっきり遊べないんだ」
「人がごちゃごちゃいて、クルマもたくさん停まっていて、グランドで遊べない」
「知らない人が多くて、寂しいんだ」
 これを一気に解消する方法は・・・。やっぱりサッカーでしょう!
13-2
 そして始まったサッカー大会。
 事前に登録したのは館腰小学校に逃れてきている主に閖上地区の子どもたち。すべての子どもが少なくとも家を失い、時には肉親を失っています。しかし彼らはここに生きているのです。生きている以上、「生きてるなあ」って感じを取り戻してほしい。そのためには喜びや、苦しさ、幸せや落ち込みを自分の感情として表現してほしい。そのためにこのサッカー大会はあるのです。
 4つのチームに分けて、各チームに「監督」をつけます。なんと飛び入りできた元JICAの成瀬さん(パレスチナ所長を長くされていた)も、「ひげじい」として監督に参加。我が長男、翔也君もチームのコーチで参加しました。
 まずはチーム名を決めます。
 自治医大学生の檜山くん率いる率いる「ギャラクシー5」。小学校5年生の優人と秀吉が、スピードで持って行きます。優勝有望株です。
 シェアのロジスティシャン、渡辺さんが率いる「ワニ」は、渡辺さんのポロシャツがラコステの「ワニ」だから。小学校6年生の奈々ちゃんがドリブルで突破していきます。コーチは桑山翔也君。ここも結構いけるかも。
 元JICAパレスチナ所長で、現在麗澤大学教授の成瀬さん率いる「オンリー・ワン」は、中学校3年生の賢治君があまりの声のでかさですべてをかき消してしまう、ユニークなチームです。
 ロシナンテスの若きロジスティシャン、西條(にしじょう)さん率いる「ビクトリー」は19歳の雅哉君(前にブログで出ています)も加わるチーム。西條さん日体大出身のサッカー男だから要注意人物です。
13-1
後ろにレフリーの桑山が・・・
14-5
女の子たちもどんどん参加して、男の子よりも元気にボールを追いかけます。
 さて、総当たり戦で試合を進めていきましたが、すばらしい!まず子どもたちはお互いを思いやって、なるべく小さい子どもにもボールがまわるようにしきりにパスするのです。これはすごい。パレスチナでは「俺が俺が俺が」という感じで全くパスが成り立たない場合もあります。その点日本の子どもたちは相手を思いやる気もちが強い。でもそれは同時にあまりに相手のことを考えすぎて、本当の自分の姿を抑え込んでしまっている可能性があります。う~ん、もっと自分を前面に出しても良いのになあ、と思うところもありました。
 しかしさすがに決勝戦は白熱の試合でした。
13-3
笑顔がいいね!
でも、みんな家を失い、そして家族の誰かを失っているんです。
 力が拮抗する「オンリー・ワン」と「ギャラクシー5」はみんなの声援を受け、本戦は1対1の同点(どこかで聞いたことがあるぞ)。試合は延長に入りました。どちらかが先に入れた方が勝ってしまうSudden Deathになり、その気持ちの高まりはすばらしいものでした。
 結局「ギャラクシー5」が優勝。燃えた試合は終わっていきました。
がんばろう!名取!
13-4
最後の集合のならび
 この大会を通じて思うことは、やはり心のケアはとても重要であるということ。見た目に大丈夫だから、といって本当にそうではないこともあります。だから、できるだけ子どもたちが無理なく自分らしさを発揮して、それを周りの大人たちが受け入れる環境つくりが必要なのだと思います。
 そんな支援の形もあるんじゃないか、って。
 まずは第1回が終わりました。
 これからコツコツとこういったイベントを各避難所で展開していければ、と思っています。
みんなでやれた!
桑山紀彦

被災地初のサッカー大会」への21件のフィードバック

  1. 子どもたちの笑顔が最高です!!! ものすごく慰められた気持ち…。 「オルガンの夕べ」終わりました。また、します。「あゆむ基金」…送ります。祈りました。

  2. スポーツ、身体文化が専門なのに、体を動かすことが人を笑顔にすることを、長いこと忘れていました。子供たちの笑顔、キラキラしていて、太陽みたいです。
    一つ提案なのですが、女の子たちには、長縄で縄跳びなどは如何でしょうか?
    毎日、オスロから応援しています。

  3. 子どもたちの笑顔がいいですね。
    サッカーして幸せな時間を共有できたんですね
    良かった、よかった。
    女の子には創作ダンス大会とか
    体育館でカラオケ大会とか
    何か思いっきり発散できることを
    させてあげたいね。

  4. 笑顔 笑顔(^-^)!
    すてきな笑顔に、心がキューンとなりました。
    遠くから見守ることしかできない者の気持ちまでも救われます。
    息子さんも頼もしい!!
    イベントの意味ってこういうことなんですね。
    あゆむ基金で笑顔の輪がひろがりますよう、まわりの人に呼びかけますネ。

  5. やったね! と、パソコンの前で叫びました。
    今日は一日「サッカー大会の日だなぁ」と気になっていたんです。 あ~、現場で声援送りたかった~。
    名取はもう雪がないんですよね。
    札幌は今日が小学校の終了式で、学童保育の子ども達は昼食の後、「裏の畑」で雪中サッカーや雪中鬼ごっこをして、汗だくになって遊んでいました。女の子も、普通にサッカーやりますよ。小学生のうちは、女の子の方が体力あるし。
    思い切り体を動かすこと、子ども達には本当に大切です。
    できれば、大人も、労働ではなく体を動かす機会をもてたらよいですよね。弱音を吐けない人ほど、そうできたら・・・と思います。
    どこかに和太鼓が残ってないかなぁ・・・。
    和太鼓、いいですよ。 とっても。 体も心も動きます。

  6. 良い笑顔ですね。心が暖かくなります。
    翔也君の出番でしたね。女の子もサッカー大好きな子は、男の子に負けませんよ。
    落ち込んでいるときに、夢中でスポーツするともやもやしているものもでていくみたいです。
    私もできるだけ体動かします。
    最近疲れが抜けないので、無理のない程度に。
    お風呂入りたいです。多くの人は震災以来入浴できていません。
    自衛隊の入浴設備も近くになく、提供している入浴施設まで行くガソリンもありません。報道では今週あたり燃料確保の見込みですが、気配もありません。
    いつも暗い書き込みになってしまいますが、この体験は忘れないようにしようと思います。
    小さなことに、うれし涙がでたり感謝できたりしています。
    ラジオの声に励まされ、心の狭さに怒り、日常の不便さになれてきました。こうして心は強くなれるのでしょうか。

  7. 初めまして。
     
    私の家族は今、閖上と文化会館とに別れて避難生活を過ごしています。
     
    姪や甥が先生のクリニックでお世話になったと聞きました。
     
    私の甥たち6人の下の子たちはよく風邪をひくので心配していたのですが、桑山先生のクリニックで診察していただけてほっとしました。
     
    大変な状況の中、診察を続けてくださり本当にありがとうございます。
     
    先生、スタッフの皆様くれぐれも体に気を付けてください。
     
    私の実家の家族をはじめ名取市民とその親族皆、桑山先生たちの活動に深く感謝いたします。

  8. 子供たちの笑顔に涙が出ました。
    子供が5年生でサッカーをやっていてサッカーをしています。
    被災地の子供たちがどうすごしているか、きっとサッカーやりたい子がたくさんいるだろうなあと気がかりでした。
    すばらしい企画をありがとうございました。

  9. 地球のステージ、名取篇
    いい!実にいい!
    本当の復活(再生)はこの子供達が大人になってからなのかもしれませんね

  10. 飛騨高山は雪景色。大地の雪が溶けては積もり、また溶けて積もる。でも、春は必ず来るのです。”Spring has come.”昔中学校時代の英語で習ったこのセンテンスが好きです。雪の下のフクダツ(ふきのとう)。心にも春を呼ぼう。”はーる よ こーい!”

  11. やっぱり スポーツって、体を動かすって良いですね。身も心もリフレッシュできたのでは… 町医者なんだけど、こういう活動知らせて欲しかったんだけど…
    第ニ回サッカー大会の報告 楽しみにしています。
    PS、以前担任していた保護者の方から連絡があって、地球のステージに義援金を送らせて下さい。って。

  12. テレビでも、避難所の子ども達の笑顔を見ると、ホッとします。本当に子ども達の力はすごい!きっと被災地の皆さんも同じだと思います。そんな子ども達に元気を与えるサッカー大会、とってもいい企画ですね!

  13. とってもいい笑顔?ホッとしますね。
    名取の子供達の笑顔に、これまでのサッカー大会での子供達の笑顔が重なりました。

  14. 子ども達の笑顔、よかった~! サッカー、心から楽しんで一瞬でもつらい事が忘れられたら良いよね。
    子どもだけでなく、回りの大人達もきっと気持ちが和んだでしょうね。 
    各避難所にこの活動が広がってくれると良いですね。
    今日、8;00 あいの里地域おやじの会の有志2名、北海道のジャガイモ持って出発しました。
    27日午後には、到着予定です。 

  15. 桑山さん やったね。子どもの笑顔は 大人の力になるよね。
    頼もしい助っ人に息子さん。
    桑山さんは一人じゃない。
    ファイト?

  16. オンリーワン・チームの七海ちゃんは小学校の5年生の女の子、「私ゴールキーパーやる!」、「大丈夫、手袋もいらない!」。
    普段でも活発な女の子なのでしょう、長引く避難所での生活の中で、自分に出来ることを何か思いっ切りやりたかったのだと思います。
    試合の合間に、横に座って話をしました『閖上地区で、家は無くなっちゃった・・、お父さんも、お母さんも、弟も助かった、でも、同じクラスの子が死んじゃったの・・』。
    頑張ったけど、2位に終わってしまった後に、賞品でもらったチョコを握りしめながら、『チョコも良いけど、もっとサッカーやりたい・・』と言って笑ってくれました。
    桑山ブログのサッカー編で集合写真が張り付けてありますが、最前列で両手の拳を握り締めている女の子です。
    桑山さんの企画したサッカー大会は120%以上の成功でしたよ!!

  17. サッカー大会、大成功!!!おめでとうございます!!!
    子どもたちの笑顔に未来への希望の灯がともった!と感じます。
    みんなの声援を受けて、力いっぱいプレーした子どもたちに拍手を送ります。

  18. 死者10,066人、行方不明17,000人以上(3月25日現在)。日本を襲った未曾有の大災害。
    死者の数はまだまだ増えるでしょう。
    それどれの人に、それどれの生活があり、それどれの人生がある。それらすべてを奪い去り、絶望だけが残ったその中に、希望を見出すことは難しいでしょう。
    しかし、生き残った人々に、未来ある子供たちにどうのような勇気を与えていくのかは困難なことに違いありません。
    そんな中、サッカー大会という素晴らしいイベントは、打ちひしがれた人々に明るい未来を約束するものです。
    桑山先生、頑張ってください。これからも応援しています。
       和歌山 中尾より

  19. 女の子たちも、サッカーに参加していたのですね。よかった!安心、安心。彼女達がサッカーに参加していないのだとしたら、何か他にできることないかなって思いました。
    今日も、応援しています。

  20. 毎日お疲れさまです。
    子どもたちの笑顔が まぶしいですね。
    少しの時間でも 夢中になれることがあってよかった!!

  21. あいさん、僕もあなたたちがいることをきっと忘れません!お風呂に入れるといいですね。お元気で

コメントを残す

あなたのメールアドレスは公開されません。必須項目には印がついています *